首里の馬 の商品レビュー

高山羽根子(著者)

2023/11/03

静かな物語。自分だけの小さな世界と小さな人との繋がりとその中での存在意義を見つけられたら穏やかに生きていけるのかもしれない。

2023/08/18

【途切れた物語】
この物語は沖縄のとある町の描写で始まる。街並み、気候、歴史・・・そのうちの一軒のコンクリート造の建物が「沖縄及島嶼資料館」で、主人公はそこで資料整理の手伝いをしている。のちに資料館は壊され、集められた資料もなくなってしまう。島が台風や戦争で破壊されたかのように。
彼女はどこかにいる孤立した人にオンラインでクイズを出す「問読み」という仕事もしていて回答者との交流を深めている。「集めた資料を見ることで、自分のまわりにいる人たちや人の作った全部のものが、ずっと先に生きる新しい人たちの足もとのほんのひと欠片になる」かもしれないと主人公はスマホで撮りためた資料館のデータをクイズの回答者３人に送信する。
人間関係や孤独についても全体に流れるテーマのようだが、突如台風の夜に現れた迷子の宮古馬との交流でほっとさせられる。「問読み」という聞いたことのない仕事や沖縄の土地勘もないことでフィクションとノンフィクションの境がわからない、ふわりとしたＳＦ作品だった。（つちふまず／本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会）

2023/03/16

琉球競馬の細かい話など、初めて知ることが多かった。

情報のアーカイブについてや情報・知識に対する社会の視線など、考えさせられる内容。
もっと色んなことを知りたい、と思わせてくれる本だった。

2023/02/11

無機質な未名子の中での変化を追うと、彼女の中での少しずつ芽吹く決意に惹かれてゆく。

クイズを答える3人が、寂しいけれど、それを受け止めて強く在る姿に打たれる。人は、どうしても生まれた所と切り離すのは難しいようだ。

3人の現状と過去のギャップは、ファンタジーのようでリアルさを孕んでいる。やはり芥川賞だなと美しさを感じる。

2023/01/22

特に何かすごいことが起こるということはないけど、人が自分らしく生きることの大切さがしみました。
普通ではないかもしれないけど、それぞれで自分の大切なものがあって、昔は世界が狭くてそれを理解してくれる人がいなかったかもしれないけど、今なら世界のどこかとつながって誰かと共有できる、今だからの価値観、多様性が感じられる作品でした。心地よかったです。

2023/01/10

読書癖がないもんで、他の芥川賞受賞作と比較ができない、もどかしい、評価が付けづらい。
主題に切り込んでいくようなお話なのだろうが、ストーリーそのものを淡白に感じてしまった。舞台設定や登場人物には引き込まれただけにもう一声、ストーリーに何かしら起伏が欲しいと感じた。
沖縄出身者なら面白いのか？と言われれば、どうだろう、沖縄という土地についての緻密な描写もないしなぁ、、、

2022/12/10

遠野さんのが先に読んで、すごく好みだったので、ちょっと残念に感じてしまったかな。。
まぁでも、単に好みの問題かもしれません。

2022/09/25

仕事とか趣味とかにはっきりとした意味を見つけられない事は私を含め多くの人が当てはまるので主人公の未名子にそこは共感しやすいんだけどもストーリー全体がふんわりで読了後に満足感がないかな。
馬の世話をしてた事のある私には宮古馬の件も違和感を感じてしまいました。

2022/07/28

ストーリーは引き込まれます。

しかし急に登場人物が変わったりバックボーンが語られるのでイメージが出来なくてよく分からなかったです。

2022/07/20

主人公の未名子は孤独だけど不幸ではない。側から見たら、お金をもらえるわけでもないのに、何のために沖縄の歴史の記録をしているのかと思ってしまう。本人には意思があり、それを正論や法律で捻じ曲げようとする存在(警察など)に苦手意識を持っているんだな〜
未名子みたいな子と関わるの難しい。