たかが殺人じゃないか の商品レビュー
シリーズものらしいが、私は著者作品を初めて拝読。 少し時代背景の記載がクドイのは気になったが、敗戦から戦後の混乱期、朝鮮戦争で戦後が転換するまでの時代を、それも名古屋近辺を舞台に描いたところが新鮮。知らないことも多くあり、その点は非常に楽しめる。犯人に意外性がなく、トリックもこじ...
シリーズものらしいが、私は著者作品を初めて拝読。 少し時代背景の記載がクドイのは気になったが、敗戦から戦後の混乱期、朝鮮戦争で戦後が転換するまでの時代を、それも名古屋近辺を舞台に描いたところが新鮮。知らないことも多くあり、その点は非常に楽しめる。犯人に意外性がなく、トリックもこじつけに近い気はするが、タイトルのもつ深い意味には納得感ある。
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辛い。なんとも悲しい終わり。タイトルの意味は、「戦争と比べたら」の意味。途中本編と無関係でもなくはないが、古い映画の話が多く、読みづらかった。二つの事件のトリックは説明を聞いても、滑り台と看板用算盤とスライドさせる屋根の大きさや位置関係、駐車場と穴と階段の位置関係が、残念ながら私にはイメージできなかった。青春群像のような闇市の話、学園祭の話は惹きつけられるものがあった。
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戦中から戦後と来て、そこから一束跳びに高度成長期へと、個人的にそう言う読書体験が多かったように思う。 タイトルの『たかが殺人…』とは、戦争と言う地獄を経験した直後ゆえの言葉なのだろうが、それを軽く言えてしまえる状況に、戦争が産み出す、更なる地獄を見た。 この物語はフィクションだ...
戦中から戦後と来て、そこから一束跳びに高度成長期へと、個人的にそう言う読書体験が多かったように思う。 タイトルの『たかが殺人…』とは、戦争と言う地獄を経験した直後ゆえの言葉なのだろうが、それを軽く言えてしまえる状況に、戦争が産み出す、更なる地獄を見た。 この物語はフィクションだが、戦争直後はこういった思考を持つ人達が少なくは無かったのではないだろうか? 登場した探偵の口から『名探偵金田一』の名が出ていたが、横溝作品に残忍な事件が多いのは、こんな空気感、時代背景とも無関係とは言えないのだろうなと一人ごちてしまった。 但し、その地獄を潮に未来の為、それでも前向きに敢然と立ち上がろうとする主人公達の姿に清々しさを感じた。 よく語られる事だけど、 今この時代のこの国、この人々をこの時の人達はどんな眼差しで見るのだろう。
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昭和24年、戦後間もない名古屋。去年までの旧制中学5年生の生活から、試験的に導入された男女共学の新制高校3年生に通う、勝利少年。 女子に内心ドギマギし、実家の老舗料亭は区画整理で取り壊しの予定、憧れて始めた推理小説の執筆も進まず、悶々と過ごす。 そんな彼の前に殺人事件が。 男女共学に生徒も教師も戸惑う空気。 上海帰りの女生徒の艶かしさ。 友人の西洋映画かぶれ。 軍国のカケラの残る警察に地方名士たち。 真夏の茹でる息苦しさ、嵐の夜の悪夢。 こういう戦争の描き方、読ませ方もあるんだなー。 犯人は割とすぐにわかってしまうし、トリックも強引な気もするけど、少年少女の鬱々とした、やるせなさ、ささやかな楽しさが伝わってきて、切なくも爽やかな余韻。 タイトルの台詞、いつでるのかとハラハラしてたけど、出て欲しくないところで、やっぱり出てしまった。 そして、ラストシーンに思わずニヤリとして、一頁目を開いてみる。 「憲法で戦争を放棄しても、戦争は日本を放棄してくれないのか」 前作は明智くん色が強かったけど、今回は金田一っぽいかな。
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昭和12年深夜の博覧会→昭和24年たかが殺人じゃないかの順で読む。どちらも探偵役で那珂一兵がでてくる。今回はちょろっとでてきて、事件の時は現地にいないけど、探偵を頼まれてあっさり謎解明する〜。オンラインでも解決できるんではないかってくらい、名探偵っぷり!トリックが〜って言うより昭...
昭和12年深夜の博覧会→昭和24年たかが殺人じゃないかの順で読む。どちらも探偵役で那珂一兵がでてくる。今回はちょろっとでてきて、事件の時は現地にいないけど、探偵を頼まれてあっさり謎解明する〜。オンラインでも解決できるんではないかってくらい、名探偵っぷり!トリックが〜って言うより昭和の雰囲気を楽しむ感じかな。
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可もなく不可もなく…トリックがいかんせん無理矢理過ぎるんじゃないかなぁ、と。タイトルの意味と最後の余韻は素晴らしいと感じましたが、他がちょっと…
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昭和のミステリ第二弾。 この時代の学園ものは読んだことがなく新鮮だった。著者が13歳で終戦を迎えたので、この時代の空気をリアルに知っているのだろう。名古屋をはじめ愛知県を舞台としているのも親近感が沸く。 普通に読んでいたけど、最後であれっ?と思った。この話が勝利の創作だとしたら、犯人の指摘の後で初めてクーニャンと会ったのに作品に出てくるのはおかしいし…。どこまで現実として描かれているのか。自分があまり理解できていないのかな。 それにしても別宮先生が健在なら続編が出ることがあるかもしれない。
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引率の先生含めた、推研と映研の五人の高校生たちが遭遇する、二つの殺人(密室殺人と解体殺人)の謎は、オーソドックスながら、丁寧なストーリー構成と巧みな伏線で、推理好きの方なら楽しめる作品だと思います。ちなみに私の場合、ベタすぎるオチも全く気付きませんでした。情けない。それでも、悔し...
引率の先生含めた、推研と映研の五人の高校生たちが遭遇する、二つの殺人(密室殺人と解体殺人)の謎は、オーソドックスながら、丁寧なストーリー構成と巧みな伏線で、推理好きの方なら楽しめる作品だと思います。ちなみに私の場合、ベタすぎるオチも全く気付きませんでした。情けない。それでも、悔しいというよりは、痛快すぎて笑ってしまったが。 また、戦後が舞台ということで、戦前と戦後の価値観が大きく変わろうという境目において、悩みながらも青春を謳歌する主人公たちの、爽やかな姿が印象的で、新たな価値観というのが、そもそも存在していない未知のものだと、なかなか理解することができないことを、改めて再実感しました。今を生きる自分にとっては当然なことでも。 もう少し細かく書くと、最初から探偵役がいるわけではないので、物語の中で一緒に考えるというよりは、自ら読みながら伏線や気になるところを見つけていく感じで、青春要素がやや強いようにも思われました。しかし、探偵役が成長している一面も描写されていて、これが二作目なのだと実感。推理の要素は古典的な本格ものなので、一作目も読んでみたくなりました。犯人の動機や切ない胸中にも共感しましたし、表紙の絵が、あの切ない名シーンを描いていることも素朴な良さがあり、好きです。
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一作目より読みやすかった。戦後の日本の高校生の様子や昔の名古屋が感じられ、愛知県の人、年配者にはまた違う面白さがあると思う。 トリックの組み立てが乱歩やコナンっぽいのとか、時代もあえての昭和なのとか、最近の推理小説にない楽しさはあると思う……けど、やっぱりちょっと読みにくいかな。...
一作目より読みやすかった。戦後の日本の高校生の様子や昔の名古屋が感じられ、愛知県の人、年配者にはまた違う面白さがあると思う。 トリックの組み立てが乱歩やコナンっぽいのとか、時代もあえての昭和なのとか、最近の推理小説にない楽しさはあると思う……けど、やっぱりちょっと読みにくいかな。真犯人は一作目読んでると絶対ないよな、という人なので、最後なるほどなぁと納得。 章のタイトルで遊ぶのはこの作家の特徴なのかな。「怪盗天空に消ゆ」のときは、本当にタイトル付けすごいなあと思ったことを思い出しました。内容が遊郭や慰安に及んでいるので、小学校図書館はNG。
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本屋大賞受賞作 またタイトルしか知らずに読みました。 この作品はタイトルからの期待通りの殺人があり、でも戦後すぐの学生たちの心境とかもあったりで今まで読んだことがないストーリーでした。 それだもちゃんと殺人が起こり、謎も解いて、なかなか他にないんじゃないかな。 戦後すぐのお偉いさ...
本屋大賞受賞作 またタイトルしか知らずに読みました。 この作品はタイトルからの期待通りの殺人があり、でも戦後すぐの学生たちの心境とかもあったりで今まで読んだことがないストーリーでした。 それだもちゃんと殺人が起こり、謎も解いて、なかなか他にないんじゃないかな。 戦後すぐのお偉いさんとかの、凝り固まった思考になんとも言えない気持ちにもなった
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