たかが殺人じゃないか の商品レビュー

辻真先(著者)

2021/06/20

各種賞を総ナメにした本格ミステリー。昭和24年の名古屋を舞台とした学園もの。伏線の張り方が絶妙。

普段あまり読まないミステリーだが評判が良いので読んでみました。終盤で気付いたが、昭和12年を舞台とした作品に次ぐ、第2弾あるらしいがほぼ気にせずに読める。

何より伏線の張り方が見事。ラストの5行が衝撃。筆者の手のひらでずっと弄ばれていたことに心地よい読後感。現実の事件と作家志望の主人公の書く小説が絡み合っていく。

特に謎解きの終盤の展開は圧巻。

2021/06/19

昭和の雰囲気満載のミステリ。第２次大戦が終わって4年後の愛知県が舞台、当時の新制高校の高校生たちを中心とした登場人物である。
クラシックな設定、そこで起こる殺人事件も昭和を感じさせるものであるが、トリックを駆使して終盤まで飽きさせない。最後にあっと言わせるオチで、殺人事件、終戦後の世相という暗い部分もあるミステリではあるが、最後の展開で読者をニヤリとさせるところは心憎いものがある。

2021/06/16

青春小説の趣もある戦後の学園ミステリ。最高齢での文学賞受賞と話題だったので読んでみたら「シリーズ第二弾」と・・・マジか。まあいいやとりあえず読んでみよう、と。
結果、別に前作を読んでなくても楽しく読めました。逆に犯人が滅茶苦茶キャラが立ってる人物だったのでシリーズキャラと思いこむというセルフミスリード。
全体的に綺麗にまとまってるなーという印象でした。戦後という時代背景もきちんと意味あるものとして真相に組み込まれてるし、ミステリ自体も特に文句もつけようがない。
まあ時代や内容の割にちょっとこう「軽い」印象はありましたけども。もっとこうずっしりと読み応えのあるものを想像していたので。

2021/06/13

いつしか自分より年輩作家の作品を初読みって、ほとんどなくなった。それだけ己が年食ったわけだ。もっとも、脚本を手掛けられたアニメの列記を拝見するに、ことごとく楽しませていただいた秀作が並ぶ。まして、『名探偵コナン』の現役脚本家というから恐れ入る。どうりで今作の舞台は70年余り遡っていても、人物描写にせよディテール表現にせよ若々しい。さすがに、戦時に数多の死を目撃してきた少年少女とはいえ、密室殺人なり解体（猟奇）殺人なりの死体を目の当たりにして、ここまで動じぬのには笑いますが。犯人も王道ながら、オチはお見事。

2021/06/08

ミステリー小説としては犯人が早い段階でわかってしまうのは残念だけど、構成はなかなか良い。
冒頭と結末に思わずニヤリとしてしまう。
基本は学園ものといった感じで主人公とその同級生の青春ドラマに殺人がついてきたって感じでミステリーとしては伏線に乏しくオチがわかりやすい。
これは昭和24年時代を過ごした映画好きには楽しめるかもしれないが、それ以外だとちょっと話についていけずに置いてけぼり感を食らわされることになる。本格ミステリー好きにはちょっと物足りないかもしれないがライトユーザーには読みやすくわかりやすい一本調子の内容だ。
まぁ、平成生まれには何もかもがちんぷんかんだろうなと想像するｗ

2021/06/13

2020年このミス第一位。図書館で5か月待ち。
６３３制になり、男女共学になったのが昭和24年。歴史は改ざんされるから、共学になって楽しくやってるように見受けられるのだが（実は良く知らない）、実際は違ったらしい。そんな簡単に女子と話せないのだ。
ここの書かれているのは、若かりし作者の体験や見聞きしたこと。
タイトルは長年温めていたタイトル。何回かNGくらったので、このタイトルが生きる話にしたかったそう。
一人殺せば殺人で、大量に殺せば英雄、みたいな言葉があったなぁ。
改ざんされる歴史とは別に、実際はこうだったんだよ、こう感じたんだよって語って残るのが良い。
昭和１２年、３６年も読みたいわ

2021/05/20

前作より味わい深い。戦後の名古屋が、これもまた、これでもかと細かく描かれ、主人公たち高校生も、生き生きとしている。
いまでは信じられないルールや言葉が当時にはあった。それをまさにリアルタイムで生きた著者が、説得力をもって表現している。「推理小説」としてはどうかとも感じるが、この時代を描き切ったことに、敬意を表したい。最後まで読むべし。

2021/05/18

戦後まもない日本がどんな感じだったのが分かる。
最後にそういう事だったのか！と序章に戻って少し読み返しました。

2021/05/16

タイトルに込められた意味、出だしとエンディングの結びつき方、本当にうまいなぁと思いました。
文中で語られる当時の様子も興味深いし、特に映画の事などは映画好きにはたまりませんでした。

2021/05/12

このミステリーがすごい！2021年版第1位作品。

旧制中学卒業後の、一年だけの男女共学の高校生活。修学旅行がわりの一泊合宿旅行。
そこで巻き込まれた密室殺人事件…

タイトルに込められた皮肉がよく効いているし、青春小説的要素もあり、こなれた内容だと思う。さすが御大！

しかし、残念ながら、全体的には僕にはあいませんでした。

最後の最後には大笑いした…なるほどね。