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たかが殺人じゃないか の商品レビュー

3.6

147件のお客様レビュー

  1. 5つ

    22

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    42

  4. 2つ

    16

  5. 1つ

    2

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2024/09/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

昭和24年夏、男女共学となった、名古屋の新制高校3年生らが遭遇する、怪奇密室殺人地事件! 戦後日本の混乱期に、学内の「推理小説研究会」と「映画研究会」の面々が、青春のほろ苦い体験をとおして挑む、昭和レトロな推理小説。

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2024/08/02

昭和24年、推理小説研究会の高校3年生たちが殺人事件に遭遇する青春ミステリー。序盤は戦後版古典部シリーズといった趣き。密室殺人が起こってから次第に本格っぽくなってくる。最近読んだミステリーではダントツに面白かった。本作発表時、作者は88歳!

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2024/07/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦後の話で時代背景や言い回しが難しい表現が多くて少し読み辛かった。 登場人物もほとんどが学生なので犯人はすぐ分かった。犯人を当てるというよりトリックを当てる醍醐味を味わう感じかも。 後半の謎解き辺りは面白さを感じて一気に読んだ。

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2024/07/19

 副題が「昭和二十四年の推理小説」。父の生まれ年だなあ、と思った。戦後四年、主人公はもちろんその年に生まれた赤ちゃんではなく、新しい六・三・三制のもと「高校三年生」という身分になった少年、勝利(かつとし)。「高校生」という肩書も新しいが、「男女共学」という環境も新しい。皇国教育か...

 副題が「昭和二十四年の推理小説」。父の生まれ年だなあ、と思った。戦後四年、主人公はもちろんその年に生まれた赤ちゃんではなく、新しい六・三・三制のもと「高校三年生」という身分になった少年、勝利(かつとし)。「高校生」という肩書も新しいが、「男女共学」という環境も新しい。皇国教育から民主教育へと、掌返しの大転換を喰らった世代……ということになる。  とはいえ小難しいことは何もなく、恋に部活(推研と映研)に大忙しの若者たちがなんと密室殺人事件に出くわすという、ちょっと昔を舞台にした王道青春ミステリー! という趣きで物語は始まる。だが正直なところ、前半はそんなに面白いと思えなかった。なんだか、たまに説明口調で時代背景描写が差し挟まれるのが少しうるさい、おじいさんの懐古青春ものという印象で、別に読まなくてもいいかな、という気持ちになったのは事実。  だがしかし、中盤から少しずつこの時代設定ならではのメッセージが見えだし、後半そして終盤にかけての、骨太とエンタメの絶妙すぎるバランス感覚はもう見事と言うしかない。ミステリー好きの全ての人に、『たかが殺人じゃないか』というこのタイトルの凄みを味わってほしい。執筆当時八十八歳というおじいさんからのヘビーなパンチを何発も何発も受けてこちらボコボコになっている最後の最後、幕引きはなんとも軽やかで鮮やか!惚れるわ。うるさいおじいさんとか言ってごめんなさい。人の話は、はじめつまらなくても、最後まで聞くものですね。

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2024/07/17

▼辻真先さんを読むのは初めてでした。大満足。大傑作だと思いました。出会ったのはたまたまなんです。「創元 夏のホンまつり」で、たまたま見かけ、こりゃオモシロそうだと。https://www.webmysteries.jp/archives/35856049.html ▼辻真先さん...

▼辻真先さんを読むのは初めてでした。大満足。大傑作だと思いました。出会ったのはたまたまなんです。「創元 夏のホンまつり」で、たまたま見かけ、こりゃオモシロそうだと。https://www.webmysteries.jp/archives/35856049.html ▼辻真先さんは、<創世記からのアニメ脚本家で、サザエさんの脚本での名前を見るひとであり、軽いタッチのエンタメミステリ作家>という認識程度だったんです。本書の売り文句で、<88歳のときに書いたミステリである> <ミステリとして本書は多くの表彰に輝いた> ということを知りました。88歳の人が、昭和24年の物語を書く‥‥どうやら主役は高校生…ということは、ほぼ自分年代のお話なんだな、と。同時代人が今書いた、昭和24年が舞台のミステリ、というだけでこれは是非読んでみたいなと。 ▼辻真先さんが高校時代を過ごした、名古屋のお話です。高校三年生の、ミステリ小説大好きの男子高校生がいる。学校でも「推理小説研究会」を作っていて、その活動として自分も推理小説を書こうとしている。時代は昭和24年なので、なにかと敗戦の爪痕がまだ生々しく回りに残っている。残ってはいるけれど、主人公周りは家族も親友も憧れの女の子も大好きな先生も居り、一見は平凡普通である。そんな主人公の周りで、密室殺人が起る。そして立て続けにバラバラ殺人が起る。犯人はたれで、動機はなんなんだ?‥‥。 と、そういう内容です。これが実にオモシロい。 ▼オモシロイ理由は、いちばんは語り口です。読みやすく平易で明快でユーモラスで、謙虚で端然としているからです。そして主人公とその周りの人物像がとっても<立っている>と思いました。言ってみればカワイイし、共感できます。 ▼でも最大にコリコリとしているのは、ちゃんと物語の向こうに伝えたい思いがあることだと思います。敗戦前後を明確に知る世代の作者が、敗戦と言うことがどういうことだったのか、ということを書き残したいということ。軽妙な裏に真っ赤な火箸みたいなリベラルな思いや怒りがあります。 ▼それだけではなく、往時当時を生きたものとして、そういう<社会的なテーマ>とともに生きた若者たちの体温みたいなものも伝えたかったんだろうなあ、と。だから小説でなくてはいけない。 ▼後年から考えれば、重い主題が身の回りにごろりごろりと転がっています。それに自覚的であったり無かったりします。だけれども、日々は日々の都合で過ぎていきます。そういう<主題>よりも自分ひとりの欲望や都合やだらしなさが優先することもあります。自分ひとりの将来への不安や、期待や、恥ずかしい妄想や、愚かしい感傷や、浅はかな自己実現の方が大事だったりします。そのあたりの描き方がため息がでるほどに魅力的です。わくわくするし、にやにやするし、くすりとするし、共に憤り、共に悲しんで、身につまされます。実に素敵なエンタメですが、本当に素敵なエンタメというのは、エンタメという言葉で処理される以上の魅力や輝きがあるものです。 ▼二つの意味で、震えるほどにオモシロかったんです。  ひとつには、読んでいる自分自身や周りのひとびとが生きている、生きてきた、現代という時間も、80年後から見れば同じようなことだろう……ということ。  ある角度から見れば、みんな ”2020年代という時代に特有の事件や境遇” にあえぎもだえながら、でも小さな日々をその都合で生きています。 ▼そしてもうひとつは、この(およそ)80年前の小さな世界の物語は、確実に僕たちみんなの親や祖父母やそのまた父母が通って来た道なんだよなぁ、という当たり前のこと。  80年も前だからなのか、たった80年なのになのか、これほどまでに<受け継がれていない、風化したもの>がいっぱいあるということです。しばし茫然でした。 ▼もちろん青春物語ですし、トリック殺人ものなんです。なのでそこは敢えて確信犯で軽いタッチやあざとい展開もあります。好みによっては、欠点をあげつらえばそれもいくらかは出来ようよ、とは思います。けれど本作は全体に、どう見ても <引き締まった超上出来の小説> であることは間違いないでしょう。僕は大変に好きでした。 ▼そしてどうやら本書は 「深夜の博覧会」を第1作とする、名探偵・那珂一兵さんが活躍する三部作の、第2作目らしい。そして第三作「馬鹿みたいな話!」もなんともう既刊らしい(作者90歳の作品だそう)。ということを知って、そられを読める楽しみがあることに、心から感謝です。

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2024/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2021年版『このミステリーがすごい!』、2020年『週刊文春ミステリーベスト10』、2021年版『ミステリが読みたい!』と、3つのミステリーランキングで堂々第1位を取った傑作!と言う謳い文句に釣られて、図書館にあったこの本を借りた。 確かに面白かった。但し推理とかトリックとかいう、いわゆる推理小説的内容がではなく、敗戦後の混乱がまだまだ続いていた頃の昭和の雰囲気がよく伝わってきたし、その雰囲気の中で個性豊かな主人公たちが、青春のど真ん中を自分なりの感情、感覚、正義感を持って生き、行動していく姿が面白かった。 それにしてもRAAなんて、この小説を読んで初めて知った。本当に時代が時代だとしても馬鹿げた政策が実際行われていて、馬鹿げた思想がまかり通っていたのだなと思った。勿論、私がこの小説を読んで感じたことであり、他の人たちの考え感想は違うかも知れないし、当時の人たちの実際の思い考え方は分からないけれども。 とにかく私的には、時代背景や登場人物の個性がよく描かれていて、怒りを感じたり泣きそうになったりして面白く読めた。 ただ推理小説として読む場合、「密室殺人事件」のトリックは理屈では不可能ではないし、密室の理由もトリックとの組み合わせではそうなるだろうと思える。「バラバラ殺人事件」も同様でトリック、その理由は理屈上分かる。が、まぁ実際は無理だろうとも分かる。私の個人的感想だけど、推理小説で描かれている犯罪って現実的には不可能犯罪が多いよなぁと思う。つまり推理小説としてはトリックの方法は別としてありふれた内容だと思う。 まぁ、私は推理小説好きだから面白く読めました。「名探偵○○○」も好きだし、「真実はいつもひとつ」と言う決め台詞も好きだし。

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2024/05/08

昭和24年の高校生が織りなすミステリーだが、やはり時代を感じる描写である。 殺人事件の犯人は… う〜ん、ちょっと不可解な終わりかたでもやっとしてしまった。 外出中に読んだこともあり、集中できなかったこともあるのかも…

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2024/03/17

昭和24年を舞台に高校生たちが謎解きをする物語だが、当時の雰囲気が随所に描写されており楽しみながら読破した.別宮操が主人公という設定だが、勝利や礼子・弥生らの活躍も素晴らしいと感じた.密室で殺害された徳永信太郎、郡司英輔が解体された事件を推理する中で那珂一兵が謎解きをする過程が非...

昭和24年を舞台に高校生たちが謎解きをする物語だが、当時の雰囲気が随所に描写されており楽しみながら読破した.別宮操が主人公という設定だが、勝利や礼子・弥生らの活躍も素晴らしいと感じた.密室で殺害された徳永信太郎、郡司英輔が解体された事件を推理する中で那珂一兵が謎解きをする過程が非常に楽しめた.犯人が判明していくスリルが何とも素晴らしいと感じた.戦前の思想に凝り固まった輩が、起こした事件が発端という設定も非常に妥当なものと思う.戦後間もない時代の生活が、団塊世代の小生としては懐かしい.

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2024/02/26

ミステリーとしては普通かなと思いつつラストでやられた。ありきたりと言われればそれまでだけど自分好みの終わり方で満足。

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2023/12/16

再読した。終戦から4年後。学制変更で混乱している頃、申請高校3年生になった少年が主人公。ちょうど著者と同年代で、私の両親もそんな話をしていた。学校だけでなく社会も混乱している時代。経験している著者だからこそ、書ける内容だと思う。昭和48年も早く出てほしい。

Posted byブクログ