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ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち の商品レビュー

3.9

167件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/06/06

『ぼくはイエローで〜』で有名な著者。イギリス音楽大好きで渡英、アイルランド人と結婚。息子と三人暮らし。彼女の周辺にいる愉快なおっさんたちのおはなし。 この本を知ったきっかけはSNSの読書垢が紹介してた一節、 『おとなしく勤勉に働けば生きて行ける時代には人は反抗的になり、まともに働...

『ぼくはイエローで〜』で有名な著者。イギリス音楽大好きで渡英、アイルランド人と結婚。息子と三人暮らし。彼女の周辺にいる愉快なおっさんたちのおはなし。 この本を知ったきっかけはSNSの読書垢が紹介してた一節、 『おとなしく勤勉に働けば生きて行ける時代には人は反抗的になり、まともに働いても生活が保障されない時代には先を争って勤勉に働き始める。従順で扱いやすい奴隷を増やしたいときには、国家は景気を悪くすればいいのだ。』(文庫版P83) に惹かれたから。すげー尖ってる。前後で何話してんのさ、って感じ。 短編小説集のようで読みやすかった。小説と違ってあくまで実話なので謎の中国系移民たちがどこに行ったのかもわからないし、遺産目当てとか散々言われてるベトナム人女性の本心は謎。でもそこがリアルで良い。おっさん頑張って生きてる。 前出の一節は、30代働き盛り美人妻と60代子守り担当夫の離婚危機の話からだった。 若い美人と再婚できてラッキーだと言われる夫。 妻にとっては小さな子供を見てくれる人が必要だった。でも子供が小学生くらいになった最近は家族の時間をもっとと煩わしい。私は働きたいのに、家計を支えているのに。という。 そんな二人をなんとかならないかな、無理そう……と冷静に観察する著者。 女の強かさ感じられて個人的には好きなエピソードでした。 人生のそのタイミングで必要だった人。でも今は冷え切っていて、友人(著者)の前ではある意味完璧な夫婦に見える、が会話はよそ行き。お互い無視してるくらいならまだ可愛げあるのに、と。 で、その価値観の違いの原因が「世代」だと主張していく。60代(ベビーブーマー)はゆりかごから墓場までで社会福祉充実していた。対して妻(Y世代。そもそもベビーブーマーの次をジェネレーションXとメディアが言い出したらしい。そこから最近のZも来てるとは!XYZ!)は働き続けないとあっという間に転落すると思っている。そこに著者の痛快な政治評(緊縮財政にとにかく反対している)。夫婦のその後は……。 エッセイ集の後ろに解説として英国の世代、階級身分、あと酒事情がくっついていて勉強になった。 世代が全てではないけど〜的な前置きには首肯しつつ、それでも価値観の差はどうしようもなく感じるものだし、イギリスの話がそのまま日本に当てはまることも多く感じたのが面白かった。距離が離れていても同じ世代の価値観は近いのか。「Z世代」は日本でも一般的になった単語だと思うけどワールドワイドとは知らなかった。パブもビール消費量も減少、スパークリングワインが伸びているそうで。 文庫あとがきではコロナ禍を挟んでのおっさんたちのシリアスな現状が少し。ロックダウンが心身に与えた影響は大きい。解除直後、雪の舞う中パブに集まるおっさんの姿を想像すると、自分の身の回りのおっさんにも少しは優しくできる……かな。 本当に伝えたいことはユーモアの中に忍ばせる。そのバランス感覚が絶妙。

Posted byブクログ

2024/04/13
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※このレビューにはネタバレを含みます

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の 対をなす作品、と後書きで作者が書いていた。 読み始めは、コンパスのS極とN極くらい 分かり合えない考えを持つ、 歴史に取り残されたおじさんたちの話を 読み進めるのだろうかと思っていた。 少し前に日本でも大きな話題になっていた イギリスのEU離脱は、この本に書かれている おじさん達だとわかって読もうと思ったからこそ、 そういう先入観にあてられてしまっていた。 だが、日本人は日本人、イギリス人はイギリス人と 一括りにすることに対しては抵抗感がある様に、 イギリスのおじさんたちにも それぞれの階級や環境の中で生きてきた歴史があり、 その上でEU離脱に向かった考えの一断片が読み取れた ような気がした。 固い言葉を並べたけれども、根本的には 著者のテンポがよくユーモアに富んだ、 そして彼女の「市井の人々」感がとてもしっくりくる 個性豊かなおじさん達の紹介に ちょっと社会情勢を加えた文章だった。 読みやすく面白く、学ぶというより もっと知りたくなる知識や考え方がたくさん詰まった 読み物でした。 他の作品も読まねば。

Posted byブクログ

2024/04/07

同じ階層で長らく暮らし、そのコミュニティにどっぷり浸かったからこそ分かる、表面的でないイギリスの労働者階級の素顔を垣間見ることのできる良作。 ブレイディみかこさんの、彼らに対する愛のある眼差しと、社会情勢変遷の理解と、他の社会(日本)を知っている外からの目線のハーモニーが心地よく...

同じ階層で長らく暮らし、そのコミュニティにどっぷり浸かったからこそ分かる、表面的でないイギリスの労働者階級の素顔を垣間見ることのできる良作。 ブレイディみかこさんの、彼らに対する愛のある眼差しと、社会情勢変遷の理解と、他の社会(日本)を知っている外からの目線のハーモニーが心地よく読み易い。 あぁ、どんな人間も愛おしい、と思えてくるような、ポジティブなきもちにもなる。

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2024/01/24

日本もイギリスも頑張ろう!高齢者!! 時事ネタや、経済、社会ネタは、あまり得意ではないし、外国の暮らしだから、なかなか入り込めなかったけれど、おじさんたちの頑張りや、あがきや、あきらめを見ていてちょっと可愛いって思っちゃった。 おじさんと言ってもほぼ同世代(汗)。 時代の流れに...

日本もイギリスも頑張ろう!高齢者!! 時事ネタや、経済、社会ネタは、あまり得意ではないし、外国の暮らしだから、なかなか入り込めなかったけれど、おじさんたちの頑張りや、あがきや、あきらめを見ていてちょっと可愛いって思っちゃった。 おじさんと言ってもほぼ同世代(汗)。 時代の流れに順応していくだけでは面白くないよね。。。なんて思ったり。 ああ。うちの息子から見たら、私らも滑稽なこと言ったり時代に遅れてるなぁとか思ってるんだろうなぁ。 でも、何も恥じることはない! 今まで生きていたように生きるんだ!笑

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2024/02/04

面白かった ブレグジット、NHS 英国の(ちょっと前の)今 読み終わってしばらく経つけど 「俺の人生だからこんなもんだろう」という諦念 頭に残っている。

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2023/12/23

英国人は stiff upper lips と言われてて、特に男性は感情を表現するのが苦手というイメージがあるが、ここに出てくる著者の周りには、なんと人間臭い人たちがたくさんいて、お互い濃ーい付き合いをしているんだろう。 著者もその連れ合いも、全然 judgmental ではなく...

英国人は stiff upper lips と言われてて、特に男性は感情を表現するのが苦手というイメージがあるが、ここに出てくる著者の周りには、なんと人間臭い人たちがたくさんいて、お互い濃ーい付き合いをしているんだろう。 著者もその連れ合いも、全然 judgmental ではなく、深いところで理解し合い、本音の付き合いをしている。この本を面白いものにしているのは、著者の観察眼と表現力もさることながら、彼女のオープンで共感的な人間関係の豊かさなのだろう。

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2023/10/29
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ブレイディみかこさんは「ぼくイエ」を読んでからファンで、彼女の本を読むのはこれで3冊目。 イギリス人の日常を明るく描きながらも、第1章はどれも哀愁を感じる読後感だった。 第2章では解説編として、世代と階級、酒事情についても書かれている。 イギリス国内の様子も想像でき、知らない言葉も出てきたので調べながらとても勉強になった。 この本には様々な音楽が織り交ぜてあるので、その音楽をかけながら読むのも楽しかった。 ブレイディみかこさんのどことなくロックを感じる語り口がクセになる。

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2023/10/25

英国のベビーブーマー世代(1946年〜1964年生まれ)の「おっさん」達を、ブライトン在住でアイルランド系イギリス人の夫を持つブレイディさんが、良いこと悪いこと含め書いたエッセイ。 2016年のEU離脱の国民投票に関する話は、とても興味深かった。 離脱派の人(労働階級のおっさん...

英国のベビーブーマー世代(1946年〜1964年生まれ)の「おっさん」達を、ブライトン在住でアイルランド系イギリス人の夫を持つブレイディさんが、良いこと悪いこと含め書いたエッセイ。 2016年のEU離脱の国民投票に関する話は、とても興味深かった。 離脱派の人(労働階級のおっさん達はここに入る)と、残留派の人たち(ミレニアル世代:1981年〜2000年生まれはここに入る)の世代間闘争、それが親子喧嘩のように巷でも繰り広げられていることや、 はたまたEU離脱を進める中でアイルランド問題が再熱し庶民まで影響を受けていること、 更に夫婦喧嘩にも発展し離別にまで至ってしまったこと、 ふ、深い、深過ぎる。 緊縮財政でNHS(国民保健サービス)が使えない状況になっているから、病気になっても医者に診てもらえない。というか、診てもらうまでに膨大な時間と労力が要る。 「ブレグジットすればEUへの拠出金の一部がNHSの資金として使える」という離脱派が流したデマに騙されてしまったのは、そんな逼迫した裏事情があったのかと、なるほど…と唸ってしまった。 読めば読むほど、緊縮財政は労働階級の方々を苦しめるだけの政策のような気がした。 図書館すら無くなるなんて! (↑図書館愛用者としては、そこは許せない) ブレイディさんの本は、いつも自然な一般庶民の話で、リアルな英国人の暮らしぶりが見えるので、とても面白い。 今回は「労働者階級のおっさん達」の生き様を面白おかしく学ばせてもらった。

Posted byブクログ

2023/09/26

イギリスについて勉強になります。井形慶子のさんの本を過去から読んでいる所ですが、井形さんはとにかくイギリスを持ち上げます。この本は酸いも甘いもなイギリスを知ることが出来て楽しいです。

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2023/09/01
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※このレビューにはネタバレを含みます

図書館にて。 以前から読みたいと思っていた作品をようやく読むことができた。 悲哀を帯びたおじ様たちの生きざまがイギリスの今の在り方とともに描かれていて、物語として読むだけではなく勉強になった。 今の日本も相当大概だと思うけど、イギリスも政治によって苦労している人たちがいる。 図書館が閉鎖されたくだりはこちらまで気持ちがきゅっとなった。 政治は生活。 日本と違うところは、イギリスの人たちはそこがわかっているところだろうか。

Posted byブクログ