透明な夜の香り の商品レビュー
どなたかの感想で、静謐という言葉が書いてあったが、ぴったりだった。 夏から始まり、季節が巡っていったが、冬の朝みたいな、しんとしていてピリッと冷たい澄んだ空気の中にいるような物語だった。 私は鼻が悪いので、あまり香りにはこだわらないが、匂いと共に記憶が蘇るのはよくわかる。 沈丁...
どなたかの感想で、静謐という言葉が書いてあったが、ぴったりだった。 夏から始まり、季節が巡っていったが、冬の朝みたいな、しんとしていてピリッと冷たい澄んだ空気の中にいるような物語だった。 私は鼻が悪いので、あまり香りにはこだわらないが、匂いと共に記憶が蘇るのはよくわかる。 沈丁花の匂いを嗅ぐと、幼少期の実家の玄関を思い出す。苦手な人の香水が別の人から香ってきても、なんだか苦い感情が渦巻いたり… 確かに、海馬が記憶しているのかもしれない。
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名前だけ見てふわふわとした幸せな感じの話なのかとか思ってたけど結構残酷な重さのある話だった。後半の朔さんと一香の友情以上愛情未満の感じのなんともムズムズするような感じとても追い討ちで喰らった、、人は五感では嗅覚である香りや匂いを1番最後に忘れるそうですが、その嗅覚を研ぎ澄まされた朔さんの「忘れたくないのに忘れてしまう」の逆「忘れたくても忘れることができない」もまた辛いんだなと思いました。色々、その辺は切なくなったなぁ、、続編も、気になるので読みたいなぁ〜
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おしゃれだ、、、、、、 私は文字を読んでいるはずなのに、ページをめくると香ってくるような気がしてしまう。 いやな感覚も、心地いい感覚も。 「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶されるから」 朔みたいな超次元的な才能がなくてもわかる、この感覚。 すれ違った人が、元彼の匂いとそっくりだった。 この匂い気持ち悪くなった時に嗅いでた匂い、、、、なんか気持ち悪くなってきた。 この匂いを嗅ぐ時、私をいつも上機嫌。 嗅覚は五感の中で、なくなったら困るランキングしたら上位ではないかもしれない。 けど、実は記憶、感覚、情景を繊細に残して心を動かしているのだ。 匂いで全てがわかってしまう朔。 秘密を抱えて、心に何か閉じ込めてる一香。 他にも個性的な登場人物がいるおかげで情景がはっきりする。 この作品の大きなテーマの一つに「嘘と秘密」があるはず。 蓋をしとけば、心がかき乱されなくて済むのに。 嘘と知っているけど、あえて嘘や秘密で自分を支えていたり。 それの鍵が「香り」 この2人の恋愛模様かと思ったけど、そういうんじゃなくて、それを超越した感覚に触れていく言葉で形容し難い作品であった。 だけど、ちなみクリムゾンスカイの花言葉は「あなたを愛しています」 最後の一言、花言葉知らないわけないよね? てことはつまり、、、と勘繰るよね。 いくつかの章がある中で、特にお気に入りはミツコさんの回。 勝手にジブリに出ていそうな高貴な魔女とか想像してみた。 その中で杖のグリップに香りを染み込ませて 「そうしたら、あたしはいつも素敵な香りに導いてもらえるでしょう」という言葉が印象的。 あー、アイリスの香水探してみよ。 どうせ、海馬に残るなら、香りを味方にしていきたい。
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本当に物語から良い香りが漂ってきそうな素敵な本でした。 沢山のハーブが植えられているお庭、主人公の作る料理やデザート、一本の薔薇の花… 日々の生活に含まれる香りを丁寧に嗅いでみたくなりました。
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続刊が出た時の推し書店員さんのPOPに惹かれて手に取った1冊。 最初は家政婦兼事務員として雇われた一香が、天才調香師の朔が依頼人の欲望を満たす香りを創り出していく様を見つめる話かと思いきや(家政婦は見た的な)、そんな単純なものでは無かった。 依頼人が抱えているもの、朔や新城が抱えているもの、一香が抱え蓋をしてきたもの。 そのひとを暴いてしまえるほどの情報を香りから読み取る気持ちってどんなものだろう。 それも否応なく嗅ぎ分けてしまう。 終わりに向かうにつれ、その要素あったんだ、と驚く展開でしたが、朔は色んなことを知っているのにものすごく不器用である意味幼くて、抱きしめたくなるほど愛おしいと感じる女性が一定数いると思います。
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あらゆる香りを敏感に感じ取る調香師の朔と、朔に家事・事務の手伝いとして雇われた一香を中心に、様々な香りを求めて朔のもとに訪れる人々と、二人の過去や関係を描いた作品。 香りに癒されていく物語かと思って読み始めたので、良い意味で裏切られた。 メインで描かれていたのはむしろ、香りが分...
あらゆる香りを敏感に感じ取る調香師の朔と、朔に家事・事務の手伝いとして雇われた一香を中心に、様々な香りを求めて朔のもとに訪れる人々と、二人の過去や関係を描いた作品。 香りに癒されていく物語かと思って読み始めたので、良い意味で裏切られた。 メインで描かれていたのはむしろ、香りが分かりすぎてしまう苦痛や香りにまつわる欲望や執着であったように思う。素敵な食事や香りと暗く生々しいものの両方の描写があったので、どちらもより強く感じられて良かった。 話の軸の一つである朔と一香の関係は、自分にはなんともいえない怖さや不安な感じがあった。 何を考えているかわからない朔は相手のことを見透かすことができ、人に対して諦めることに慣れているが一香には違う感情を持っている印象だった。一香はそんな朔に支配されることを望んでいるように思えて、自分には歪な関係に感じられ、話が進むごとに気持ちがザワザワしていた。 最後はお互い少し前に進んだ終わりだったが駆け足感があって、不安は拭いきれなかった。 続編を読んだとき自分が今度はどう感じるのか、それも楽しみに読んでみたいと思う。
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評価が高かったので読んでみたけど、自分には合わなくて読むのに時間がかかった。朔さんがどうも苦手。 「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される」って言葉は印象的だった。
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気に入った!! 文章の表現がやわらかくて、すーっと頭と心に入っていった。香りの話なのに頭の中では映像として浮かび上がっていた。
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元書店員の若宮一香はバイトに応募する。そのバイトの雇い主 小川朔は類い希な嗅覚を持つ調香師。朔の作る香りとその香りを必要とする人々とが交錯していく。 とても面白かった。 朔の能力は、他の漫画で読んだことがあるものと同じような感じで、時々ある設定なのかな、と思った。匂いが記憶と結びつく、というのもよく知られている。 昔は鼻が利いたほうだったが、最近自信がない。 事件があって、解決する、という感じの小説ではないけれど、静かな小説でいいな、と思う。
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香りを伝える文章に驚きつつ、読み進める。 人並外れた(実際にこんな嗅覚を持ったら生きて行くのが大変)嗅覚を持つ朔と過去に後悔を残す一香をめぐる不思議な物語。 「赤い月の香り」を先に読んでしまったか全く問題なし。
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