透明な夜の香り

千早茜(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2020/04/03
• JAN: 9784087717037

商品レビュー

2024/09/03

香りが人にもたらす素敵な影響と一歩間違えた時の恐ろしさが同時に描かれていました。

植物や料理、名前のある香りから、一香が避けてきたような、名前はないけど誰しも嗅いだことがある香りまで、文字だけで手に取るように伝わってきました。
「香りは記憶と結びついて永遠を生み出す」良くも悪くもその通りだなぁと。

主人公たちも好きだけれど、新城と源さんの存在が安心感があってすごく好きでした。

2024/09/01

職場の昼休みに読み始めたら、穏やかな雰囲気になんだかすぐ眠くなってしまい…全く捗らず。あれ？この小説は自分に合わない⁈と思いきや、全くそんなことはなくて。優しいけれどそれだけでもない、癒しの物語。
たぶん自分は休日に集中して読むほうが向いているってだけ。
謎めいた調香師の朔さん、中性的で儚い雰囲気の人を想像しながら。心に傷や澱のようなものを抱える人々が訪れる、森の中の洋館。エピソード毎に一香の心がちょっとずつ動いて回復していくのを見守るような気持ちで読み進めた。
後半、一香も朔も過去に受けた心の痛みと向き合うところは涙が出てしまう。
誰しも、目を逸らしたまま騙し騙し生きているんだろうなぁとあらためて思った。
向き合って、受け入れて、前を向く。難しいけれど、それができると人生はまた少しずつ進めるのでしょうね。

2024/08/29

以前、ブクログスタッフレビューで紹介され、気になっていたので読んでみました。

香りがテーマになっているのは知っていたけど、色彩についてもとても色鮮やかで、目に見えるようでした。それと対比するように、物静かで、時間がゆっくり流れている感じがとても心地よい。あと、出てくる料理がいちいち美味しそう。

一香と朔の距離感がゆっくり近づくにつれ、お互いの過去を知っていく… 2人の関係性の変化と、相変わらずな新城。最初から最後まで新城は呼び捨てにされていたし。笑

「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される」らしい。忘れたくないことは、何かの香りと一緒に覚えておくと良いのかも。

どうやら続編が出ているようなので、今度読んでみよう。