透明な夜の香り の商品レビュー
小川洋子さんの薬指の標本を彷彿とさせる物語。 ラストに主人公が自分の脚でしっかりと歩けるようになっていくところがとても好ましく感じた。 いつもそうだが、今回は特にハーブ料理の描写に惹かれて、ハーブを栽培したくなってしまった。
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臭覚が異常に発達したことで、匂いだけで様々なことがわかってしまう朔。知りたくないことや知らない方が幸せなことも半ば強制的に知ってしまうのはどれほど生きづらいことか。 目を逸らしていた兄の自死を自分の中できちんと受け入れ、前を向き歩み始めた一香。迎えに来た 新城と朔に、友人として会いに行くと答えた一香は朔と対等な立場で新しく関係を構築していきたいのだろうと感じた。 全編通して花、ハーブ、料理、お茶などの香りがふわっと優しく香るようで素敵な文章だった。
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香りにまつわる人間の事情を解決していく中で主人公は自分を回復させていく。 全体的にメルヘンで抑制が効いたストーリー。少女漫画みたい。 香りや料理の丁寧な描写が美しい。ただ粗暴な生活を送っている私としてはピンとこない部分も多かった。人を選ぶと思う。
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香りを主題にしたストーリー。文面と香りからこんなに素敵な風景が想像できるんだと驚いた。源さんと新城がすごくアクセントになりながら、一香と朔さんの素敵なやり取りに目が離せなかった。また、一貫して所々にトゲが鏤められるバラのような作品だった。 嗚呼、語彙力が欲しい、、、
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人の持つ感覚を、巧みに表現して物語ができていく…読んでて自分の感覚も呼び覚まされるような錯覚に陥る。 特に嗅覚に関しての描写が繊細で、本から香りがしてきそうなほど想像力を掻き立てられる。 千早さんの小説を読んでいると、いつもクライマックスから結末に向けて切なくなる。感情が高揚する...
人の持つ感覚を、巧みに表現して物語ができていく…読んでて自分の感覚も呼び覚まされるような錯覚に陥る。 特に嗅覚に関しての描写が繊細で、本から香りがしてきそうなほど想像力を掻き立てられる。 千早さんの小説を読んでいると、いつもクライマックスから結末に向けて切なくなる。感情が高揚すると共に、結末を知りたい気持ちと知りたくない気持ちが交錯する。
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暗い過去を背負う調香師とお手伝いさんの恋愛小説。 読みながら香り立つような表現の秀逸さに感嘆しながらも、ストーリーは少し単調でした。 直木賞受賞作のしろがねの葉がとても素晴らしかったので、期待しすぎか読み劣りがしました。
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『愛着と執着の違いは、執着は相手が嫌がっても手放さないこと。』 この言葉が私には響きました。 また、登場人物の朔が調香師ということもあり、色んな香りが紹介されていて、匂いを想像しながら読みました。
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文中から様々な香りが立ち上って来る様な、濃厚で贅沢な読書時間を味わう事が出来た。 広い庭園の中に佇む威圧感のある古風な洋館、そこで暮らすのは深い紺色の声を持つ天才調香師・小川朔。 スーパーで「アルバイト急募」の張り紙を見つけ、この洋館で働く事になる元書店員の若宮一香。 この...
文中から様々な香りが立ち上って来る様な、濃厚で贅沢な読書時間を味わう事が出来た。 広い庭園の中に佇む威圧感のある古風な洋館、そこで暮らすのは深い紺色の声を持つ天才調香師・小川朔。 スーパーで「アルバイト急募」の張り紙を見つけ、この洋館で働く事になる元書店員の若宮一香。 この二人が軸となり物語は進む。 朔が作る香りを求め訪れる人達も問題を抱えているが、朔と一香自身も心の奥にそれぞれの闇を抱えている。 香りから導き出されるその人の秘密や嘘、有りえないと思いつつも惹きつけられる。 二人の孤独さえも匂い零れるような恋愛小説。
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香りは人の感情を左右させる。 時には癒しをもたらすが、逆に香害といった攻撃をしてくることもある。そこまで香りに敏感な方ではないが、人並み外れた嗅覚を持つ朔には何とも生きづらい世界だろう。 嘘すら香りで見破る朔もだが、見破られる周りも心を丸裸にされたようで、感情の起伏が少ない一香が雇わられた理由が分かる。 洋館での食事を用意したり食べるシーンは、丁寧な生きてる感を感じつつ、安心感を覚えながら読めた。
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調香師の人の元で働く主人公との恋愛小説(平易すぎる言葉ですが、そう書く) 静かで、でもひとつひとつの香りが立ち上るようで、語彙が足りず表現できないですが、たまらない空気感でした。最後いい感じになるところまで描写されてて良きでした。
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