透明な夜の香り の商品レビュー
天才的な嗅覚を持つ調香師と雇われた女性の話。上質なおとぎ話のようでミステリーのような黒い部分もあり。
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美しかった。 ハーブやスパイス、"香"の表現が美しく、一行一行丁寧に読みたくなる小説。 つかみどころがなく、いい意味で人間味がない儚い人物像が好きなので、朔はすごく好みだった。 他人をシャットアウトし、情を捨てたつもりでも、誰かに必要とされたいと人間らしい感情...
美しかった。 ハーブやスパイス、"香"の表現が美しく、一行一行丁寧に読みたくなる小説。 つかみどころがなく、いい意味で人間味がない儚い人物像が好きなので、朔はすごく好みだった。 他人をシャットアウトし、情を捨てたつもりでも、誰かに必要とされたいと人間らしい感情が露になるのがよかった。 読了後もこの物語の中に浸っておきたいと思える作品でだった。
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+++ 【第6回渡辺淳一文学賞受賞作】 香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。 元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。 その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもと...
+++ 【第6回渡辺淳一文学賞受賞作】 香りは、永遠に記憶される。きみの命が終わるまで。 元・書店員の一香がはじめた新しいアルバイトは、古い洋館の家事手伝い。 その洋館では、調香師の小川朔が、オーダーメイドで客の望む「香り」を作る仕事をしていた。人並み外れた嗅覚を持つ朔のもとには、誰にも言えない秘密を抱えた女性や、失踪した娘の手がかりを求める親など、事情を抱えた依頼人が次々訪れる。一香は朔の近くにいるうちに、彼の天才であるがゆえの「孤独」に気づきはじめていた――。 「香り」にまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。 +++ 調香師にスポットを当てた物語。とは言え、一般的な調香師の仕事というより、小川朔という、人並外れて鋭敏な嗅覚を持つゆえに生きにくく、自らを孤独に追い込んでいるひとりの人間と、彼の世界に入り込んだ、若宮一香の物語と言った方がいいだろう。朔の孤独と、一香の心の闇とがシンクロし、朔が創り出す唯一無二の香りを通して二人の世界の境界を少しずつ曖昧にしていくような印象である。ひとつ間違うと、セクハラであり変態っぽくなってしまいそうなところを、新城という俗世間にまみれた幼馴染を間に挟むことで、絶妙に社会につなぎとめているように見える。決して誰も侵すことのできない世界に身を任せたような緊張感漂う安心感にどっぷり浸れる一冊だった。
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静謐な空間に漂う香りを空想させる物語。 何か過去をもつ女性一香が出会った、小川朔は天才的な嗅覚の持ち主。 その鼻を利用して、友人の探偵新城が持ち込む事件を解決していく。 「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される」時おり、ふとした香りに古い記憶が蘇ることがある。朔の言うのはあ...
静謐な空間に漂う香りを空想させる物語。 何か過去をもつ女性一香が出会った、小川朔は天才的な嗅覚の持ち主。 その鼻を利用して、友人の探偵新城が持ち込む事件を解決していく。 「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される」時おり、ふとした香りに古い記憶が蘇ることがある。朔の言うのはあの事だ、と思ったら小説にひきこまれました。
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同じ著者の「クローゼット」を読んだときの満足感を思い出した。 とても濃くて、気持ちの良い世界感。 他の作品も読もうと思う。
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表現が素敵すぎる 朔さんの目は「ぼんやりと灰色がかった」 朔さんの声は「紺色」 タイトルにもある「香り」はカギ 五感に訴えてかけてくる名作小説
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暗い表紙とは裏腹に、とても丁寧で清潔な毎日を手にとるように想像できた。 魔女の宅急便のキキの実家や、西の魔女が死んだのおばあちゃんの家のように。 ジェのパーベリーがむくみにきくと聞きアロマオイルが欲しくなった。 金木犀は中国原産の気だから中国茶に合う…なるほど。 スポンジを私も煮...
暗い表紙とは裏腹に、とても丁寧で清潔な毎日を手にとるように想像できた。 魔女の宅急便のキキの実家や、西の魔女が死んだのおばあちゃんの家のように。 ジェのパーベリーがむくみにきくと聞きアロマオイルが欲しくなった。 金木犀は中国原産の気だから中国茶に合う…なるほど。 スポンジを私も煮沸消毒しよう。 香りは脳の海馬に届いて、永遠に記憶される。 夜にゆっくり時間をかけて読みたい本。
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古い洋館で調香師朔が依頼に応じ世界で一つだけの香りを作る。依頼は奇妙なものばかり。人並外れた嗅覚でどんな秘密も暴く香りミステリー。 匂いで嘘を見抜き人間不信の朔が,一香を自分の調香した香りで包込むのが気になる
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嘘はとても嫌なにおいがするらしい。人間離れした嗅覚を持つ天才調香師小川朔は、顧客の求めるあらゆる香りを作り出すことができる。怪しげで危険な香りまでも。朔が住む洋館で働く条件「嘘をつかないこと」をクリアし、家事手伝いのアルバイトとして雇われた一香。つらい過去にとらわれ自分を大切にす...
嘘はとても嫌なにおいがするらしい。人間離れした嗅覚を持つ天才調香師小川朔は、顧客の求めるあらゆる香りを作り出すことができる。怪しげで危険な香りまでも。朔が住む洋館で働く条件「嘘をつかないこと」をクリアし、家事手伝いのアルバイトとして雇われた一香。つらい過去にとらわれ自分を大切にすることができなかったが、朔が調合した化粧品や洗剤を使い、朔のレシピでハーブを使った食事を作り、健やかになっていくのが良い。 不穏なところもあるが、爽やかなハーブの風を感じる物語だった。
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