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透明な夜の香り の商品レビュー

4.2

438件のお客様レビュー

  1. 5つ

    164

  2. 4つ

    172

  3. 3つ

    67

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2023/05/18

千早さんの作品は直木賞受賞作「しろがねの葉」を読んで良かったので、次にこの作品を手に取りました。 引きこもりをしていた元書店員の一香が新しいアルバイトで洋館で家事手伝いを始める。 その洋館には調香師小川朔がオーダーメイドで客の望む香りを作る。 オーダーメイドの香りを作りながら...

千早さんの作品は直木賞受賞作「しろがねの葉」を読んで良かったので、次にこの作品を手に取りました。 引きこもりをしていた元書店員の一香が新しいアルバイトで洋館で家事手伝いを始める。 その洋館には調香師小川朔がオーダーメイドで客の望む香りを作る。 オーダーメイドの香りを作りながら一香と朔の関係が 新たに開いていくという物語。 「しろがねの葉」を読んだ時にも鮮明な描写で 暗闇の中にあるもので見えないものであっても 目の前の見えているかのような描写がとても印象的でした。 今回もそのリアル感のある繊細で描写が調香師という特殊な仕事を題材にした物語だったので更に際立た作品でした。 ページをめくるごとに、 言葉の間から香りが漂っていくるかのような雰囲気。 そして特別大きな事件があるわけでもなく、 静かに物語は展開していくのにドキドキ感や秘密めいた ものが潜んでいてとてもドラマチック感が味わえました。 今まで色々な作品を読んできましたが、 こんな感覚を味わったことが殆ど記憶がなく、 作品中では様々な香りが登場してきて夢の中に漂っているようでした。 香りに対しての専門的な知識が豊富に掲載されていたので、 それを新たに知るのもとても新鮮でとても興味が持てました。 私自身も割と他の人より鼻がきく方で、 臭いに対しては敏感なので調香師である朔が発している言葉が時々分かるのも面白味がありました。 「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される。」 とは科学的にも証明されていますが、 実際に自分でも身の周りの香りで様々な記憶が読み戻されることがあり、この作品で更に香りと記憶の存在がよく分かりました。 「嘘は臭う」というのも印象的な事で、 この物語の中でも様々な嘘から本来のものを見つめ直し、 一香と朔の辛い過去も見つめ直すこととなり、 より一層深みのあるストーリーになってラストまで 二人の関係性の気になって仕方がありませんでした。 続編の「赤い月の香り」が新刊となったので、 このまますぐにでも読みたい気分です。 解説の小川洋子さんも良かったです。 これからも目が離せない千早さんの作品になりそうなので、 千早さんの作品をよく知るためにも読んで欲しい お勧めな一冊だと思います。

Posted byブクログ

2023/05/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文字から漂う空気感がすごく好きだった。 読んでる間、ずっと新鮮な空気を吸っている感じがしました。 匂いの記憶ー。 この物語を読んだ人はきっと自分だけの香りの記憶が蘇るんだろうな。 実際、私は母の洗顔フォームの匂いや、祖母のお見舞いへ行った時の匂いを思い出した。 一香がフラッシュバックしたあの匂い。 彼女がまたあの匂いと出会ってしまった時、思い出すのは兄のいなくなったあの日なのだろうか、それとも朔なのだろうか。 匂いの記憶は消えない。だけど上書きすることが出来るかもしれない。そうなってるといいな。 ゆったりと漂う一香と朔とは対照的な新城も、憎めないキャラでとても良いなと思った。 登場人物全ての過去も未来も気になります。もっともっと読んでいたい物語でした。

Posted byブクログ

2023/05/13

描写がとても色鮮やかで綺麗。 すっと読み飛ばすにはもったいないくらいで、じっくり想像を膨らませながら読んだ。彩りある描写と対照的にやや物語は落ち着いたものやけど、救いのあるお話で好きだなぁ。 この人の作品をさらに読んでみたくなった。

Posted byブクログ

2023/05/12

しろがねの葉を読んで、赤い月の香りがこの作品の続編と知り読んで見ました。しろがねの葉より、個人的にはずっと好きでした。 朔と一香の絶妙な関係性もお互いの悲しい過去もそして朔の顧客たちの秘密もその世界感に引き込まれてあっという間に読み終えて、余韻もよくって。赤い月の香り読むのが楽し...

しろがねの葉を読んで、赤い月の香りがこの作品の続編と知り読んで見ました。しろがねの葉より、個人的にはずっと好きでした。 朔と一香の絶妙な関係性もお互いの悲しい過去もそして朔の顧客たちの秘密もその世界感に引き込まれてあっという間に読み終えて、余韻もよくって。赤い月の香り読むのが楽しみで仕方ない

Posted byブクログ

2023/05/10

千早先生は女性の興味あるエッセンスを入れ込んできらきらした世界観を作るのがお上手。 香りがもたらす私達の感情や記憶。 香りは永遠に記憶される。 懐かしい匂いや季節の匂いはその人にとっては永遠に変わらない匂いなのだろうか。 過去の思いだしたくない記憶や忘れられない記憶を色付けする要...

千早先生は女性の興味あるエッセンスを入れ込んできらきらした世界観を作るのがお上手。 香りがもたらす私達の感情や記憶。 香りは永遠に記憶される。 懐かしい匂いや季節の匂いはその人にとっては永遠に変わらない匂いなのだろうか。 過去の思いだしたくない記憶や忘れられない記憶を色付けする要素の一つなのだろうかと、、、 素敵な記憶にしたいなら、匂いもあればなお良しという事か!!!

Posted byブクログ

2023/05/08

人より香りに敏感だと、どういう弊害があり、どんな生き方をすることになるのか。 途中、盲目の人物も出てくるが、目が見えないことによってほかの感覚が研ぎ澄まされるというようなことに似た感じなのかなあと思いながら読んでいた。 ただ、描写としてはもう少し深く調香師の彼のバックグラウンドを...

人より香りに敏感だと、どういう弊害があり、どんな生き方をすることになるのか。 途中、盲目の人物も出てくるが、目が見えないことによってほかの感覚が研ぎ澄まされるというようなことに似た感じなのかなあと思いながら読んでいた。 ただ、描写としてはもう少し深く調香師の彼のバックグラウンドを表現してほしかったし、主人公の抱える闇の部分ももう少し知りたかった、というのが正直なところ。 一冊の本で描ききれない部分もあったのだろう。 ぜひ設定はこのまま、次作以降も読んでみたい。

Posted byブクログ

2023/05/05

タイトルの如く、本当に透明な夜の香りが漂ってくるような、しんとした静謐さに溢れる一冊。 香りが人の記憶をかくも強く呼び覚まし、その行動にすら大きな影響を与えるということに驚いた。 読んでいる間中、文字と文字の間から脳内に直接香りが忍び込むような感覚が漂うのが不思議。

Posted byブクログ

2023/05/01

表紙を見て…怖い系?と、思ってしまいましたがそんなことはなく…ある意味では怖いかもですが…繊細な人達をお互い守り合い、そして純な愛のお話し…と、感じました。

Posted byブクログ

2023/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

続編が出るとのことで、大好きなこちらを再読。 ため息が出るくらい美しい文章と世界観。 千早さんの描く、冷たさを感じるくらいにしん、とした繊細な世界観が本当に好き。 「杖のグリップに香りを仕込むのよ」 「そうしたら、あたしはいつも素敵な香りに導いてもらえるでしょう」 ミツコさんのこの台詞が素敵で印象に残っている。 「ミツコ」は母が昔から使っている香水で、この章を読んでいる間、なんとなく鼻奥に香りが思い浮かんでいた。香りって不思議だ。 何度読んでも世界観にどっぷり。 大好き…!となった所で続編へ。幸せ。

Posted byブクログ

2023/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

匂いが物凄く嗅げる調香師と、興信所のおっさんの幼馴染ペアの話し。 そこに引き篭もりの兄が自殺した、主人公の女の子が働きにくる。 不倫相手の男の匂いを調香してもらったが、やっぱり忘れられなくて不倫男を刺殺した女とか 行方不明になった大学事務員の女性を探すと、美容師に監禁されていたり。 様々な匂いに関する事件など。

Posted byブクログ