透明な夜の香り の商品レビュー
本を開くとそこには、様々な草木の匂いや爽やかなハーブの香りに満ちた世界が広がっている 文字を追いながら香りに包まれる不思議さ。 さらっと乾いた香りのしそうな白い衣服と透明感のある世界。 その中で印象的な色彩を持つもの。 独特の読書体験でした。 しかし人並み外れた嗅覚を持つ調...
本を開くとそこには、様々な草木の匂いや爽やかなハーブの香りに満ちた世界が広がっている 文字を追いながら香りに包まれる不思議さ。 さらっと乾いた香りのしそうな白い衣服と透明感のある世界。 その中で印象的な色彩を持つもの。 独特の読書体験でした。 しかし人並み外れた嗅覚を持つ調香師の小川朔に、全てを見抜かれる感覚には恐怖を覚えました。 その人の体臭から、感情や体調が伝わってしまうのです。 特に嘘の臭いには敏感で、すぐにバレてしまいます。 読みながら感じたことは、私は自分の感情や嘘を人に知られるのが怖いのだな、ということ。 なんだか気持ちがザワザワしました。 そんな中でほっとするのは、朔の友人の新城。 どこか浮世離れした世界の中で、とても人間らしい現実味のある人物です。 登場人物の中で一番好きかも。 そしてラストは…… とても良かったです 未来を感じる余韻が素敵でした。
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不思議なというか独特の雰囲気。 苦手な描写も少なくないものの、完全には手放せないくらいの引力のある物語でした。凄いです。 初読み、気になる作家さんリスト入り。
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「しろがねの葉」はなぜか読み進められず挫折してしまったので、不安でしたが、香水や香りが好きなせいか話に引き込まれてあっという間に読み終えました。 途中重い話も出てきて顔をしかめてしまうところもありましたが、全体を通しては穏やかな雰囲気でした。 最後の終わり方はこれで良かったのかな...
「しろがねの葉」はなぜか読み進められず挫折してしまったので、不安でしたが、香水や香りが好きなせいか話に引き込まれてあっという間に読み終えました。 途中重い話も出てきて顔をしかめてしまうところもありましたが、全体を通しては穏やかな雰囲気でした。 最後の終わり方はこれで良かったのかな?というちょっとした疑問は残りましたが、モヤモヤと嫌な気分にはならず読み終えてスッキリした気持ちです。
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天才的な嗅覚を持つ調香師のもとで、家政婦のような仕事をするようになった女性の連作短編集。 香りから様々なことが分かるのはすごい。ただ文体なのか内容なのか、自分の頭にズンズン染み渡る感じではなかった。
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「透明な夜の香り」タイトル通り読み終わった後、澄んだ夜の空気を感じる物語だった。この過ごしやすい気温の時期の静かな夜に読むのにぴったりな本だった。物語は始終ゆったりとした空気を纏っており、最初は退屈かな?と思ったが読みやすく、且つ文章も美しくてあっという間に読んでしまった。「深い...
「透明な夜の香り」タイトル通り読み終わった後、澄んだ夜の空気を感じる物語だった。この過ごしやすい気温の時期の静かな夜に読むのにぴったりな本だった。物語は始終ゆったりとした空気を纏っており、最初は退屈かな?と思ったが読みやすく、且つ文章も美しくてあっという間に読んでしまった。「深い紺色の声」という表現がすごく好き。文字だけで香りが想像できたし、作中出てくる食べ物や飲み物がとても魅力的。摘みたてのジャスミンティー飲みたいし薔薇のジャムも食べてみたいなぁ〜。そして洋館の雰囲気がすごく素敵。 欲しい香りを求めて様々な依頼者が登場する。私も香りで記憶が呼び起こされるのは経験がある。ふと思い出すのだ。その度に香りと脳の結びつきの強さに「よく覚えてたなぁ」と驚く。どうやらこの「香り」の記憶は永遠に残るらしい。それほど香りが人間に与える影響(効果?)は大きいらしい。続編もあるようなのでぜひ読んでみたい。
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◇◆━━━━━━━━━━━━ 1.感想 ━━━━━━━━━━━━◆ 不思議な雰囲気にのまれる感じでした。 たまに登場する新城が「唯一の現実」と感じるような、そんな非現実的な空間の中に入り込むような感じでした。 ほんと、不思議な世界観でした。 主人公、一香の心の声が、毎回、意識...
◇◆━━━━━━━━━━━━ 1.感想 ━━━━━━━━━━━━◆ 不思議な雰囲気にのまれる感じでした。 たまに登場する新城が「唯一の現実」と感じるような、そんな非現実的な空間の中に入り込むような感じでした。 ほんと、不思議な世界観でした。 主人公、一香の心の声が、毎回、意識を違うところに飛ばし、「はっ」、として戻ってくることの繰り返しが、とても多かったです。 目に見えないものを、見に見えるように表現している、そんな風に感じました。目に見えるものと、目に見えないもの、どちらが大切なのか、なんてことを、昔、考えていたことを思い出しました。また、いろいろなことへの意識を広げるきっかけになるような、そんな感覚を抱きました。 たくさんのふしぎで、「名前のちから」を読んだ時に感じたことが、ふと、よみがえりました。名前がないものは、存在しないか、一括りにされる。匂いも、いい、臭い、甘い、刺激臭、加齢臭、いろいろありますけど、知らない臭いの名前は、山ほどあるんでしょうね。 「人は記憶を選択することはできないのだろうか」ということばごあって、ほんとだよな〜、と考えちゃいました。 毎週のように、恥ずかしい行動を繰り返す日々の私は、ほんと、それを思い出して、「うわっ」、と叫んでしまうことが多く、そんな記憶を忘れたいと思う日々です( ; ; ) 良い作品でした。最後もよかった。 次回作に一香は登場しなさそうなのが残念。 ◇◆━━━━━━━━━━━━ 2.あらすじ ━━━━━━━━━━━━◆ 兄との関係に深い傷を持つ一香。どん底の生活を送る中で、バイトとして、朔と、新城と出会う。 2人との出会いが一香をどん底から救い出していく。 ◇◆━━━━━━━━━━━━ 3.主な登場人物 ━━━━━━━━━━━━◆ 若宮一香 いちか 小川朔 鼻がいい、天才、調香師 新城 源次郎 庭師 さつきちゃん 友達 【客】 藤崎 20代後半に見える、美人、未亡人 ミツコ おばあちゃん、盲目 オリザ フランス人とのハーフ、モデル、女優 美結 みゆ、大学の事務員 木場 警察官 仁奈
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一つ一つ文章を噛み締めたくなる本『香り』を中心とした人間模様で、やっぱり人の記憶は案外香りによって記憶されているんだよなあと感じた。文章が綺麗で起伏が激しい本では無いけど、不思議とするすると読み進めた。
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不思議なお話だった。 朔がいる香りの世界はどんななんだろう。 時にハーブのように爽やかで、時に夜の妖艶さもあり。 そこにいつの間にか一香だけでなく、読者も囚われる感じ。 香りもこんな風に言語化できるんだなぁ、って思った。
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「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される。」 先日読んだ"赤い月の香り"の1作目。 本を読んでいるだけなのに、常に香りを纏っていて不思議な感覚… 静かなのにドキドキ感も感じられる小説。
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独特な嗅覚をもつ朔が印象に残る話だったけど、割と最初の方で「あんた、朔に惚れるなよ」って一花が新城から言われて、なんとなくこの先の展開を頭の中で描いてしまったので… 色んな食べ物がでてきて、特に『烏龍茶と金木犀の花のジュレ。下は練乳の入ったミルク寒天』 これ!これ食べてみたい。...
独特な嗅覚をもつ朔が印象に残る話だったけど、割と最初の方で「あんた、朔に惚れるなよ」って一花が新城から言われて、なんとなくこの先の展開を頭の中で描いてしまったので… 色んな食べ物がでてきて、特に『烏龍茶と金木犀の花のジュレ。下は練乳の入ったミルク寒天』 これ!これ食べてみたい。想像するだけでもう美味しそう。
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