透明な夜の香り の商品レビュー

千早茜(著者)

2023/08/06

どんな匂いも再現する調香師の朔さんの元に来る訳ありのお客さん。依頼の匂いが気になると共に自分やったら何を依頼するかな、と考える。
朔さんと一香ちゃん、新城さん、源さんの関係性ややり取りが好きでずっと見てたい。
この静かでゆったりとしつつ薄暗い雰囲気というか空気感がめちゃくちゃ好きすぎる。

2023/08/06

綺麗な文章だった。そしてお話も面白い。
ゆったりとした時間が感じられるような、そんな作品でした。
安易に恋愛に発展しない所も良かったです。

2023/08/05

色と香りの描写が、みずみずしい、というのか、印象的というのか。香りという見えないが、心に強く作用するものが中心にあるからか、少しホラーっぽくもあり。

主人公の若宮一香は、スーパーに貼られたアルバイト募集広告に応募して、高台にある屋敷を訪れる。そこに現れた小川朔は、一香のバッグの中に一輪の薔薇が入っていることを当て、一香がしばらく身体を動かしていないと指摘し、そしてファンデーションのメーカーまで当てた。彼は特殊な香りを作る調香師と名乗り、いい給料で家政婦兼、事務、接客で一香は屋敷に通うことになる。

人の心が全部読めたら、みたいな小説を読んだことがあるが、鋭すぎる嗅覚を持つ朔、単純にいいなあ、とはなりそうもない。緊張だけでなく嘘の匂い、何かを企んでいる悪の匂い、人の心や見えなくてよいものまで、匂いの情報が脳に流れ込んでくるという。そんな朔に心を見透かされているように感じた一香は、少しずつ朔に自分を理解して救ってもらえないかと、期待のようなものを抱いていく。

2023/08/05

好きな作品でした。
香りを中心とした人間模様が見れ、こういった作品好きだなあと読みながら思ってました！
続編もあるということで楽しみです。
けど朔さんのような能力があったら生きるの大変ですね…。

2023/08/04

静謐だが内容は決して綺麗なものばかりではなく、それでいて文体がとても上品故に人の汚さすら耽美な香りを放っているように思わせられるような、そんな一冊だった
朔の香りを求める人たち全員に物語的な結末を用意するのではなく、
あくまで一香を通して見えたものが描かれているのも印象的で、
良い意味でお話っぽくなりすぎず、神秘的でありながら生活感を感じる不思議な読書感でした

2023/08/02

いつまでも、朔と一香と新城のゆったりとしたストーリー読んでいたかった。読み終えるのが惜しい感じがした。
続編に一香も出てくるといいな～

2023/08/01

調香師って道化師みたいな謎めいたイメージ。朔はギフテッド的な存在。
嘘の匂いまで感じられる。自分の意志とは関係なくいろんな香りや匂い、時には臭いも感じとってしまうのはかなりキツそう。
一香との出会いで自分を見つめ直すことができて、次回作がどうなるか楽しみ。

2023/08/01

香りがテーマの作品。

香りは脳の海馬に直接届いて、
永遠に記憶される。
ひきだしとなる香りに再び出会うと
記憶が呼び起こされる。

、、、なるほどなと思わされた。

自分が纏う香りは
食事や睡眠、ホルモンバランス
といった生活習慣が少なからず影響してくる。
嘘にも香りがあるそうだ。

作中にはハーブやミント、季節の果物を
使った丁寧な食事を摂る場面が多々ある。

私自身も主人公のように、口に入れるものを
選ぶのではなく、手近なもので済ませがちだ。

この作品を読んで、食事や身につける物など
生活に使用するありとあらゆる品々を
きちんと整える大切さを感じた。

ぜひ次作も読んでみたい。

2023/07/30

調香師のお話
主人公と調香師の朔はそれぞれ闇を抱えている二人
ミステリー的なお話かと思いきや 心温まる？お話でした

新城さん 源さん さつきちゃん 周りの人々のキャラも大好きです

2023/07/30

もともと「香り」に興味があり、調香師の物語という珍しさゆえに衝動買いをした。ちょうど作者が直木賞を受賞し話題になっていたが、受賞作の方は今ひとつ興味を惹かれずこちらを…

始まりの方はあまりテンポに乗れなかったが、読み進めると独特のテンポ感に乗っていき、最後は一気に読み進めた。私は、ある程度はサクサクと飛ばしながら読む方なのだが、千早さんの描く言葉は一つ一つが目を引いて、読み飛ばしていくことが惜しく感じられた。そのため、いつもより丁寧に読むこととなり時間はかかったが、読了後の余韻がなんとも言えず、香りを嗅いだあとのような頭がぽやっとするような心地よさを感じた。