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〈あの絵〉のまえで の商品レビュー

3.9

143件のお客様レビュー

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2024/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

その絵の前にたどりつくまでの、それぞれのエピソード。それは決して幸せなものばかりではなく、思いどおりにはいかない喪失感がただよっている。そんな心によりそってくれるのが絵画や芸術なのかもしれない。その絵の前で、ほんのすこし心が癒される。

Posted byブクログ

2024/07/18

登場する絵画たち、これらすべて日本国内の美術館で所蔵されているって改めてものすごいことだなと。 それぞれ主役になっている絵画、所蔵する美術館が素敵すぎて実際に行ってみたい、どこも足を運ぶには遠くて一生のうちに見に行けたらいいなと思うような夢のような場所だと思う。 「ハッピ...

登場する絵画たち、これらすべて日本国内の美術館で所蔵されているって改めてものすごいことだなと。 それぞれ主役になっている絵画、所蔵する美術館が素敵すぎて実際に行ってみたい、どこも足を運ぶには遠くて一生のうちに見に行けたらいいなと思うような夢のような場所だと思う。 「ハッピーバースデー」語り手:カープ女子3世代婆母娘 《ドービニーの庭》フィンセント・ファン・ゴッホ 1890年 ひろしま美術館蔵 本当にみどりの色遣いが美しくて見入ってしまう 「窓辺の小鳥たち」語り手:ファミレスで働く彼氏を持つ女性 《鳥籠》パブロ・ピカソ 1925年 大原美術館蔵(倉敷)  ⇒単行本表紙 解釈しがいのある絵画ですよね、鳥籠、籠の中の鳥、自由に羽ばたいていけるのか、いけないのか 「檸檬」語り手:なんだか抜けてるOL、同僚から疎まれがち 《砂糖壺、梨とテーブルクロス》ポール・セザンヌ 1983-1984年 ポーラ美術館蔵(箱根) セザンヌといえば静物画、しかし小説の中では、“静物画なのにちっとも静かではないし、止まってもいない。ここのオブジェの隅々まで輝く命が宿っている。”と感じています。“まるでおしゃべりをしているかのようににぎやかで、転がり落ちそうな躍動感がある。”とも。 「豊饒」小説家になりたくて限界一人暮らしをする女性、お隣さんと 《オイゲニア・プリマフェージの肖像》グスタフ・クリムト 1913-1914年 豊田市美術館蔵(愛知)  ⇒文庫本表紙 クリムトのこの絵画、日本で見ることができるんですね、知りませんでした。《接吻》や本作のような所謂クリフトらしい絵、実物見てみたいです この短編のタイトル「豊饒」というのが、まさにこのクリムトの描く女性を表現していることが、読んでいてとても胸にきました。 「聖夜」語り手:一人息子を亡くした老夫婦 《白馬の森》東山魁夷 1972年 長野県信濃美術館・東山魁夷館蔵 美しい、本当に美しい絵だなと思いました 今夏、山種美術館で東山魁夷の企画展あるので楽しみです 「さざなみ」子宮内膜症で手術をした女性 《睡蓮》シリーズ5点 クロード・モネ 1914-1926年 地中美術館蔵(直島、瀬戸内) 日本のオランジェリー美術館のようですね アートの島、夢のような場所です

Posted byブクログ

2024/07/18

短編集で読みやすく1つ1つのエピソードが温かった。美術って昔は何の興味がなかったけど、エピソードや歴史などを理解すれば本当に価値のあるものがあるのかなーと思った。自分の子どももいつか連れていきまい

Posted byブクログ

2024/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

それぞれの話に実在する絵画が出てくる短編集。 ハッピー・バースデー ひろしま美術館には何度も足を運んだことがあるのに、ゴッホの〈ドービニーの庭〉がどんな絵だったか思い出せないのが悔しい!八月六日は広島の人間にとっては特別な日だよね。 窓辺の小鳥たち 大原美術館にあるピカソの〈鳥籠〉が出てくる。美術館のある倉敷には何度も行ったし、一時期は岡山(といっても県北だが)にも住んでいたことだってあったのに、行ってないのが悔やまれる!絵の中の鳥は鳥籠の中じゃなくて窓辺にいるのでは?だから籠の中の鳥ってタイトルじゃなくて鳥籠なのでは?という視点が面白い。アートってそうやってみるのもひとつだよね。 檸檬 ポーラ美術館にも行ったのに、ポール・セザンヌの〈砂糖壺、梨とテーブルクロス〉のことは微塵も覚えてない…。絵どころか、ポールのことすら知らなかった。描き手や絵のイメージが湧かなくてなかなか入り込めなかった。美術部の先輩と職場の同期のやることが鬼。 豊饒 クリムトの代表作といえば〈接吻〉。でもここで出てくるのは〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉。この絵を見たことはないが、きっとゴージャスな金ピカ背景に鮮やかな色彩の女性が描かれているんだろうなーなんて想像しながら読んだ。作家の夢を諦めかけていた亜衣が、隣に引っ越してきたスガワラさんというおばあちゃんと仲良くなり、作品を完成させる話。スガワラさん、学芸員さんじゃなくて清掃員さんだったんだね!それでもチケットをあげて見に来てねって言えるのが素敵。 聖夜 このシリーズで初めて知っている絵が出てきた!それも大好きな東山魁夷の〈白馬の森〉!自分の好きな作品が出てきてとっても嬉しい。京都で見た『ほんとうの「あお」に出会う』の中にあった《緑響く》に一目惚れしてからずっと長野県立美術館の東山魁夷館に行きたいと切望しているので、話に出てきてわくわくした。 ストーリーは息子を亡くした両親が息子の思い出を回想するものなので、どこか淋しさを感じさせる。息子が紹介しようとしていた彼女が〈白馬の森〉の絵の前で立っているところで、話しかけるわけではなく幸せになってねとそっと語りかける母の姿に胸を打たれた。 東山魁夷館は絶対に行きたい。何としてでも行く。 さざなみ 直島に行きたくなった。アートの島として有名なのは知っているが、まだ行ったことがない。あおいのように、全身でアートを感じたい。出てくるのはモネの〈睡蓮〉なので、アートに明るくない人でもこの話は楽しめそう。

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2024/06/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

国内の美術館にまつわる短編集。「豊穣」「聖夜」の話が好きだった。豊穣は、作家を目指す女性が自立しようと奮闘していた矢先に、育ての親である祖母が実家でひとり亡くなっていた連絡という受けた後から話が始まる。隣に引っ越してきた祖母と面影が重なる年配の女性との交流を機に、生きる力を取り戻し、諦めかけていた作家の夢に向けて再出発する。女性は自分の話を受け止めてくれ、時に励まし、本当の祖母と重なる部分も多く…これから2人の話が広がっていくんだろうなというタイミングでの別れ。先が気になるけれど想像を膨らませるのも楽しい (読書メーターからの転記)

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2024/04/14

家族や大切な人と離れて寂しくなっている時に、それまで他人だった人から思いがけず背中を押される話がたくさんあったけど、どれも心が温かくなったりグッときたりした。その時々の自分が置かれた状況で、また読み直すと違う感想が出てきそう。

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2024/04/14

1つの絵を誰かと共感してみたいな、と感じました。 身近な人ならそれを長い間観て、見守ってもらいたい。 そんな絵と出会いたいと思いました。 それが落書きなのか、名画なのか、その時が来るのを楽しみに待ちたい。

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2024/04/06

その絵は入り口を入って すぐ右側の壁にあります ここは大原美術館 ピカソの「鳥籠」の前に立つと 本当だ かごにとらわれた鳥でなく 自由に飛べる鳥のように見えます          絵画に誘われる6篇の物語。 「窓辺の小鳥たち」を読み、無性に その絵に会いたくなりました。 主人公が...

その絵は入り口を入って すぐ右側の壁にあります ここは大原美術館 ピカソの「鳥籠」の前に立つと 本当だ かごにとらわれた鳥でなく 自由に飛べる鳥のように見えます          絵画に誘われる6篇の物語。 「窓辺の小鳥たち」を読み、無性に その絵に会いたくなりました。 主人公が一枚の絵に出会い、 新たな一歩を踏み出そうとする。 ゴッホ、ピカソ、セザンヌ、クリムト、 東山魁夷、モネの絵がそっと背中を押してくれる。 大原美術館で観た〈あの絵〉 鳥は飛び立ち 煌めくさざなみの上を行く 翼を大きく広げながら

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2024/04/12

淡々とほっこりする短編が続いたが、「豊穣」でグッときて最後の「さざなみ」で泣きそうになった。 どの話もよくある?あるあらすじなのに、どうして原田さんの小説はうるっとくるんだろう。

Posted byブクログ

2024/03/31

時を超えて、つながるもの。それが絵画。 マハさんの6つの物語が収納された本作。登場人物の立場も、それぞれの絵との向き合い方も、そもそもの絵画作品もバラバラではあるものの、「あの絵」のまえでつながるひとたちに、どこか心温まるものがあった。

Posted byブクログ