〈あの絵〉のまえで の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・短編集で、すごく読みやすかった。 それぞれ実在する美術館と絵画が登場し、 主人公の現実味が増した。 ・『ハッピー・バースデー』の主人公は、なかなか決まらない就活で忙しいなか、自分の誕生日(8/6)やその誕生日は母と慰霊碑に毎年行っていたのに、忘れてしまう。 忘れたことを自分自身ですごく責めるシーンがあるが、本当に大事にしたいことを忙しさで蔑ろにしてしまった時の気持ちがすごく共感できる。 ・『豊穣』の主人公の女性は、小説家を目指して一人暮らしして、うまくいかずサクラレビューをしている。そこに隣に越してきた老年の女性と過ごして、小説を読んでもらうという約束をしたちめに、一念発起して小説を書く。 冒頭が、イルミネーションのある家を妬ましく思い、隣の男女の深夜の喧嘩を五月蝿く思うところからはじまる。 生活が変わっていく中で、主人公は昼夜逆転の生活ではなくなり、クロワッサンを歩いて買いに行き、コーヒーを自分で挽いて、レビューの仕事はサクラではしなくなり、モニターになっていった。 隣の男女の喧嘩は、寝る時間が変わったことで聞こえなくなり、それを幸せと言っている。 辞めさせるんじゃ無くて、聞こえないようにする、遠ざけることで幸せだと思える状態になる。 自分にとってストレスない生活を手に入れていく。 これは私が生きていく上でも、思い出していきたい。 ・『さざなみ』が、病気で理不尽に解雇されてしまった主人公の女性が、直島のアートのパワーと睡蓮の絵画で、パワーをチャージしているところが、私まで清々しい気持ちになった。
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6篇のストーリー。どの作品もとても素敵でした。 個人的には6つめの「さざなみ」で足を運んだことのある地中美術館でモネの睡蓮を見て私も同じように言葉にならない感動をした記憶があり、その時のことを思い出して、また行きたくなりました。 絵の前で人は素直になれて、自分の心を曝け出す。...
6篇のストーリー。どの作品もとても素敵でした。 個人的には6つめの「さざなみ」で足を運んだことのある地中美術館でモネの睡蓮を見て私も同じように言葉にならない感動をした記憶があり、その時のことを思い出して、また行きたくなりました。 絵の前で人は素直になれて、自分の心を曝け出す。 美術館はそういう場所なのだと原田マハさんの小説を読むといつもそう感じます。 美術館に行って心ゆくまで絵画鑑賞したくなる本でした。
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サラサラ読みやすい。題材になった幾つかの絵については本物を見に行きたくなるくらい引き込まれた。でもあまりにサラッと終わるショートストーリーで、長く記憶に残らなさそうな、、
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美術館を題材にした何話かの物語が紡がれている。 原田さんが日本の絵画を取り扱うなんて珍しいなーと思ったり。
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それぞれ実際にある美術館の特定の絵をテーマにした、6篇の短篇集。とても清々しい気持ちになる素敵なストーリーの数々だった。 どれも日本の美術館のとある絵がテーマなので、実際に観てみたい!と思ったら割と簡単に観に行けるのもいいなと思う。私はポーラ美術館と地中美術館にとても行きたくなっ...
それぞれ実際にある美術館の特定の絵をテーマにした、6篇の短篇集。とても清々しい気持ちになる素敵なストーリーの数々だった。 どれも日本の美術館のとある絵がテーマなので、実際に観てみたい!と思ったら割と簡単に観に行けるのもいいなと思う。私はポーラ美術館と地中美術館にとても行きたくなった!
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原田マハの〈あの絵〉の前でを読みました。 短編6話で、原田マハらしく、絵画と美術館が出てきます。 ハッピーバースデーはひろしま美術館のゴッホのドービニーの庭が出てきます。 窓辺の小鳥たちは、大原美術館のピカソの鳥籠です。 ひろしま美術館と大原美術館は半世紀近く前学生時代自転車で山...
原田マハの〈あの絵〉の前でを読みました。 短編6話で、原田マハらしく、絵画と美術館が出てきます。 ハッピーバースデーはひろしま美術館のゴッホのドービニーの庭が出てきます。 窓辺の小鳥たちは、大原美術館のピカソの鳥籠です。 ひろしま美術館と大原美術館は半世紀近く前学生時代自転車で山陽山陰を旅したときに、思い出深いばしょです。 檸檬はポーラ美術館の砂糖壺、梨とテーブルクロスです。 豊穣は豊田市美術館のオイゲニア.プリマフェージの肖像です。 聖夜は東山魁夷館の白馬の森です。 白馬の森は行ってみたい御射鹿池がモデルになっているので、興味がある絵ですね。 本物が見たいです。 さざなみは安藤忠雄が設計した地中美術館のクロードモネの睡蓮です。 どれも原田マハらしく、温かい短編に仕上がっていて良かったです。 お勧めの一冊で出来たら美術館と絵画も見て欲しいです。
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この後、登場人物には過酷さ、切なさが約束されている。しかし、そんな人生でも一瞬、自分に帰れる機会を芸術がもたらしてくれることもあることを伝えた短編集。 小説家を目指す女性の話が一番のお気に入りです。
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山陰 四国旅行に行く為読破。大原美術館 地中美術館など、各地美術館の所蔵作品と話しを繋いだ短編集
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ゴッホ、ピカソ、セザンヌ、クリムト、東山魁夷、モネ。人生の脇道に佇む人々が〈あの絵〉と出会い、再び歩き出す…。アート小説の名手による極上の小説集。
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*登場する絵と美術館 ドービニーの庭 フィンセント・ファン・ゴッホ(ひろしま美術館蔵) 鳥籠 パブロ・ピカソ(大原美術館蔵) 砂糖壺、梨とテーブルクロス ポール・セザンヌ(ポーラ美術館蔵) オイゲニア・プリマフェージの肖像 グスタフ・クリムト(豊田市美術館蔵) 白馬の森 東山魁夷...
*登場する絵と美術館 ドービニーの庭 フィンセント・ファン・ゴッホ(ひろしま美術館蔵) 鳥籠 パブロ・ピカソ(大原美術館蔵) 砂糖壺、梨とテーブルクロス ポール・セザンヌ(ポーラ美術館蔵) オイゲニア・プリマフェージの肖像 グスタフ・クリムト(豊田市美術館蔵) 白馬の森 東山魁夷(加賀の県信濃美術館・東山魁夷館蔵) 睡蓮 クロード・モネ(地中美術館蔵) 巨匠によって描かれた一枚の絵が、何年もの時を経て、現在に生きる人々の生きる力になる。そんな6つの短編集。 読み終わってだいぶん経ってしまい、細かい部分を色々忘れてしまっている。ほやほやのうちに箇条書きでもメモしておけば良かったと反省。 印象に強く残っているのは<白馬の森>の『聖夜』と、<睡蓮>の『さざなみ』。 モネの<睡蓮>はポーラ美術館で鑑賞したことがあるが、是非とも地中美術館で観てみたい。わたしはどのように感じるのか、体験してみたい。 一枚の絵が秘めている力を想う。 その絵画の秘めたる力に触れられるような生き方をしたいと思った。
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