〈あの絵〉のまえで の商品レビュー
それぞれのストーリーに一枚の絵画と、 日本全国の美術館がひもづいて紹介されている。 いつも絵画はすこし傷ついた誰かをそっと癒したり、誰かとの約束を生みだす前向きなきっかけを 作ってくれる。 絵の前でしばらく佇み、作家は何を想って描いたのだろうか、この絵の前で自分の大切なあの人は...
それぞれのストーリーに一枚の絵画と、 日本全国の美術館がひもづいて紹介されている。 いつも絵画はすこし傷ついた誰かをそっと癒したり、誰かとの約束を生みだす前向きなきっかけを 作ってくれる。 絵の前でしばらく佇み、作家は何を想って描いたのだろうか、この絵の前で自分の大切なあの人は何を想っただろうか、と想いを巡らすことで、いま現在ここにいる自分からしばし離れ、過去との時間のつながり、奥行きを感じ取ることができる。 文章を読む中で、美術館の静謐な空間のイメージが浮かんだのも良かった。いくつか行ったことがある美術館については懐かしかった。また、新たに行ってみたい美術館ができた。
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主人公が絵を見た時に感じたのと同じように心にスッと風が抜けて、ふわふわのソファにゆっくりと腰を下ろせるよな、スッキリとホッとする気持ちを一度に感じる本でした。自分を見つめなおす時でありながら決して暑苦しくはなく、なんとかやってみるために体を軽くしてくれる、そんな優しさがあった。
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美術館や絵画が登場人物の人生に関わる短編集。 一枚の絵、一つの美術館に出会う事で忘れていた大切な何かに気づき、人生の方向性が変わっていく。 個人的には表紙にも使われているピカソの鳥籠が扱われた窓辺の小鳥たち、クリムトのオイゲニア・プリマフェージを扱った豊饒、モネの睡蓮を扱ったさ...
美術館や絵画が登場人物の人生に関わる短編集。 一枚の絵、一つの美術館に出会う事で忘れていた大切な何かに気づき、人生の方向性が変わっていく。 個人的には表紙にも使われているピカソの鳥籠が扱われた窓辺の小鳥たち、クリムトのオイゲニア・プリマフェージを扱った豊饒、モネの睡蓮を扱ったさざなみがよかった。 町や島の情景が目に浮かぶ文体にぜひその場に行ってその絵画を見てみたくなった一冊。
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ピカソの絵が、豊田市美術館が、クリムトが、東山魁夷が、直島が!物語の要所要所にアートに関するものが出てきてたちまち幸せになる。 この本を読んで、アートに触れるきっかけっていろいろいなことがあるんだと再認識した。その人なりの癒しになればいいと思う。 直島にまた行きたい。
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絵画にまつわるエピソードを集めた短編集。 最後に収録されている短編には直島が出てくる。私も昔行ったことがあるけれど、当時、地中美術館はスタッフさんが白装束で、土禁の部屋があったり、壁にもたれかかった人が注意されたりしていて(設計者が有名だから?)、アート教とでもいうような、「アー...
絵画にまつわるエピソードを集めた短編集。 最後に収録されている短編には直島が出てくる。私も昔行ったことがあるけれど、当時、地中美術館はスタッフさんが白装束で、土禁の部屋があったり、壁にもたれかかった人が注意されたりしていて(設計者が有名だから?)、アート教とでもいうような、「アート」を崇め奉ることを強いられるような雰囲気があって、正直、ドン引きだった。今は少し雰囲気も変わったのかな?(土禁の部屋はまだあるっぽいけど)光のあふれる瀬戸内の美しい島で、美しいものを見て感じて癒されるような場所になっているなら、また行ってみたいな。
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人生の中で曲がり角の位置にいる人たちが、日本国内の各美術館が所蔵している有名画家の作品に出会う。 アートに関しては長けた知識をもった原田さんだから、きっと濃厚な作品との絡みがあるかと思っていたのですが、意外にサラッとした内容。 でもアートが人に与えるパワーは感じました。
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1つ話に1枚の絵が出てくるアート小説短編集。それぞれに有名な絵だけど、詳しくない私は知らなくて、検索して見てみたりしながらの読書でした。 どのお話もとっても良くて、日常生活や転機で出会う1枚の絵に救われたり、心癒されたり、背中を押されたり。心が暖かく優しい気持ちになる一冊。 絵...
1つ話に1枚の絵が出てくるアート小説短編集。それぞれに有名な絵だけど、詳しくない私は知らなくて、検索して見てみたりしながらの読書でした。 どのお話もとっても良くて、日常生活や転機で出会う1枚の絵に救われたり、心癒されたり、背中を押されたり。心が暖かく優しい気持ちになる一冊。 絵には疎くて、美術館とは縁のない私。 絵を見てこんな風に感じるんだなぁ、感じてみたいなぁと思いました。ただ、それって感じようと思って感じるものではないんだよね、きっと。この小説にもあるように、ふっと出会って心動かされたりするものなんだろうな。残念ながら私はいまだかつてそんな経験がありません。アートって私にはなんか難しい。でもこの本を読むことによって、いいものなんだろうなぁと思えました。
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一気読みしました。 どれも読んだ後、とりささみをほぐしたような(例えがおかしいけど)ほんわかした気持ちになりました。 人生のなかで一枚の絵が溶け込んでいる、というのが現実生きてると無いものなんで、この本の主人公がちょっぴりうらやましい。
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火曜の夜、初めて来たカフェで、鼻水ちょちょぎらしながら読了。 日本に実在する美術館の〈あの絵〉のまえで、繰り広げられる心温まる6つの短編集。 マハさんの住まいのひとつである蓼科や、幼少期の思い出の地でもあるという岡山、広島も舞台にされていて、マハさんといっしょに日本中を旅する...
火曜の夜、初めて来たカフェで、鼻水ちょちょぎらしながら読了。 日本に実在する美術館の〈あの絵〉のまえで、繰り広げられる心温まる6つの短編集。 マハさんの住まいのひとつである蓼科や、幼少期の思い出の地でもあるという岡山、広島も舞台にされていて、マハさんといっしょに日本中を旅するように、軽やかな気持ちで読み進めることができました。 ジヴェルニーの食卓、常設展示室、と短編をいくつか経てきたけれど、この1冊がいちばん読後感がさわやかで、ほろりと心がほぐされる気持ちになれたのが幸せでした。 後半の『豊穣』『聖夜』『さざなみ』がたたみかけるように泣かせてくる…! 今年は瀬戸内芸術祭、行けるかな。東山魁夷館にもいつか行ってみたい。 表紙の絵は作中に登場するピカソの〈鳥籠〉。 アートや文化のもつ力を何度も何度もお話を通して気づかせてくれる、感動を与えてくれる、マハさんにしかできないことだよなあ。といつも感じます。 私にも、人生の岐路を見守ってくれている絵があるだろうか。これからでも見つけられたらいいなあ。 作品内に登場する絵画 ハッピー・バースデー 〈ドービニーの庭〉 フィンセント・ファン・ゴッホ 1890年 ひろしま美術館蔵 窓辺の小鳥たち 〈鳥龍〉 パブロ•ピカソ1925年 大原美術館蔵 檸檬 〈砂糖壷、梨とテーブルクロス〉 ポール・セザンヌ1893- 1894年 ポーラ美術館蔵 豊鏡 〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉 グスタフ・クリムト1913- 1914年 豊田市美術館蔵 聖夜 〈白馬の森〉 東山魁夷1972年 長野県信濃美術館・東山魁夷館蔵 さざなみ 〈睡蓮〉シリーズ5点クロード・モネ 1914- 1926年 地中美術館蔵
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派手な展開はないけれど、どこか心がほっこりするようなお話が6話。 絵画がモチーフとなっており、久しぶりに絵が見たい!!と思わせてくれた。 長野県の東山魁夷の美術館に行ってみたいなぁ。
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