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勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~ の商品レビュー

4.2

98件のお客様レビュー

  1. 5つ

    29

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/07/04

せめて誰かのために手を動かしたいと思っているのは先生だけではありません。少しでも生きさせたい。たとえ人の命は引き延ばせなくとも、それでも人間にはできることがあるはず。あると信じているから沢庵を切るんです。大根が涙で揺れる中を何も言わず包丁を動かし続ける。のっけから既に涙腺崩壊。先...

せめて誰かのために手を動かしたいと思っているのは先生だけではありません。少しでも生きさせたい。たとえ人の命は引き延ばせなくとも、それでも人間にはできることがあるはず。あると信じているから沢庵を切るんです。大根が涙で揺れる中を何も言わず包丁を動かし続ける。のっけから既に涙腺崩壊。先が思いやられる。文体は洗練が進みテーマも実にイイ。生ではなく死と向き合う医療。どこにも教科書はない。一人ひとりの医師が悩み悶絶しながら自らの信念に基づき苦闘している。今回も深く考えさせられた。

Posted byブクログ

2020/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

安曇野のみずみずしい景色がまるで映像のように伝わってくる描写がとても好き。 神様のカルテファンとしては、栗原先生が出てきそうで出てこないのが「くぅー、憎いねぇ」となりました(笑) 今回は主人公が研修医ということで、神カルよりもフレッシュなイメージ。 医療が発達した現代では自分で物が食べられなくても、呼吸が出来なくても、機械に繋げば生きられてしまう。そんな時代だからこそ「看取り方」は難しい問題だなと。 医療現場の現実を通して「生きること」「死ぬこと」について考えさせられました。 そしてなんと言っても医療のお話の中に散りばめられた正太郎と琴美の恋模様。 夏川さんの書く夫婦愛や恋愛模様が大好きなので、つい頬が緩んでしまうのを自覚しながら読んでいました。 神カルでの一止と榛名夫婦の穏やかな空気感が大好きだけれど、正太郎と琴美の甘酸っぱい恋もいいなぁ。 続編があるならぜひ読みたいです。

Posted byブクログ

2020/06/12

安曇野の豊かな自然を背景に、地方病院に勤める一人の研修医と看護師を中心に綴られる、高齢者医療の現実とかかわる人々の懸命な生きる姿を描いた連作短編集です。 実直に地方都市の医療制度のいびつさと高齢者医療の限界を描きつつ、それでも人の善性、生きる尊さを諦めずに見つめて物語に昇華する...

安曇野の豊かな自然を背景に、地方病院に勤める一人の研修医と看護師を中心に綴られる、高齢者医療の現実とかかわる人々の懸命な生きる姿を描いた連作短編集です。 実直に地方都市の医療制度のいびつさと高齢者医療の限界を描きつつ、それでも人の善性、生きる尊さを諦めずに見つめて物語に昇華する作者の視線の暖かい物語でした。 医療技術の進歩がもたらした「ただ生きている」患者へどう向き合うのか、延命治療はどこまで行えばいいのか、医療者と患者とその家族がわかりあえるのか。さまざまな難問は解決があるものではなく、それでもできる範囲で向き合おうとする研修医の素朴な姿勢が、とても頼もしく思えました。 結果亡くなったとしても、その選択しかなくとも、「ありがとう」という言葉がかけられる、そういう仕事を行っていきたいと、これは医者でなくとも、誰でもそう思うのではないでしょうか。正しい道かどうか惑っても、その一言で救われる、また歩んでいける、と思えます。そうありたい、と医療者でもなんでもない私も、そう感じました。 人間関係は「そんな上手くいくなんて」というストレートに微笑ましいものが描かれますが、病院内があまりに過酷なだけに、そのギャップで好ましくほっとできるので良いかなと。 「神様のカルテ」同様に、純粋な登場人物のまっすぐな生き方があるからこそ、メインストーリーの重さを中和してやさしい味わいにしてくれていると思います。

Posted byブクログ

2020/05/12

高齢者医療の現実。 普段死に無関心な人ほど慌てるっていう 言葉にどきりとする。 どう死と向き合うか。 医療崩壊が叫ばれているこのご時世、 私達は考えていかなければいけない。

Posted byブクログ

2020/05/10

何が正しいかは誰にもわからない。大切なことは、出来るだけ色々な考え方に触れて、自分の哲学を鍛えるということだ。 ------------ ひとつの事象でも、ある角度からみたら横暴でも、ある角度からみたら正義に思える。高齢者の死について、考えた。きっと自分が年老いたときに、さら...

何が正しいかは誰にもわからない。大切なことは、出来るだけ色々な考え方に触れて、自分の哲学を鍛えるということだ。 ------------ ひとつの事象でも、ある角度からみたら横暴でも、ある角度からみたら正義に思える。高齢者の死について、考えた。きっと自分が年老いたときに、さらに深刻になるのかな。 相変わらず、医療の現場を興味深く教えてくれました。 登場人物でいうと、イチト&ハルペアが好きかな笑笑

Posted byブクログ

2020/04/18

一緒に悩んでくれるお医者さん。 こんなに心強いものはないです。 それにしても、地域の病院の 現実がよくわかり、考えさせられた。 生きていても、それがどういう状態なのか それで、本人が幸せなのか 家族はどういう思いなのか。 「根が切れてしまっている」 非常に重い言葉だ。

Posted byブクログ

2020/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

松本郊外の病院で、実家が花屋の研修医と地元生まれで一途で芯のある看護師の恋物語を軸に、地方の病院の老人医療を考える。 残念ながら一止はかすったけれど登場しなかった。

Posted byブクログ

2020/04/02

神様のカルテの研修医版といったところ。読者層もちょっと若者向けの甘々なところもあり。それでも、死との向き合い方がどれも静かで覚悟があり、現実と向き合う機会を与えてくれる。 このところ、医療、死のついての本読みが偶然続いている。自分の興味がそこにあるのか、そのカテゴリの本が増えてい...

神様のカルテの研修医版といったところ。読者層もちょっと若者向けの甘々なところもあり。それでも、死との向き合い方がどれも静かで覚悟があり、現実と向き合う機会を与えてくれる。 このところ、医療、死のついての本読みが偶然続いている。自分の興味がそこにあるのか、そのカテゴリの本が増えているのか・・・我が歳の頃も影響しているのかしら。

Posted byブクログ

2020/03/29

研修医と看護師のほのぼの恋愛もあるが,医療の現場からのかなりシビアな問題が提起され考えさせられることも多い.主人公がお花屋の息子ということで,花がいろんな場面で効果的に登場して楽しく.カタクリのお花畑は見にいきたいと思った.また懐かしい先生がちらりと顔見せしてそれも嬉しい.

Posted byブクログ

2020/03/26

いかに生きるかは、いかに死ぬかを考えることを放棄せずに立ち向かう人にのみ答えをもたらせてくれるのでしょうね。 医療改革待った無し。社会全体で向き合わねばいずれは医療崩壊かも、 コロナを機会にいろいろ明らかになればせめてもの未来への貢献になる。 次作は、栗原先生との絡みに期待し...

いかに生きるかは、いかに死ぬかを考えることを放棄せずに立ち向かう人にのみ答えをもたらせてくれるのでしょうね。 医療改革待った無し。社会全体で向き合わねばいずれは医療崩壊かも、 コロナを機会にいろいろ明らかになればせめてもの未来への貢献になる。 次作は、栗原先生との絡みに期待したい!

Posted byブクログ