まほり の商品レビュー
謎を解き明かしていく手法のひとつとして、文献史料からの分析解析がたいへん詳細。一読者であるこっちまでいっしょに調べている気分になる。 自分はもともと神社由緒や民俗は好きなほうなのでおもしろいと思ったが、そのあたりにこの本の好き嫌いが出るような気がする。
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二重丸だけが黒々描かれたお札。その縁起を探るうち歴史に埋もれた忌事へと足を踏み入れてしまい、という民俗学サスペンス。二重丸という、無機質でいて不穏を孕んだ図像の不気味さが秀逸。文体は息苦しいほどに偏執的で細ですが、その分描かれる世界は濃密。引き摺り込まれます。
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ラスト一行に背筋が凍り、表紙を見直す。そこに彩られる弦巻紋(蛇の目紋)に恐怖する。 「図書館の魔女」作者による現代ミステリーは、とある山奥の集落にいる秘密めいた少女と、出生の秘密を求める青年を軸に、隠された歴史を詳らかにする悲哀の物語だった。 ミステリーと言っても対象は民俗学...
ラスト一行に背筋が凍り、表紙を見直す。そこに彩られる弦巻紋(蛇の目紋)に恐怖する。 「図書館の魔女」作者による現代ミステリーは、とある山奥の集落にいる秘密めいた少女と、出生の秘密を求める青年を軸に、隠された歴史を詳らかにする悲哀の物語だった。 ミステリーと言っても対象は民俗学、宗教学であり、膨大な知識と調査に裏付けられた著者の良さが出ている。史科とその分析への警鐘が鳴らされるのも面白い。 凄惨な歴史へのアプローチをしつつ色恋を混ぜ、学術書のようでありながら小説として成立させている。言葉の恐怖が染みる読書だった。
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あーーーこわーーーい! タイトルよ!!! 一冊丸々おどろおどろしく、在野研究のお手本みたい フィールドワークのインタビューがないのにこんだけ組み立てられるとか頭いいよね勝山 読み返すと、よくラストまでたどり着けたなとか思わされる そして群馬の地理や訛りに明るいとより楽しく読める あー飢饉と集団ヒステリー怖い 助け出すことのできなかったお母さんの代わりで、きっと勝山に顔も似てるんだろうな、とか お父さんは郷の人間で逃げてきたのかな、とか そちらの話にも想像を膨らます
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デビュー作であった前作「図書館の魔女」はがっつりファンタジーの世界観であったが、今作は現代。著者の本分野である言語学に加え、民俗学、社会学に宗教歴史、更には図書館情報学と、学術的薀蓄が今作もたっぷり。前作が大・大長編作であった分、コンパクトにせざるを得ない今作は薀蓄とミステリ要素...
デビュー作であった前作「図書館の魔女」はがっつりファンタジーの世界観であったが、今作は現代。著者の本分野である言語学に加え、民俗学、社会学に宗教歴史、更には図書館情報学と、学術的薀蓄が今作もたっぷり。前作が大・大長編作であった分、コンパクトにせざるを得ない今作は薀蓄とミステリ要素の比重が片方に多少偏っている気もするが、ミステリ・サスペンスアクション要素も十分に楽しめるし、私は薀蓄目当ての読者の側なので満足でした。 オチは途中で何となく想像できたけど、最後の最後に、ああ、やっぱりそうなのかと思わせるキーワードがたった一つ出てくるだけで物語を終えているのがまた良し。 キャラ描写も秀逸だった前作に比べ、今作の登場人物たちは主人公も含め、良い意味で普通な感じ。しかしながら、ただ一人、チラリとだけですが強烈なインパクトを残す人物が登場しており、何だか隠れキャラを見つけたような感覚を受けました(笑) 多作の作家さんにはならないと思いますが、早いうちに次作をお願いしたいものです。
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新年一発目に読了。ミステリ&大学の授業を受けてるようなコトバと風習のはなし&ちょっぴりホラー。 読み終わったあとに表紙見返してゾワッとしました。 一人で部屋にいたら怖くて読めなかったかも。
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今回も分厚い…!と思いつつ、ワクワクして読みました。 社会学を専攻している主人公、裕が卒研グループの飲み会での話から、自身の出身地に関わる都市伝説的な話に興味を惹かれ、調べ始めるのですが、そこからどんどんただの噂話や冷やかしではない話になっていくのです。 そして自分の母の秘密と共通する村の神社の歴史。 地元に帰省した裕の同級生、香織も調査の過程で協力してくれるようになり、そこはそれでちょっとほっこりな二人の微妙な関係。 しかし、調査の内容はどんどん陰惨さを増し、いよいよ重要な秘密を隠し持った村との対決も。 最後の50ページくらいで畳みかけるように次々と調査内容が核心に迫っていく辺り、圧巻でした。 それでも、文中で多分そうなんだろうとぼんやりと読者が思っていたことが、最後のあの一文だけで500ページものの話が一気にすとんとそのタイトルとともに迫ってくる感じがして、うわぁとうすら寒くなりました。
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図書館で借りた本。初めて読んだ作家さんだが学術的でありながらミステリーも組み込んでいて都市伝説好きの私はゾクゾクしながら読了できた。江戸時代の民俗学の話で大飢饉で人肉食う記述や、大飢饉がくる前に松尾芭蕉は紀行して奥の細道を書いたんだな。とか子を間引く子殺しを廃止させた政策やら資料...
図書館で借りた本。初めて読んだ作家さんだが学術的でありながらミステリーも組み込んでいて都市伝説好きの私はゾクゾクしながら読了できた。江戸時代の民俗学の話で大飢饉で人肉食う記述や、大飢饉がくる前に松尾芭蕉は紀行して奥の細道を書いたんだな。とか子を間引く子殺しを廃止させた政策やら資料を添付してる所など学術書のようだ。ストーリーは監禁されてる少女がいて、生贄の儀式にされるから助けなきゃって話だが、そこに至るまでが深く民俗学が絡んでくるのでディープな内容。最後の最後のオチは早い段階で気付くかな。
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王道のストーリーに加えて,史学,遺された資料に向かう時の研究者の矜持に感銘を受けた.前半はかなり学術的な要素が占め,後半になって正義感に燃える淳くんの少し無謀な毛利宮への侵入などドキドキハラハラさせられる場面が増え,調べ物も核心に迫り雷雨の景色も手伝って最後の場面になだれ込む.圧...
王道のストーリーに加えて,史学,遺された資料に向かう時の研究者の矜持に感銘を受けた.前半はかなり学術的な要素が占め,後半になって正義感に燃える淳くんの少し無謀な毛利宮への侵入などドキドキハラハラさせられる場面が増え,調べ物も核心に迫り雷雨の景色も手伝って最後の場面になだれ込む.圧巻の面白さ.裕の母の謎もわかって良かった.それにしても言語学者の桐生先生の存在感,すごいです.彼女なくして解決はなかった.
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何度か挫折しそうになったのに、面白かった。挫折しそうになるところも、つまらないんじゃなくて、私の頭には難しくて。実写化はないかな?するとしても、イケメンでホラーづくりはやめてほしい。と思いました。
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