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きみはだれかのどうでもいい人 の商品レビュー

3.4

79件のお客様レビュー

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    10

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2022/10/22

小説とは、日常の抜き取りであり、それは例えフィクションであっても、登場人物の心理はリアルと変わらぬ反応を示し、シーンの設定も極力忠実に再現されるものだ。ただ、抑揚の無いただの日常を抜き取るだけならば、読み手を飽きさせるから、そこに事件が起こる。この小説の設定は、公務員の現場。閉鎖...

小説とは、日常の抜き取りであり、それは例えフィクションであっても、登場人物の心理はリアルと変わらぬ反応を示し、シーンの設定も極力忠実に再現されるものだ。ただ、抑揚の無いただの日常を抜き取るだけならば、読み手を飽きさせるから、そこに事件が起こる。この小説の設定は、公務員の現場。閉鎖的で無限にループするかのような日々、しかし、日常のやり取りにおける微妙なズレ、それぞれの特性から、互いへの印象が固定、増幅し、歪んだ関係性のコントラストが強くなり始めていく。 お局、という言葉が共通語として誰しもそのイメージを持てるのは、恐らく、お局的存在を経験しているからだろう。人間関係は不思議なくらい、どの組織、空間にも似たようなロールモデルが存在する。言語ゲームさながら、人間のアイデンティティや役割分担は、関係性により規定され、小説の如く、環境設定が為されていく。 登場人物それぞれの目線で描かれる小説。よくある手法といえばそうだが、不思議な感覚だった。

Posted byブクログ

2022/08/10
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こんな職場、病まないほうがどうかしてる! 4人の女性の目を通して同じ物事を見ると、感じ方は人それぞれで全く違う見え方をするんだなぁと改めて感じた。 染川さんが最後開き直って上司にわーっと思ったことを言うくだりは何を言ってるのかわからなかった。 須藤さんが本当は何を考えていたのかも知りたかった。 まさかのボイスレコーダーなんて、怖いわ。 本当は何を考えてたの?

Posted byブクログ

2022/08/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

公務員というお堅い職場だからこそ、生の人間関係のいざこざが赤裸々でリアルでよかった。 リアルすぎるので重いので、注意。 登場人物全てが女性視点だったのも、昭和を振り返り、現代に至るまでの性別での労働の違いとかも面白かった。 須藤視点の章があったらもっと良かったかな。 意外と誰もが自分のことしか考えてなくて、その他はどうでもいい、まさにタイトル通りだな。 田邊が娘に言われた「結局お母さんは娘を何より愛する母親って肩書きが欲しかっただけ」 中沢環の「そんなの知らねえよ」とか。 須藤のよく飲んでいる「イチゴオーレ」「バナナココア」「クリームラムネ」が自分の危険度を表す信号であったことを知った時は、なるほどと声が出た。

Posted byブクログ

2022/05/05

重い。重苦しくて途中でやめたくなるが最後まで読んだ。 登場人物がほぼ女性。舞台は公務員の仕事場。 女性同士の、私の苦手な関係性の上にある話で、読んでいて本当に辛かった。こんな職場にはいたくないと思った。 こんなに同僚のことを事細かに気にするほど、仕事場に余裕はないのでは?と思い...

重い。重苦しくて途中でやめたくなるが最後まで読んだ。 登場人物がほぼ女性。舞台は公務員の仕事場。 女性同士の、私の苦手な関係性の上にある話で、読んでいて本当に辛かった。こんな職場にはいたくないと思った。 こんなに同僚のことを事細かに気にするほど、仕事場に余裕はないのでは?と思いつつ、登場する「仕事のできない人」の描写が、自分のことを言われているようで心が痛かった。 誰かモデルがいるのか、あるいは作者本人の実体験なのか。とてもリアルだった。とにかく読むと気が塞いでいく感じだった。再度読み返そうとは思わない。

Posted byブクログ

2022/04/21

1人の人物に対する数人の視点は、見る人によって違う。 自分の大切にしている人や物が誰かにとってはそうではなかったり。もちろん逆も。 だけどそれでもいいんだよなあ。

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2022/04/14

7)問題なのはルール自体より性別によって態度を変える人間がたくさんいるという事実 8)外壁はぬるい紅茶に入れて放置した角砂糖みたいに腐食が進んでいてティースプーンでつついただけでざらざらと崩れてしまいそうだった 205)上司らしき男からは顔色が悪いけど2人め?とかそういや結婚から...

7)問題なのはルール自体より性別によって態度を変える人間がたくさんいるという事実 8)外壁はぬるい紅茶に入れて放置した角砂糖みたいに腐食が進んでいてティースプーンでつついただけでざらざらと崩れてしまいそうだった 205)上司らしき男からは顔色が悪いけど2人め?とかそういや結婚から産休まで短かったみたいだよな妊娠は入籍前?とか遠慮なく質問が飛んできた。ウーマンリブだかセクハラ防止だか知らないけどカタカナでしか説明できないなんてどうせロクならもんじゃねえな。だから女に無理させてもいいことないっていうんだよ。男は満足げな寝息にも似た音を鼻から漏らし女は私にだけ聞こえる舌打ちをした。その瞬間全てがどうでもよくなって育休の打診を退職の相談に切り替えた。 297)死を目前にして初めて弱気になった老人たとえば父のように最後だけ態度を急変させ今まですまなかったと綺麗事だけ残して気持ちよくいなくなるのは簡単だ。だが自己満足に付き合わされて全てを許さざるを得なくなった方はたまったものではない

Posted byブクログ

2022/03/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なるほど!『自分はだれかのどうでもいい人』なんだ!確かに、と思ったら気が楽になった。まずは自分と自分の大切な人との関係をもっと大事にしようと思い読んだら真逆。他人に自分の価値を委ね、一喜一憂し悩み病む人々の話。期待しているからできないと怒るんで、期待度を少し下げたらいい。嫌味を言う前に仕事なら具体的に指示すればいいだけ。誰もが自分の世界観で相手を見るし相手もそう。でもその違う世界観が4人とも近く、他人の評価を軸にしているから単調かな。読書メーター推薦本でピンときて読んだけど……今回も暗くていまいち。

Posted byブクログ

2022/03/14

正直なところ、本を読んでいるあいだくらいは仕事のゴタゴタは勘弁してくれ〜 と言いたくなる本でした。それだけリアルに書かれているって事ですね。

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2022/02/13

タイトルのインパクトで読んだ本。 役所で働く女性4人のそれぞれの視点から日々の出来事を描く。 モラハラ、パワハラ、クレーム対応、人間関係のいざこざ… メシマズな事が次から次へと起こって胸が詰まりそうになり (早く終わらせてー!) と一気に読んだ… 疲りた…

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2022/01/14

昭和、平成、令和と就いた我が社会人生活が蘇る。しかもこの舞台、誇張はあれどまんざら単なる仮想とも笑えぬ。登場人物に自分を投影させるならあの課長。窓口や電話で「お客様」から血相変えて怒鳴られた。殺すとまでも。その応対を楽しんでた自分をどうかと思うが、議員の嫌みな質問に対する紋切り型...

昭和、平成、令和と就いた我が社会人生活が蘇る。しかもこの舞台、誇張はあれどまんざら単なる仮想とも笑えぬ。登場人物に自分を投影させるならあの課長。窓口や電話で「お客様」から血相変えて怒鳴られた。殺すとまでも。その応対を楽しんでた自分をどうかと思うが、議員の嫌みな質問に対する紋切り型答弁よりはマシだ。今やフェミニズム、コンプライアンスに各種豊富なハラスメントと、まあ時代の進歩?におよそついて行けぬので、腹の中を秘める術を身につけた。自己嫌悪も妙な正義感も個性の範疇でほどほどにせんと、彼女らのような苦悩に陥る。

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