1,800円以上の注文で送料無料

Iの悲劇 の商品レビュー

3.7

260件のお客様レビュー

  1. 5つ

    40

  2. 4つ

    107

  3. 3つ

    79

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

    2

レビューを投稿

2019/12/27

これぞ米澤穂信さんだなーと。 読みやすい短編が続き、最後にはしっかりと落とす。 さすがです。 私は見事に騙されてましたね、、 これから、こういう限界集落が増えていきそうだなーと重い気持ちになったりもしました。

Posted byブクログ

2019/12/25

米澤穂信さんらしい1冊だと感じた。 課長が曲者だと思っていたけど、なるほどね~っという感想。 これからこんな地方がいっぱい増えてきそう。 切実だなと実感した。 自分も1年だけ県庁に勤めていた当時を思いだした。

Posted byブクログ

2019/12/23

縮みゆく日本、過疎化する地方の閉塞感を見事に描いた社会派イヤミス、いや、虚無ミスか。読後感もばっちり悪い見事な仕上がり。まぁ正直、学園ものや新本格を書いてほしい作家さんではある。

Posted byブクログ

2019/12/22

面白いけどちょっと暗い。 最後の方は、なんとなく仕掛けがわかってきたからいいのか?とも思えるけどトリックが少し強引に感じる。。。 しかし、楽しめた!

Posted byブクログ

2019/12/22

住人の気配のない荒れた外装の家、だれも通らない一本の道を見たとき、これまでなら何とも思わなかっただろうがこれを読んだら私の周りの景色はすっかりかわる。私の目にはすっかり変わって映る。それは大きな読書体験だ。小さく見れば喜劇に見えるストーリーが、この国そのものを映しているようで、と...

住人の気配のない荒れた外装の家、だれも通らない一本の道を見たとき、これまでなら何とも思わなかっただろうがこれを読んだら私の周りの景色はすっかりかわる。私の目にはすっかり変わって映る。それは大きな読書体験だ。小さく見れば喜劇に見えるストーリーが、この国そのものを映しているようで、とてつもないホラーにさえ思えた。途中から感じた違和感は、なるほどという結末に収束。よねぽ先生の作品によく登場する魅力的なバイプレイヤー。今回もなかなかでした。

Posted byブクログ

2019/12/21

地方の高齢化による人口減少問題をベースに、Iターンプロジェクトに奮闘する公務員が主人公の短編集。連作なので、最終章で伏線を回収してオチが決まるという構成。 ​ 作中で展開する「謎」は謎になってなくてただのトラブル、もしくは苦情。プロジェクトを担う「蘇り課」も、そんな住民のトラブル...

地方の高齢化による人口減少問題をベースに、Iターンプロジェクトに奮闘する公務員が主人公の短編集。連作なので、最終章で伏線を回収してオチが決まるという構成。 ​ 作中で展開する「謎」は謎になってなくてただのトラブル、もしくは苦情。プロジェクトを担う「蘇り課」も、そんな住民のトラブルを把握してるのに、「予算がない」「人員がいない」しか言えずに話を聞くだけで後は放置。こういう設定なので謎解きに期待すると、肩透かしを通り越して憤りさえ覚える始末。​ ​ 限界集落問題や地方行政の限界に対して問題提起してるのかもしれないが、移住者のフォローも満足にできないような環境でプロジェクトをスタートできるものなのかな? 同様の業務に就いている現役公務員を軽んじてない? その辺のリアリティがほぼ崩壊してるように思えたので、ファンタジーもしくは一種の童話だと思えばそこそこ面白く読めるかもしれない。​ ​ 最終章のオチも酷かったけど、私は新人女性と課長のキャラに虫唾が走ってしまった。安直な人物像だわ。それやこれやもひっくるめて、ゆるーくポンコツなお話でした。

Posted byブクログ

2019/12/17

米澤穂信さんなのでさすがに細かいところもうまいし、小さい謎解きが散りばめられていて飽きないし、読みやすい。それでもやっぱり無人化した限界集落に移住者を住ませて村を復活させるという話には最初から違和感がつきまとう。もちろん米澤氏はその違和感を最後にキチンと回収しているんだけど、それ...

米澤穂信さんなのでさすがに細かいところもうまいし、小さい謎解きが散りばめられていて飽きないし、読みやすい。それでもやっぱり無人化した限界集落に移住者を住ませて村を復活させるという話には最初から違和感がつきまとう。もちろん米澤氏はその違和感を最後にキチンと回収しているんだけど、それでもそんなバカなともう一つこの本の中に入り込めなかった。自分が今、人口が減り続けている離島に住んでいるからこそ特にそんなことはないだろうという違和感が強いのかもしれない。もちろん人は住みたいところに住んでいいのだけども、今の日本のように人口が減り続けている全ての地方では、限られた公共のお金をどこに効率的に配分するのかということは現実問題として真正面から考えざるをえない。小学校が無くなった離島に移住者がやってきて小学校が再開した素晴らしい!なんていうメルヘンチックな話を真に受けるのは部外者であり、当事者である行政側の人間からすると本当に頭の痛い問題。さてさてバブル崩壊後、貧乏になり続け、人口が減り続け、そのうちでかい地震も起こるであろう3流国の住人としてどう生き生きと暮らしていくのか自分で何とかするしかないよね、というようなことも考えさせられた良書である。ちなみに都会の移住希望者が勘違いしたらまずいと思うのだがこの本の主人公、蘇り課の万願寺さんのように移住者の要望や、クレーム、愚痴を聞くほど役場の地方公務員は暇ではない。そんな役人は日本には存在しないと断言したい。

Posted byブクログ

2019/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エラリー・クイーンにあやかってか、『○(アルファベット)の悲劇』というタイトルのミステリは他にも書かれたことがある。 この作品の「I」って何だろうな~と思って、手に取りました。 “Iターン”の“I”なんですね。 それはそれは…いろいろあるだろうな。 限界集落を立て直すお話は読んだことがあるけれど、この作品は、住人が全くいなくなった後、空き家に賃貸として人を入れ、村を再生しようというプロジェクトにかかわった市役所の職員のストーリーだ。 プロジェクトのチーム『甦り課』は、定時で帰る課長・西野秀嗣(にしの ひでつぐ)、新人の観山遊香(かんざん ゆか)、そして自分・万願寺邦和(まんがんじ くにかず) 移住者と地権者(大家さん)の間を取り持ち、生活に不便のないよう便宜を図る、相談に乗る、といったサポートが主な仕事。 誰もいなくなった村に、全く新しい人たちを入れたところで、それは元の“蓑石”という集落なのか…? というのが万願寺の最初からの疑問だが… ご近所トラブルミステリとして、興味深くどんどん読めた。 75ページの移住者リストは時々見返すのに便利。 序章 Iの悲劇 蓑石がいったん無人になったいきさつ。 第一章 軽い雨 広いからって、何しても迷惑にならないと思ったら大間違いだよね。 第二章 浅い池 簡単に起業できると思ってる若い人。 第三章 重い本 大量の本と古い家、相性抜群。 病弱な子供に田舎の空気は良いが救急車が来ない。 第四章 黒い網 極端な自然主義者には手を焼く。 第五章 深い沼 万願寺の弟は、兄の仕事の内容を心配している。 蓑石は税金をのみ込むだけの深い沼…、と彼は言う。 第六章 白い仏 極端な自然主義者と同じくらい手を焼く神がかり。 終章 Iの喜劇 全然喜劇なんかじゃないけど。 どんどん読めて、どんどんどんでん返しでビックリ! ひょっとして、村そのものが事故物件? なんて思ったけれど、そうではなかった。 そうか…過疎の村って、行政的にはそうなのね、と考えさせられる。 それぞれが自給自足だった昔昔ならいいけれど… 理屈では分かっても、もしかして上手くサポートして行ったら定着した人もいたのではないか? 村に明日が広がったのではないか? …と、万願寺は考えるが、税金はもっと重要なことに使うべき、とすぐに理性が囁く。 それでも… 困った人たちは多かったけれど、夢を持って移住してきた人たちの人生を弄んだことは許せない、と思う万願寺であった。 いいやつだな。

Posted byブクログ

2020/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

連作短編集だったので長編に比べて伏線を忘れにくく助かった。 タイトルにそれぞれ対義語を使っているのがおもしろい。 さて、最後に俺たちはグルだったと言われたわけだが、そんな組織ぐるみの陰謀なら万願寺君も最初から仲間に入れたげてよ! 真面目に新人教育して損したね。 で、20代も終わろうかという歳の万願寺君は、この先転属願を出すのか課長の元に残るのかそれとも役人を辞めるのか…しっかり先行きを決めてから終わってほしかった。迷うわけでもなく風景を眺めて終わりとは……。 仕掛けたというか種をまいたと言っていたけど、子供に防空壕を教えたのはどういう意図で? 下手したら死んでたかもしれない。それを想定していながら、その選択肢をとった最低すぎる課長。 まさか観山まで噛んでるとは思っていなかった。それぞれ個人で動いているのかと。結局トータル2年で済んだけど、何年までなら続けるつもりだったのか気になるところ。 ミステリについて。 【軽い雨】と【黒い網】は、そんなうまくいくか? とも、偶然うまくいったんだろう、とも思わせられる。上手い。 【白い仏】あの状況なら気圧のせいだとすぐわかりそうものなのに、頭のいい万願寺君が今回に限って鈍かった。でも最終章になって急に、俺知ってたもんねみたいに語るのでビックリ。でも観山が本当は何者か知らないけど「反対しました」というからには思いついたのは課長の方か、でも市職員が思いつくトリックにしては専門的……どこかで実験したことがあるとか貴志祐介の作品を読んでいたとか? すぐ仏の本物を見つけちゃったのも都合がいい感じがした。 若田さん、小顔の美形という設定が活かせてなかったかな。それより20代の男が“美男”って遣うかな…… 【浅い池】笑ってしまいそうなオチだけど、鯉に感情移入してしまいとても笑えなかった。牧野のアホ~! 【深い沼】万願寺君の「人はどこに生きてもいい~それを具体的に保証するのが俺の仕事だ」というセリフが格好よかった。「人生を賭けるに値する仕事」とか。役所の仕事に誇りを持っているのがすごく伝わって。 なのに、その逆をしてるのが“守護神”と呼ばれる西野課長…… 彼も観山もやるべきことをやった。動機は役人の鏡というべきものだが、よくやった西野、大したもんだ観山、とは思えない。人を個ではなく集団で天秤にかけるのであればAIがやるのと変わらない気がする。そもそも役所は個人の都合が通らないところであるし、合理性を重視するのなら人間性など邪魔なだけなのかも。AIが一番向いているのは役所かもね。 滝山さん、あの事件のあと居続けていたのにその後出番なく退場していた。寂しい。 丸山さんは1ページほど登場、好川さんご夫妻においてはセリフすらなかったような? 全員のエピソードを読んでみたかった。

Posted byブクログ

2019/12/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2020年版このミステリがすごい!第11位 単なるI ターンの話の訳はなく甦り課3名の活躍?が見物で結末には驚かされました。

Posted byブクログ