Iの悲劇 の商品レビュー
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後味が悪い、いい意味で米澤穂信っぽい作品だった。 初めの1話目ラストで引き込まれ、2話、3話と読み進められた。 1、3、4話はどれも勧善懲悪ではなくすれ違いがあるのが悲しく、上手いなと思った。2話は脱力してしまったが…。 ラストの主人公が想像する蓑石の風景は儚く美しい。 途中主人公が後輩を叱るところが印象的でありながらいい伏線になっている。 繰り返し読みたいかと言われるとそうではないので☆4。
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コロナ禍と働き方改革の影響でリモートワークを行う人が増え、地方へ移住する人も増えたようだ。そして、移住したもののその土地での生活に順応出来ず離脱する人が後を絶たないという話もこれまたよく聞く。 最初はこの作品もそういう田舎暮らしに憧れて移住してきたが、離れざるを得なくなるちょっと...
コロナ禍と働き方改革の影響でリモートワークを行う人が増え、地方へ移住する人も増えたようだ。そして、移住したもののその土地での生活に順応出来ず離脱する人が後を絶たないという話もこれまたよく聞く。 最初はこの作品もそういう田舎暮らしに憧れて移住してきたが、離れざるを得なくなるちょっとした小ネタのミステリかと思って読んでいた。ところが最後のオチにはびっくり。久しぶりにほぉ〜、さすが米澤穂信だ、やるなぁと感心した。 世の中、何事も表と裏がある。それを改めて考えさせられる作品だ。秀作。
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殺人とかぞっとする感じのミステリーかと思って借りたけど、そういう感じではなかった。 万願寺さんの心の声やツッコミと実際の会話の間(ま)に少し違和感があったかな。
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まさに悲劇。読めば読むほど誰も幸せになれない、薄寒い人間のエゴをみました。 誰も死なないのに、社会から抹殺されてゆく恐怖は、現代の闇ならではで、ミステリーとしてだけではなく、社会派小説としてもとても面白かったです。 限界集落の小説は、今まで何冊か読みましたが、それへの問題提起でも...
まさに悲劇。読めば読むほど誰も幸せになれない、薄寒い人間のエゴをみました。 誰も死なないのに、社会から抹殺されてゆく恐怖は、現代の闇ならではで、ミステリーとしてだけではなく、社会派小説としてもとても面白かったです。 限界集落の小説は、今まで何冊か読みましたが、それへの問題提起でもなく、立て直しへの活劇でもなくさらにその先を見据えた悲劇に目を向けさせていく構成にまんまとやられました。 正面から見れば美しく魅力的な対象を、中を切り開いたり裏側からみたりしてその本質を見せてくる米澤先生の甘い毒、痺れました。
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日本の経済危機と地方再生のジレンマを縮図にしたような物語。なんやかんや日本では、「税金を飲み込む深い沼」であっても、「感傷」に「経済的合理性」が優先されることはないだろうけれど、この小説でもその結果のこれ、だったのかと思うと、こわい。
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201122 待ち時間の間に日吉のスタバで。 短編のように並んだ謎が最後に繋がっていく。とても読みやすい。一つ一つの話自体も少し後味が悪いというかどこかやり切れないというか報われない感じが残る。 西野課長も観山もそうだったのか、、、でも彼らの言うことは分かるというかむしろ正しい。だからこそ主人公の万願寺のやり切れなさ切なさもあるだよなぁ。個人的には課長好き。
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限界集落の再生のため新設された甦り課。 課員は満願寺、観山、課長の西野の三人だけ。 元の住人が誰もいない蓑石地区に移住者を募り、移転費用をもち、格安で住居を提供し・・・という設定のお話。短い章立てでダレる暇もないです。 お仕事小説?イヤミス?よくわからないままに作家さんが好きな...
限界集落の再生のため新設された甦り課。 課員は満願寺、観山、課長の西野の三人だけ。 元の住人が誰もいない蓑石地区に移住者を募り、移転費用をもち、格安で住居を提供し・・・という設定のお話。短い章立てでダレる暇もないです。 お仕事小説?イヤミス?よくわからないままに作家さんが好きなので選んでしまったこの本。 ご近所トラブルのお話は苦手なので買ったはいいがビビって積んでいたのですが、読み始めたらあっという間でした。 語り手が甦り課の職員満願寺サンで、仕事に限界を感じながらもこなす感じ。 今一つこの人がよくわからなかったんですが、途中から「公務員って大変なんだなぁ」って読んでました。 家族の話、趣味の話、トラブルの話ももちろんありつつ、公務員の在り方、公共サービスが予算不足で満足に提供できない話、をちりばめながら途中グっとミステリっぽくなったりで読むスピードは加速して行き、最後・・・!!! あざやかに背負い投げされた感じで。 あ・・あぁ~~・・・!! 今でも畳の上で投げられたまま目をパチクリしてるような気分。 短編連作といったカンジなので通勤途中でも読みやすい。オススメです!
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殺人事件が起こる怖い話と思ってたら、誰もいなくなった町を再生させる話だと分かり、ちょっとがっかりしつつ読んでいた。 けど、万願寺さんと観山さんの名コンビがよく、いろんな事件があり、仕事してないはずの課長が、何故か真相を知っている、、 どうしてUターンじゃなくIターンだったのかが分...
殺人事件が起こる怖い話と思ってたら、誰もいなくなった町を再生させる話だと分かり、ちょっとがっかりしつつ読んでいた。 けど、万願寺さんと観山さんの名コンビがよく、いろんな事件があり、仕事してないはずの課長が、何故か真相を知っている、、 どうしてUターンじゃなくIターンだったのかが分かった。 最後、万願寺さんは、どんな決断をしたんだろう。
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タイトルの「I」ってなんだろう?と思って読み始めたら、Iターンのことで、なるほどと思うと同時に恐ろしくなった。悲劇だとわかって読み進めるのは気が重かったが、読み切った。 私自身が車が無いと生きて行けない田舎に住んでいるからか、次々出てくる隣人トラブルが本当に怖くて怖くて。最近殺人...
タイトルの「I」ってなんだろう?と思って読み始めたら、Iターンのことで、なるほどと思うと同時に恐ろしくなった。悲劇だとわかって読み進めるのは気が重かったが、読み切った。 私自身が車が無いと生きて行けない田舎に住んでいるからか、次々出てくる隣人トラブルが本当に怖くて怖くて。最近殺人事件ばかり読んでいるが、正直殺人鬼よりも恐ろしい。怖くなって、何度か本を閉じてしまった。 ミステリーとしては面白く、大体予想通りだったが、すっきりと読めた。
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途中、あれっ?と引っかかったところがちょくちょくあったけど、最後まで読んで考えてみると全部腑に落ちた。なるほど、いろいろと散りばめていたのか。ともあれ、移住者の皆さんが不憫だなぁ。
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