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Iの悲劇 の商品レビュー

3.7

262件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2019/11/26

過疎となり廃村になる村を甦らせるIターンプロジェクト。そこで起こるさまざまな謎を描いた連作ミステリ。 穏やかで静かな田舎暮らし、というといかにも素晴らしいように聞こえますが。田舎って不便だし、そこでずっと暮らすことを考えればそんなに良いことばかりではないだろうなあ、ってのは誰でも...

過疎となり廃村になる村を甦らせるIターンプロジェクト。そこで起こるさまざまな謎を描いた連作ミステリ。 穏やかで静かな田舎暮らし、というといかにも素晴らしいように聞こえますが。田舎って不便だし、そこでずっと暮らすことを考えればそんなに良いことばかりではないだろうなあ、ってのは誰でもわかりそうです。しかしそれ以上に根深い問題があったのですね……。果たしてこれは悲劇だったのか、それとも喜劇だったのか。なんとも言えない切なさと虚しさが残ります。 お気に入りは「浅い池」。分かってみればものすごーく単純なことだったのだけれど。これ、知らなければ気づかないことだよね。完全に盲点でした。そっか、分かる人からしてみればそんなに怖い状態だったんだ。そして傍目にはこれまた喜劇。

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2019/11/25

社会派ミステリと呼んだら良いかもしれない。 過疎問題を解決させるべく、Iターンを狙う市長直属の甦り課の課長・西山、主人公の万願寺、学生の雰囲気の抜けない新人・観山。それに蓑石に引っ越してきたあくの強い住民たち。 面白くなる要素満載の題材を、米澤さん上手に描いています。一つ一つのエ...

社会派ミステリと呼んだら良いかもしれない。 過疎問題を解決させるべく、Iターンを狙う市長直属の甦り課の課長・西山、主人公の万願寺、学生の雰囲気の抜けない新人・観山。それに蓑石に引っ越してきたあくの強い住民たち。 面白くなる要素満載の題材を、米澤さん上手に描いています。一つ一つのエピソードもミステリ仕立てで解決が図られますが、全体のストーリーにも謎が。 この作品で終わりにするのは勿体ない。ぜひ続きが読みたいです。

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2019/11/25

面白かった! 住民がいなくなった廃村に人を呼び戻す事業。 最終章読んでびっくりしたけど、でもこれが地方のリアルだよな。 理想と現実。 最近台風などの被害が続いて感じたんだけど、「ポツンと一軒家」なんて番組が人気だけど、災害がおこったらその一軒のためにどれだけの人とお金が投入され...

面白かった! 住民がいなくなった廃村に人を呼び戻す事業。 最終章読んでびっくりしたけど、でもこれが地方のリアルだよな。 理想と現実。 最近台風などの被害が続いて感じたんだけど、「ポツンと一軒家」なんて番組が人気だけど、災害がおこったらその一軒のためにどれだけの人とお金が投入されるのか、とか考えちゃったわ。

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2019/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

過疎地のIターン計画を舞台とした連作短編集。Iターン希望者が居住する村で起こる大小の事件と、顛末が語られる。黒幕は薄々見えていて、その動機が焦点。やや偶然に頼りすぎるところがあるのが気になるところ。地方自治の難しさが染みる一冊。

Posted byブクログ

2019/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

少子高齢化、地方再生等、日本の現在の深刻な問題、それに実際向き合い、改善に向けた取り組みをする地方自治体も多々ある。 この小説はそのような地方自治体の廃村を再生するプロジェクトをテーマにしている。とはいえ、お堅い構成ではなくエンターテイメントとして、サスペンス、悲喜劇に仕上げている。 実際再生プロジェクトに関わる市職員は、出世志向が強い20代男性、職員になって1年余りの女性、そしてやる気の見えない課長の三人。この三人が外部からの移住者の促進と定住をサポートしていかなくてはならないのだが、実際の仕事は移住者のトラブル、事件、事故の処理に奔走するということになってしまう。 短編連作に仕立て、それぞれ1話だけを読んでも面白い。実際都会から移住者がやってくるとこのようなトラブルが起きるだろうと納得させられる内容だ。事件そのものは重たいものだが、職員のキャラクター等で軽いタッチに仕上がっている。 この先、この村はどう再生していくのだろうと思わせ、そして最後に読者はまんまと裏切られてしまう。「地方再生」の難しさを悲喜劇に仕上げ、裏切られてもなぜか爽快感が残る作品だ。

Posted byブクログ

2019/11/22

殺人事件をきっかけに過疎化が進み、住民がいなくなってしまった集落、簑石。市は簑石へのIターン移住者を募り、かつてのにぎわいを取り戻す政策を打ち出す。田舎暮らしにあこがれる移住者たちは順調に集まるが、その度に小さな事件が起こり、退去が繰り返される。 あこがれだけで、都会から見ず知...

殺人事件をきっかけに過疎化が進み、住民がいなくなってしまった集落、簑石。市は簑石へのIターン移住者を募り、かつてのにぎわいを取り戻す政策を打ち出す。田舎暮らしにあこがれる移住者たちは順調に集まるが、その度に小さな事件が起こり、退去が繰り返される。 あこがれだけで、都会から見ず知らずの田舎へ移住することと、そこにある現実的な問題とのギャップを提起する社会派ミステリー小説。 一癖ある課長の存在など、小さな謎を残したまま、ストーリーは進行し、最終章で完全解決。結局、Iターン政策は当初の目標と異なるゴールに達するが、それはそれでめでたしめでたしだ。誰もが安易に考える地方活性化には、それ相応のコストが伴うことを忘れちゃいけない。

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2019/11/21

住む人がいなくなった南はかま市蓑石地区の再生を目指したIターン支援推進プロジェクトを担う同市甦り課に勤める主人公と移住者の事件の顛末。 市役所でのエリートコースを望む主人公、残業はしないがどうも切れ者らしい課長、学生気分をにおわせつつ物知りで姿勢もいい新人の部下の甦り課メンバーの...

住む人がいなくなった南はかま市蓑石地区の再生を目指したIターン支援推進プロジェクトを担う同市甦り課に勤める主人公と移住者の事件の顛末。 市役所でのエリートコースを望む主人公、残業はしないがどうも切れ者らしい課長、学生気分をにおわせつつ物知りで姿勢もいい新人の部下の甦り課メンバーの怪しさを感じながら悲劇のそれぞれを読み、終章のネタばらしでとっても納得した。 19-119

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2019/11/20

図書館で借りた本。住居者がいなくなった過疎地に新しく移住者を募って空き家に住んでもらう市長直々のプロジェクトで発足した係のメンバーになった市役所職員の万願寺。甦り課に所属となったものの新規移住者は一癖二癖ある人物達。市役所職員として新たな住人達の苦情処理も受けたりしながら奮闘する...

図書館で借りた本。住居者がいなくなった過疎地に新しく移住者を募って空き家に住んでもらう市長直々のプロジェクトで発足した係のメンバーになった市役所職員の万願寺。甦り課に所属となったものの新規移住者は一癖二癖ある人物達。市役所職員として新たな住人達の苦情処理も受けたりしながら奮闘する万願寺。全ては移住者に末長く定住してもらいたいからだが、小さなトラブルが続いていく。それは実は…という話でミステリー仕掛けが最後に明らかになる。過疎の市町村も抱える問題を扱っていると思う。未来の年表という本を読んでいたら、この結末の課長が言う意味は実感として良く分かるかな。

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2019/11/18

著者得意の日常系の推理小説であるが、余りにも冗長な片田舎で起こる事件に途中退屈になったが、最後は一応どんでん返しが仕掛けられてあった。しかしそんな持って回ったことするか、命に関わるようなこともあったじゃないか。蓑石村のIターン事業に従事する甦り課でまともに働いているのは万願寺だけ...

著者得意の日常系の推理小説であるが、余りにも冗長な片田舎で起こる事件に途中退屈になったが、最後は一応どんでん返しが仕掛けられてあった。しかしそんな持って回ったことするか、命に関わるようなこともあったじゃないか。蓑石村のIターン事業に従事する甦り課でまともに働いているのは万願寺だけ課長の西野も後輩の観山もやる気なし、そりゃ目的が違うんだもの。いずれにしても廃村の再生事業なんてこの本の趣旨のとおり全く予算の無駄遣いだ、今だに過疎の村で行われている土木事業は全く税金の無駄遣いとしか思えないものが多いのは確かだ。

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2019/11/17

米澤穂信の最新作、ハードカバーで購入。 地方都市の一度は廃村状態になった集落に、Iターンで住民を誘致して集落を復活させる「甦り課」に勤務する公務員の視点から、移り住んできた人々との交流やトラブルを通して、Iターンプロジェクトの顛末を連作短編の形で描いています。 所謂“日常の謎”ミ...

米澤穂信の最新作、ハードカバーで購入。 地方都市の一度は廃村状態になった集落に、Iターンで住民を誘致して集落を復活させる「甦り課」に勤務する公務員の視点から、移り住んできた人々との交流やトラブルを通して、Iターンプロジェクトの顛末を連作短編の形で描いています。 所謂“日常の謎”ミステリ、米澤穂信の得意分野ですが・・・ これは秀逸!特に全てが明らかになる終章までの展開が実に見事です。あまりミステリ読まない方にも是非!!

Posted byブクログ