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独ソ戦 の商品レビュー

4.1

160件のお客様レビュー

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    49

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2022/07/28

著者は非常に詳細に独ソ戦について著してくれている。しかし、詳細すぎるが故に、戦争に疎い私にとっては冗長に思えた。誰がどこで何をしたかということが細かに記されているが、はいそうですかとしか思えず、なるほどなという気づきにまでは至らなかった。

Posted byブクログ

2022/06/29

独ソ戦が世界観戦争であることが馴染みのないことだった。ドイツ敗戦の大きな要因は、第一にヒトラーの共産主義国を覆滅することを目的とした絶滅戦争であったこと。第二に、ヒトラーは共産主義覆滅を断固として譲らなかったことのように思えた。もちろんソ連の過小評価や兵站能力の無視はさることなが...

独ソ戦が世界観戦争であることが馴染みのないことだった。ドイツ敗戦の大きな要因は、第一にヒトラーの共産主義国を覆滅することを目的とした絶滅戦争であったこと。第二に、ヒトラーは共産主義覆滅を断固として譲らなかったことのように思えた。もちろんソ連の過小評価や兵站能力の無視はさることながら。

Posted byブクログ

2022/06/26

2020年新書大賞の第1位受賞作。 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、当地で過去に起こった歴史を知っておくのもよかろうと思い手に取った。 著書は膨大な史料を読み込み分析されている。よって新書にしてはかなりアカデミックというかマニアックとさえ言える中身。おそらくは歴史マ...

2020年新書大賞の第1位受賞作。 ロシアによるウクライナ侵攻が長期化するなか、当地で過去に起こった歴史を知っておくのもよかろうと思い手に取った。 著書は膨大な史料を読み込み分析されている。よって新書にしてはかなりアカデミックというかマニアックとさえ言える中身。おそらくは歴史マニアや軍事オタクにはたまらない一作だ。 本書でよくわかったことは、独ソ戦はイデオロギー戦争だったがために双方妥協の余地はなく言語に絶する惨酷な闘争を徹底して遂行したということだ。これがこの戦争の本質だと思う。 イデオロギー戦争だったがために、人を人とも思わない残虐無比、極悪非道な殺戮が大量に起こった。 諸説あるんだろが太平洋戦争の日本の犠牲者は軍人民間人合わせて約300万人。独ソ戦の両国の犠牲者はなんと3000万人を超えるという。この点だけ取ってみても人類史上最低最悪の戦争と言っても過言ではない。 日本ではともすれば、戦争の悲惨さと言えば原爆の被害や沖縄戦が強調されている。自国で起こった出来事なのだから当然と言えば当然である。 ただもっと世界に目を向けて、悲惨な戦争の歴史を知ることも意味があるんだろうと思う。 そういう意味で本書が新書大賞を受賞してたくさんの人の目に触れられているのは好ましいことだ。 読んでいておやっと思ったのが、「戦略」と「戦術」の間ににある概念としての「作戦術」なるものがソ連軍により志向されていたことだ。「戦略」と「戦術」の区分というか使い分けは、経営やビジネスの現場でもよく言われるが中間概念があるということは初耳だった。実に興味深い。 あと印象に残ったのはヒトラーのマイクロマネジメント。軍事には素人だろうに自分で前線軍の司令官を兼務するなどトリッキーなことしてる。一国のリーダーがやるべきでないことは少し考えればわかることだ。よほど人間不信だったのだろうか。 ともあれ、戦争は絶対悪だと改めて実感出来た著作だった。

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2022/06/23

軍事的な記述が多くて、想像が追いつかない部分が多かったけど、独もソも初期はお互いを過小評価しながら戦争をしていた。と言うことがわかった。 そして共通するのは、優秀な将校がその座を追われる構図(ソは戦前、独は戦争末期)そう言う意味ではスターリンもヒトラーもよく似ていた。 最後の方...

軍事的な記述が多くて、想像が追いつかない部分が多かったけど、独もソも初期はお互いを過小評価しながら戦争をしていた。と言うことがわかった。 そして共通するのは、優秀な将校がその座を追われる構図(ソは戦前、独は戦争末期)そう言う意味ではスターリンもヒトラーもよく似ていた。 最後の方で、「プーチンが民族の栄光を象徴し、現体制の正当性を支える歴史的根拠として、対独線の勝利を強調しているのは周知の事実」とあって、今のウクライナ侵攻も、「ナチズムとの戦い」と喧伝してる所から、よほど根が深いと感じる。 ただドイツのナチス台頭を見ると(だけでなく太平洋戦争下の日本を見ても)愛国の旗を大きく振って耳目を集める人間には注意が必要と思う。弱っている国には強い国がちょっかいをかけてくるが、そういう時に「愛国エッセンス」ほど甘いものはない。そしてそれを飲んでもほんの一時、酔うだけだから。

Posted byブクログ

2023/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「独ソ戦」とは何だったのか?その実態を2019年時点で公になっている資料、学説を時系列にまとめた一冊。 ロシアのウクライナ侵攻が長期化する中、かつてドイツからの侵攻に苦しめられたロシア国民がどうして大きな反対運動に発展させることなく受け入れているのか?その背景、構造がどうなっているのか?約4年続いた独ソ戦にそのヒントがあるのでは?という問いを持って読んだ。 結論から言えば、本書からその答えを読み取ることはできなかった。「100分de名著」で観たアレクシエーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」に求めてみようと思う。 https://onl.sc/rKVZF3m 本書から「侵攻する側」つまりナチス下のドイツ国民の心情が第3章に描かれていた。他国の併合(ベルギー、デンマーク、フランス、オランダなど)による資源や外貨の収奪、占領民の強制労働により、ドイツ国民への負担を最小限に抑えつつも軍拡と経済成長を両得(本書では「大砲もバターも」と表現)することを了解し、いわば「ナチスと共犯関係」にあったと記されている。 この構造は、現在の日本の会社における非正規労働者と正社員、民主主義国家における大勢の老人と少ない若者にも重なる。「既得権側と搾取側」という建付けは、古代文明から変わらない。 もうひとつ、”学ばなくてはいけない”と痛感したのは、有事の強力なリーダーシップのあり方について。一般的に「有事は強力なリーダーシップを発揮する集団の方が生存確率が上がる」とされる。だから戦時中に独裁制を取るのは理解できる。 問題は泥沼にハマった時だ。 現在のプーチン政権にも言えるかもしれないが、独ソ戦当時のスターリンは「思い込み」や「願望」が強く、また彼の認知バイアスに反論した者も居なかったので(大粛清で処刑されまくっていた)、自国民の死者数を1000万人以上に膨れ上がらせてしまった。ヒトラーも薬物依存の疑いがあり、健康問題が深刻化していた。つまり「判断ミスを重ねてしまっている強力なリーダー」に対して体制変更を窮地の中で行えるのか?という問題。まるで「落下最中の飛行機を乗組員が修理する」みたいな状況だが、故障現場に全リソースを集中させながらその専門家中心の急場しのぎの体制を組み立て直せるかどうか?について調べたくなった。 具体的には「リーダーが判断ミスを重ねている。あるいは問題をより深刻化させている」という判別を客観的に下せる仕組みがあり、速やかに問題を定義する仕組みが発動されて、問題が起きている現場を特定し、責任者を選任し、急場しのぎの体制に移行させること。急場を乗り切った後はまた別の話に移るだろうが、この辺りの論点と手段を知りたいと思った。

Posted byブクログ

2022/06/14

独ソ戦に興味があったので友人に借りた 世界観戦争、絶滅戦争など、常軌を逸した戦いであったことが想像できる言葉が飛び交う。両国合わせて3000万人以上の死者を出した殺戮合戦から75年以上経った今、ロシアが過去の栄光としてそれを謳い、同じような罪を繰り返そうとしていることが恐ろしす...

独ソ戦に興味があったので友人に借りた 世界観戦争、絶滅戦争など、常軌を逸した戦いであったことが想像できる言葉が飛び交う。両国合わせて3000万人以上の死者を出した殺戮合戦から75年以上経った今、ロシアが過去の栄光としてそれを謳い、同じような罪を繰り返そうとしていることが恐ろしすぎる。 人間もここまで狂うことができるのだとある意味感激した。 良い本。

Posted byブクログ

2022/05/29

独ソ戦について、ヒトラーの独善による作戦の失敗、質のドイツ対量のロシア、ドイツ側のみによる残虐行為と言った戦後のステレオタイプを最新の研究成果で見ながら虚像を実像で捉え直していく名著。面白かったのは以下の諸点。 まず、ドイツ(ヒトラー)が西欧との通常戦争と異なり、人種間の絶滅戦...

独ソ戦について、ヒトラーの独善による作戦の失敗、質のドイツ対量のロシア、ドイツ側のみによる残虐行為と言った戦後のステレオタイプを最新の研究成果で見ながら虚像を実像で捉え直していく名著。面白かったのは以下の諸点。 まず、ドイツ(ヒトラー)が西欧との通常戦争と異なり、人種間の絶滅戦争・資源の収奪戦争と捉えていたこと。また、真新しいのはその考えをヒトラーのみならず、国防軍幹部ひいてはドイツ国民全体に同調傾向があったこと。要するにstub in the backで敗れた一次大戦の経験から東方に資源を求め、その収奪の上にドイツ国民の豊かな生活を確保し、それによって国民レベルでの戦争を可能とすること。 また、ドイツの絶滅戦争に対して、ソ連側も同様の冷酷さを持って臨んだこと(満州侵攻時の対応も理解できる) またバルバロッサ作戦が机上の空論で、寧ろ将軍を粛清しまくって警戒を怠ったソ連側の失策により成功したかのように見えて、その実は無理がある作戦だったこと。 指揮階梯に沿って権限を下ろしたスターリンと異なり、異論を封じ自ら陸軍司令官や作戦司令官を兼務し、撤退を認めないヒトラーのマイクロマネージメントは実際に作戦効率を損ったこと。 ソ連の卓越した作戦術(戦略と戦術を埋める概念)によって、ソ連軍は戦線全体の帰趨を捉えた作戦を展開し、ドイツの野戦軍はスターリングラードの第六軍を皮切りに無力化されていき、ドイツ軍の消耗と相まって1943年夏以降はソ連軍の急速な侵攻が成功したこと。 元々無理が多い対ソ戦であったことがよく理解できた。

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2022/05/23

ウクライナ問題の今だから読みたいということで図書館で借りて読了。 通常戦争、略奪戦争、絶滅戦争の複合戦争という考え方、独ソ戦が人類にとって未曾有の戦争だったことが改めて理解できた。ドイツ国防軍が死せるヒトラーに責任をなすりつけたが、国民も含め共犯だったという指摘も面白い。 プーチ...

ウクライナ問題の今だから読みたいということで図書館で借りて読了。 通常戦争、略奪戦争、絶滅戦争の複合戦争という考え方、独ソ戦が人類にとって未曾有の戦争だったことが改めて理解できた。ドイツ国防軍が死せるヒトラーに責任をなすりつけたが、国民も含め共犯だったという指摘も面白い。 プーチンが側近も粛正してるのをおそロシアと言っているが、スターリンは次元が違いすぎてヤバい。 21世紀になっても人類は懲りないのか。

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2022/05/16

両国合わせ3,000万人以上が命を落としたとされる独ソ戦をドイツ現代史を専門とする大木毅さんが解き明かす力作。個人的に特に戦史に興味があるわけではなく、2020年の新書大賞という理由だけで読みましたが、夢中になってしまいました。 本書の特色は終章で大木さん自らが記されています。...

両国合わせ3,000万人以上が命を落としたとされる独ソ戦をドイツ現代史を専門とする大木毅さんが解き明かす力作。個人的に特に戦史に興味があるわけではなく、2020年の新書大賞という理由だけで読みましたが、夢中になってしまいました。 本書の特色は終章で大木さん自らが記されています。 「本書では独ソ戦の前史から、その経緯、そして、何よりもその性格を論述してきた。そこから、ドイツが遂行しようとした対ソ戦争は、戦争目的を達成した後に講和で終結するような19世紀的戦争ではなく、人種主義に基づく社会秩序の改変と収奪による植民地帝国の建設を目指す世界観戦争であり、かつ『敵』と定められた者の生命を組織的に奪っていく絶滅戦争でもあるという複合的な戦争だった事が理解されるであろう」 そして独ソ戦は歴史的に歪められてきたことが述べられます。 ソ連側からすればこの戦いは共産主義と愛国主義の融合した「大祖国戦争」であり、ソ連兵により行われた蛮行を含め事実が隠蔽されてきました。ソ連邦の崩壊により真相解明が進みつつあります。一方、ドイツ側も独ソ戦はヒトラーの独断によって遂行されたとしてきましたが、最近ではドイツ国防軍も軍事的な側面から独ソ戦やむなしと考えていたことが暴露されています。 そして、著者は以下のように断言します。 「独ソ戦終結から70年以上を経ても、この戦争の余波は消え去ろうとはしていないのである。 絶滅・収奪戦争を行ったことへの贖罪意識と戦争末期におけるソ連軍の蛮行に対する憤りはなお、ドイツの政治や社会意識の通奏低音になっている。あえて例えるならドイツ人にとっての独ソ戦の像は、日本人が『満州国』の歴史や日中戦争に対して抱くイメージと重なっているといえよう」 先日5月9日の対独戦勝記念日にプーチン氏はウクライナ侵攻の正当性を訴えました。それを見てると独ソ戦が政治的に利用されていることは否定できません。 豊富な図版、写真。日英独語の文献解題もされており、学術的にも充実した本です。プーチン氏のウクライナ侵攻と、世界観戦争としての独ソ戦との類似点を指摘しているメディアもあり、この機会に読んでみるのもいいと思います。

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2022/05/16

前から気になっていた本。 昨今のウクライナ情勢のためか、MARUZEN&ジュンク堂書店で精算しようとレジに向かおうとしたらレジ前の棚に「戦争は女の顔をしていない」などと共に平積みされてたんで衝動的に購入。 現時点での各種研究成果を基にした第2次大戦における独ソ戦の入門的な...

前から気になっていた本。 昨今のウクライナ情勢のためか、MARUZEN&ジュンク堂書店で精算しようとレジに向かおうとしたらレジ前の棚に「戦争は女の顔をしていない」などと共に平積みされてたんで衝動的に購入。 現時点での各種研究成果を基にした第2次大戦における独ソ戦の入門的な通史。新書ということもあり記述は簡潔で判りやすいがボリューム的にやや物足りない。興味深く読んでるうちに、あれっ?もうスターリングラード?、えっ!もうベルリン陥落!という感じ。ある意味新書としては凄く良く出来た本ともいえる。 1点、気になったのは註釈がなく巻末に参考文献が示されているだけで、たとえは第2章第1節の冒頭、当時スモレンスク市民だった少年の手記が引用されているが出典元の記載がなかったりするのは不親切かな。

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