独ソ戦 の商品レビュー
西部戦線に関する書籍は多いが、この本は独ソ戦に焦点を当てている。なぜ先にモスクワではなくより東にあるスターリングラードを侵攻したのか。ベルリン陥落までの経緯など知らなかった話があったので勉強になった。
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2020年の新書大賞で1位で面白そうだったので買っていたのだが、このウクライナの戦争の時期に読むと地理的な状況やナチスドイツやソ連に占領されてばっかりいた地域の歴史が分かる。 ただ内容はざっと読んだだけではあんまり頭に入ってこない。ドイツもロシアも戦力がそれほどでなかったために泥沼にはまったようだ。また、絶滅戦争など人種や命に対する軽視も災いしている。 とにかく、今現在の差別はよくない、命を大切にしようという価値基準からは想像が及ばない思想が当時は普通だったようだ。しかし、それは平和な地域に暮らしている我々の考えで、現在のロシアの蛮行を見ると今も変わらないのかもしれない。いざとなったらなりふり構っていられないのだろう。 かわぐちかいじの『空母いぶき』を読むと徹底して世間の目を気にして戦争していて、あんなのはただの理想なのだろうか。
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現在進行している、ウクライナ紛争の裏にあるもの、ロシアから見たウクライナ戦とは?というところを理解するのに読んだ。(実際にはオーディブルで聴いた) 読み終えて感じたのは、この本は太平洋戦争に対する「失敗の本質」。 ナチスドイツの自国民の優越性の称揚が実は戦争の性質を規定し、独ソ戦に突入する契機となった。(自国民に対し、戦争に投入する資源の確保、という見地から、日本は、自国民に節約を強いたがドイツはより豊かな生活を約束した。本書中に、「大砲もバターも」として描かれている) となると、戦争により栄えるドイツ、を立ててしまうと、必然的に「戦争の相手国から全てを奪う」「資源も金も、人すらも」ということになる。 この辺、資源を締め上げられて戦争に追い込まれた日本と大きな構図は似ているが、なぜあそこまで冷酷なことができたのかというナチス軍略の要諦が理解できる。 ドイツ側はこれで理解できるが、ソ連側はどうか、というと国を守るための戦争、大祖国戦争なのだ、という一点に心を集め、降伏せずに戦った、ということはわかる。しかし、掠奪と陵辱を是とする姿勢は…? ウクライナ戦では、これを「現代の大祖国戦争」とするプーチンの嘘を兵士やその家族は嗅ぎ分けているのではないか。 その割には、軍規もゆるく、掠奪に走るロシア軍の本質は、日本降伏後に千島列島で掠奪を行ったロシア軍となんら変わるものはない。
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すごい、研究者っぽい、冷静で且つマニアックな書きっぷり。: 戦史を、こうやって研究する分野があるんだってのがまず驚いた。 通常戦争から、収奪戦争、絶滅戦争、あと絶対戦争だっけ。 独ソ戦が通常戦争を超えた総力戦みたいな書き方だったように思ったが、要は、宗教戦争みたいなレベルに堕ちた...
すごい、研究者っぽい、冷静で且つマニアックな書きっぷり。: 戦史を、こうやって研究する分野があるんだってのがまず驚いた。 通常戦争から、収奪戦争、絶滅戦争、あと絶対戦争だっけ。 独ソ戦が通常戦争を超えた総力戦みたいな書き方だったように思ったが、要は、宗教戦争みたいなレベルに堕ちたってことなのかと思った。 戦略、作戦、戦争の解説が面白かった。 別に、非合理でバカなことやってたのは日本軍だけでないのもわかった。 ただ、敵をヒトと見ないのは、日本には無い感じ。 ソ連だって、別段、ナチスにやられたからやり返したんじゃない気がするんだけど。残虐っぷりは。 なんにしろ、日本は、隣国戦争はできない。 勝ち負けでなく、鬼畜を相手にするのは無理。
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これを読めば第二次世界大戦における独ソ戦の全てが理解出来る名著。 今まで誤解されていた面も丁寧に説明されているので、ドイツの絶滅戦争に関心のある方はこの本から始めるのがお勧めだと思います。
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独ソ戦、東部戦線こそが主戦場というだけあってとてつもない凄惨な戦いだったことがわかる。 戦争が起きる上でイデオロギーや地理的な要因がかなり大きい。 なによりソ連がめちゃくちゃ強いことが分かった。
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第二次世界大戦における、ナチスドイツとソ連の泥沼の戦いの詳細な研究記録。 ヒトラーやスターリンという残虐な暴君がその惨禍のわかりやすい原因として槍玉に挙げられるが、真理はそう簡単ではない。 実際には、加担した人々もその非難を逃れようとしてヒトラーに責任を押し付けたりだとか、各地域...
第二次世界大戦における、ナチスドイツとソ連の泥沼の戦いの詳細な研究記録。 ヒトラーやスターリンという残虐な暴君がその惨禍のわかりやすい原因として槍玉に挙げられるが、真理はそう簡単ではない。 実際には、加担した人々もその非難を逃れようとしてヒトラーに責任を押し付けたりだとか、各地域の人々がユダヤ人に対し強い憎悪を持ち、ナチス党員が求めずとも自発的にユダヤ人を虐殺したりだとか、政治的な駆け引きのためやむなくソ連またはナチスに加担したりだとか、一筋縄ではないのが事実である。 現在進行形に進むロシアのウクライナ侵攻を理解するのにも参考になる。 また、いざ戦争となればどのような形で国民や国土が無残に踏みにじられるかを知っておくことは、悲惨な争いを避けるためにも重要だろう。
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独ソ戦の通史。軍事面のみならず、ドイツとソ連それぞれの政治経済的文脈や、ヒトラー・スターリンやその他上層部の個々人の心情も含めた政治的な動きをなるべく総合的に、そして中立的に記述しようという丁寧な仕事。純軍事的対立ももちろんありつつ、ナチズムとスターリニズムというイデオロギーの対...
独ソ戦の通史。軍事面のみならず、ドイツとソ連それぞれの政治経済的文脈や、ヒトラー・スターリンやその他上層部の個々人の心情も含めた政治的な動きをなるべく総合的に、そして中立的に記述しようという丁寧な仕事。純軍事的対立ももちろんありつつ、ナチズムとスターリニズムというイデオロギーの対立や政治心情、歴史も含めた社会的な文脈が絡んだがゆえの「絶滅戦争」の怖さ。WWⅡの一部としてしか知らなかったので読んで良かった。アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』と合わせて読むのがオススメ。
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内容は目を背けたくなるような部分もありながら、これが戦争だと実感させるものでした。文献についても一覧で並べるだけでなく、紹介もされているので参考になります。
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軍事的なことを読み解くのが難しくはあったけど、ヒトラーとスターリンが戦争を通してそれぞれ何を目指していたのかということを知ることができた。 いずれも受け入れることはできないと思う。 万が一、自国の権力者が独自の理屈で誰かと戦うこと、誰かを殺すことを求めてきたときにどう抵抗すべきか...
軍事的なことを読み解くのが難しくはあったけど、ヒトラーとスターリンが戦争を通してそれぞれ何を目指していたのかということを知ることができた。 いずれも受け入れることはできないと思う。 万が一、自国の権力者が独自の理屈で誰かと戦うこと、誰かを殺すことを求めてきたときにどう抵抗すべきか。家族の目の前の安全も考慮してどう抗うか。簡単に答えが見つかるものではないけど、考えなくてはならないと思った。 自分の信じるものに忠実である人生を送りたい。
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