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独ソ戦 の商品レビュー

4.1

160件のお客様レビュー

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    49

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2019/09/21

ドイツが遂行しようとした対ソ戦争は、人種主義にもとづく社会秩序の改変と収奪による植民地帝国の建設を目指す世界観戦争であり、かつ「敵」と定められた者の生命を組織的に奪っていく絶滅戦争でもあるという、複合的な戦争だったと論じられている。 北はフィンランドから南はコーカサスまで、数千...

ドイツが遂行しようとした対ソ戦争は、人種主義にもとづく社会秩序の改変と収奪による植民地帝国の建設を目指す世界観戦争であり、かつ「敵」と定められた者の生命を組織的に奪っていく絶滅戦争でもあるという、複合的な戦争だったと論じられている。 北はフィンランドから南はコーカサスまで、数千キロにわたる戦線において、数百万の大軍が激突した。桁違いの損害を出した戦闘だけでなく、ジェノサイド、収奪、捕虜虐殺が、お互いに行われた。 ジェノサイドは、国家あるいは民族・人種集団を計画的に破壊すること。  戦後、ドイツでもロシアでも、この戦争は都合よく記録され、利用されてきた。この本では真実が何かを掘り下げている。 例えばヒトラーが強権を握った独裁者で、独断で戦争へ突き進んだというストーリーがあるが、実際には自由にやれる範囲は限定されていたし、ドイツ軍も同調したり反発したりしながら、決定権もあったという。 これだけの規模の戦争では、補給と支援がクリティカル。併せてロシアの冬、雨季が、しばしば転機となった。 1941年6月22日に開戦、1945年4月30日にヒトラーが包囲されたベルリンで自殺、5月7日にドイツ降伏。

Posted byブクログ

2019/09/12

第二次世界大戦の主戦場はどこか? 日本人のイメージで言えば太平洋戦争もしくは米英 VS 独 の西部戦線を想起するかもしれない。 しかし、戦争目的の特質さと投入された戦力規模、そしてそれに伴う凄惨な被害は他の戦線は比較にならない。 この東部戦線ともいわれる独ソ戦は死者が3000...

第二次世界大戦の主戦場はどこか? 日本人のイメージで言えば太平洋戦争もしくは米英 VS 独 の西部戦線を想起するかもしれない。 しかし、戦争目的の特質さと投入された戦力規模、そしてそれに伴う凄惨な被害は他の戦線は比較にならない。 この東部戦線ともいわれる独ソ戦は死者が3000~4000万人と桁が違う。 また戦争目的も他の戦争や戦線とは別で、他民族の絶滅および資源の収奪をであり、この近代の進んだ科学技術と相まって地上の地獄を出現させた。 本書は独ソが戦争に突入した背景から戦争目的、それに伴う残虐行為、そして戦線の変遷と万遍に扱っている。 このような地獄を二度と繰り返さないためにも、なぜこのようなことが生じたかを学ぶ必要があると思う。

Posted byブクログ

2023/12/26

戦略に興味がある人は必読 日本の教育を受けた自分の歴史認識を大きく変えられた 国の存亡をかけた戦争から、 ・合理性だけでは指導者は意思決定を行わない ・短絡的な戦術では勝てない ・価値のある情報を得ることの重要性 などを考えさせられる一冊 中学高校までの歴史の授業の認識と異な...

戦略に興味がある人は必読 日本の教育を受けた自分の歴史認識を大きく変えられた 国の存亡をかけた戦争から、 ・合理性だけでは指導者は意思決定を行わない ・短絡的な戦術では勝てない ・価値のある情報を得ることの重要性 などを考えさせられる一冊 中学高校までの歴史の授業の認識と異なり、ナチスがいかにソ連に苦戦し、追い込まれたのかを史実に基づいて語られている また、「戦略」、「心理戦」、「情報戦」など多面的な戦いが記述されている 必読のビジネス書だと思う 孫子「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」の意味を改めて考えさせられた

Posted byブクログ

2019/09/10

 第二次大戦における独ソ戦の熾烈さ、死者の多さは空前絶後というか想像を絶するものがあり、本書の作者はそれを惨禍とか地獄とか現代の野蛮と書いているが、言葉では言い尽くせるものではない。  それを、政治的な背景や指導者の思考、軍事的な経緯や戦略/作戦/戦術を交えながら、新書一冊にまと...

 第二次大戦における独ソ戦の熾烈さ、死者の多さは空前絶後というか想像を絶するものがあり、本書の作者はそれを惨禍とか地獄とか現代の野蛮と書いているが、言葉では言い尽くせるものではない。  それを、政治的な背景や指導者の思考、軍事的な経緯や戦略/作戦/戦術を交えながら、新書一冊にまとめ上げた労作である。これ1冊で独ソ戦の全体像はカバーできる。  いまさら?とも思えるが、ソ連時代の資料はペレストロイカの90年代以降に開示され、ドイツの研究も戦争経験者による定説が最近覆されつつあると言ったように、今も進展しているのだ。それを知ったことも大きい。  独ロ両国とも、この凄まじい歴史の影響を今も受けているはずである。だからこそ本書を読んでおかないと、彼らの理解には到底たどり着けないだろう。恐ろしい歴史ほど忘れてはならない。

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2019/08/20

独ソ戦の概説書。最新の論を紹介しつつ、独ソ戦の発生からベルリン陥落までを時系列で述べている図書。わかりやすかった。 ヒトラーにとって独ソ戦は、人種を絶滅させるような絶滅戦争とドイツの物資不足による収奪戦争を含んでいた。そのため、通常戦争よりも恐ろしい悲劇を生み出したという点がわか...

独ソ戦の概説書。最新の論を紹介しつつ、独ソ戦の発生からベルリン陥落までを時系列で述べている図書。わかりやすかった。 ヒトラーにとって独ソ戦は、人種を絶滅させるような絶滅戦争とドイツの物資不足による収奪戦争を含んでいた。そのため、通常戦争よりも恐ろしい悲劇を生み出したという点がわかりやすかった。 各国の当時のプロパガンダや歴史修正主義に惑わされることなく。戦争史を紐解いていきたい。

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2019/08/16

「独ソ戦」勉強になった! ドイツと日本の状況は似ていた 1936年外貨の急減 財政の逼迫 原材料の払底 →対外進出を不可避とした 国家を豊かにするために、 植民地 労働力と資源を求めて拡大戦略 ソ連を攻めたのは中国を攻めたのに似て泥沼化 戦略目的もバラバラ ただし絶滅戦...

「独ソ戦」勉強になった! ドイツと日本の状況は似ていた 1936年外貨の急減 財政の逼迫 原材料の払底 →対外進出を不可避とした 国家を豊かにするために、 植民地 労働力と資源を求めて拡大戦略 ソ連を攻めたのは中国を攻めたのに似て泥沼化 戦略目的もバラバラ ただし絶滅戦争という信念は犠牲者の数を一桁多くし、 戦争の悲惨さ激化させた 「ソ連侵攻の短期決戦構想」は挫折 出口なき長期戦を強いることになった 日本の対中・対米戦争と同じ 今また、アベノミクスで同じ過ちを犯し、 国家崩壊の危機にある

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2019/08/16

ソ連にとってナチスとの戦いは「大祖国戦争」と呼ぶくらい、ナショナルアイデンティティのひとつになっていたそうだ。ロシアの専門家からそんな話を聞き「そういえば、独ソ戦のことよく知らないなあ」と思っていたら、この本が出た。 とにかく悲惨すぎた。死者数が、合わせて二千数百万人だよ。そん...

ソ連にとってナチスとの戦いは「大祖国戦争」と呼ぶくらい、ナショナルアイデンティティのひとつになっていたそうだ。ロシアの専門家からそんな話を聞き「そういえば、独ソ戦のことよく知らないなあ」と思っていたら、この本が出た。 とにかく悲惨すぎた。死者数が、合わせて二千数百万人だよ。そんな悲惨な戦争になった理由が「大量殺戮兵器の進歩」等ではなく、そもそもの「戦争の目的」である点が興味深い。 著者は、戦争を「通常戦争」「収奪戦争」「世界観戦争(絶滅戦争)」に分類し、最終的に独ソ戦が「世界観戦争(絶滅戦争)」になっていったと解説する。相手の世界観を根絶するなんて、そもそもゴールに無理がある。結果、非合理な決断がたびたび行われ、犠牲者は増えていく。 ナチスドイツとソ連という、人類史上極めてアレな思想をもつ2国間の、特異で悲惨な戦争。第二次世界大戦がトラウマとなっている日本でも、もっと独ソ戦のことが知られていいはずだ。

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2019/08/11

独ソ戦は世界史の教科書ではさらっと流れてしまうので、この本は大変勉強になった。 ドイツが遂行しようとしていた対ソ戦は、戦争目的を達成したら講和で終わる19世紀的戦争ではなく、世界観(絶滅)戦争であるということが重要なポイント。

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2019/08/09

ヒトラーか不可侵条約を一方的にブチ破って開戦、華々しく進撃するも、そもそもユーゴでの反乱鎮圧に手間取って予定より開戦が遅れたこともあり、冬までにモスクワを落とすという目標には届かず→ナポレオンも負けた冬将軍の前に戦況逆転→ズルズル後退して最後はベルリン陥落、間にレニングラードとか...

ヒトラーか不可侵条約を一方的にブチ破って開戦、華々しく進撃するも、そもそもユーゴでの反乱鎮圧に手間取って予定より開戦が遅れたこともあり、冬までにモスクワを落とすという目標には届かず→ナポレオンも負けた冬将軍の前に戦況逆転→ズルズル後退して最後はベルリン陥落、間にレニングラードとかスターリングラードの包囲戦、くらいの知識で読んでみました。まぁ大筋間違ってはないんやけど、もちろんその間にいろいろある訳で…そのいろいろがめちゃくちゃオモロい。岩波新書だけあって抑えた文章ではあるんやけどそれでもオモロい。

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2019/07/29

「新しい研究も踏まえながら、特定の事象等を詳しく、同時に誰にでも判るように解説」というのは新書の好さ、面白さなのだと思うが、そういう好さ、面白さが詰まった1冊に出逢った! 「独ソ戦」というのは、よく知られた戦争である他方、“概観”が判り悪いかもしれない…凄惨な戦いが繰り広げられ、...

「新しい研究も踏まえながら、特定の事象等を詳しく、同時に誰にでも判るように解説」というのは新書の好さ、面白さなのだと思うが、そういう好さ、面白さが詰まった1冊に出逢った! 「独ソ戦」というのは、よく知られた戦争である他方、“概観”が判り悪いかもしれない…凄惨な戦いが繰り広げられ、とんでもない犠牲が払われたことが知られている。が、何故そのような経過を辿ったのか?軍事、政治、経済と多少幅を拡げ、ドイツ現代史の研究者が判り易く「独ソ戦」を説いてくれている一冊である。 実は独ソ戦での様々な戦闘に関しては、「創作も交わった」というような形で流布しており、近年になってそういった部分が詳しく検証され「誤り」が正される傾向に在るのだそうだ。本書を紐解いてみて判ったことだ。 当時のドイツ軍に在っては、かのヒトラーが細々したことに介入し、色々と不具合が生じていたということは確かに在った。と言って、軍の計画が好かったのでもないということが最近は強く指摘されているようだ。必ずしも合理的ではない計画の下に戦闘に突入している訳である。ドイツ軍は、延び切った補給線という状況下で継戦能力が著しく低い中で行動していた訳だ。 延び切った補給線という状況下で継戦能力が著しく低い中で行動していたが故に、合理的な軍事行動に「収奪」という要素が加わった。「収奪」は往時の経済状況の故に行われた側面も在る。そして「絶滅」というイデオロギーの故に、戦いに惨酷な色彩が加わり、それは時間を経て濃くなった… こんな戦いが繰り広げられ、外交による和平というような選択肢は潰れてしまった…それが独ソ戦だ。 何れにしても、独ソ戦に様々な形で携わった先人達の辛苦は忘れてはならない。そして変な経過を辿って惨酷な戦争がその度合いを増し続けたという材料も忘れるべきではない… 「この一冊で概観を知る」というような目的…十分に達成出来ていると思った。

Posted byブクログ