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独ソ戦 の商品レビュー

4.1

160件のお客様レビュー

  1. 5つ

    49

  2. 4つ

    70

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2023/01/18

軍事的な細かい話は飛ばしがちで読み進めたけど、その軍事行動に至るまでのナチス・ドイツ及びスターリニズムの支配下にあったソ連で、どのようなイデオロギーの流布や権力の奪い合いがあったかなどの政治的な背景や経済的な状況、市井の人々がどのような考えでどんな生活をしていたかということまで含...

軍事的な細かい話は飛ばしがちで読み進めたけど、その軍事行動に至るまでのナチス・ドイツ及びスターリニズムの支配下にあったソ連で、どのようなイデオロギーの流布や権力の奪い合いがあったかなどの政治的な背景や経済的な状況、市井の人々がどのような考えでどんな生活をしていたかということまで含めて独ソ戦争を解説してくれている。

Posted byブクログ

2023/01/09

ミリタリーな部分の理解は全く追いつかないのだが、ヒトラーやスターリン、その取り巻き幹部達が何を目指していたのかという思想面を知ることが出来た。それにしても・・・・無茶苦茶である。

Posted byブクログ

2023/01/07

 独ソ戦通史をコンパクトに、という部分は概ね成功しているかに思った。ただしこの本の副題は「絶滅戦争の惨禍」。凄絶な独ソ双方の莫大な人命の損失についてやはり私が以前からこの本の著者に関して感じていたミリオタという認識を、戦記・戦史ものとしての側面の方が「絶滅戦争」の由来である捕虜の...

 独ソ戦通史をコンパクトに、という部分は概ね成功しているかに思った。ただしこの本の副題は「絶滅戦争の惨禍」。凄絶な独ソ双方の莫大な人命の損失についてやはり私が以前からこの本の著者に関して感じていたミリオタという認識を、戦記・戦史ものとしての側面の方が「絶滅戦争」の由来である捕虜の恐るべき死亡率の高さ(ソ連軍捕虜の死亡率は53%以上。総数500万人以上),占領ポーランド下のみに設置された6つの絶滅収容所におけるホロコースト、ユダヤ人死亡率よりユダヤ人同様ドイツ支配下領域から根絶すべき民族とされたシンティ、ロマの死亡率はユダヤ人のそれより高かった事,何よりドイツ支配下領域においてこれも根絶の対象とされた各種の障がい者やそれに準ずると判断された人達へのいわゆる「安楽死作戦」についてはほぼ触れられていない。これも独ソ戦という巨大な戦乱のもとでの混沌がなければ起こりかつドイツの軍事的敗北がヒトラーの自死により決定するまで、いやそれ以後も占領軍が安楽死という名の大量殺人を続けていた病院に直接足を踏み入れるまで続けられた第二次世界大戦ヨーロッパ方面の歴史として看過できぬ要素だろう。その辺が副題に比して弱いと感じたので星1つ落とさせてもらった。  本文の文体はやや文語調でそのような単語がよみがなのルビもふられずそれなりに見られ衒学的な要素もあまり良いとは思わなかった。ソ連軍には「戦略と戦術の間にある、複数の『戦役』(キャンペーン)を重ねて最終的な成功に導く『作戦術』があった」というのはミリタリーマニアとは言えない私には確かに新しい視座を得たと言える。しかしそれはやはり戦史という狭い領域にとどまるもので、私の興味は巻末の著者による参考文献とそれらに対する簡単な補足説明があるが軍事的状況推移に関する書籍は(邦訳がないものが相当含まれていることもあり)殆ど未読だったがホロコースト関連では2冊既に読了済みの書籍があった。芝健介氏の「ホロコースト ナチスによるユダヤ人大量殺戮の真相」と、ラウル・ヒルバーグ著の「ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅」(とても分厚い上下巻からなり,しばしば原注がありその度に該当箇所に飛ばねばならず私はこの2冊を読了するのに一月を要した)である。私のヨーロッパ近現代史におけるヒトラーとその時代への興味は軍事的側面ではなく、政治思想史としてのナチズム、そして当時の欧米で一部の国で断種が「遺伝するもの」とされた疾病の所有者に半ば強制的に行われていたことが示すように優生学的側面からの人権剥奪がどのように生起し経過していったのか、そして日本でも1996年まで効力を持っていた優生保護法(現:母体保護法)に見られる優生思想のこんにちの、ヒトラーとその時代と違ってある程度科学的に証明されている物事の現代との繋がりなどにあると理解した。  しかしこれが新書大賞2020獲得作品?失礼ながらもっと良い書籍があったのではなかろうか?とも感じた次第です。

Posted byブクログ

2023/01/05

『戦争は女の顔をしていない』で独ソ戦についてあまりにも知らなすぎだったので、こちらを読んでみました。 ⁡ 2020年新書大賞。ウクライナ侵攻でも関連書として注目されました。 ⁡ 第二次世界大戦における私のソ連のイメージといえば、「ソ連の参戦前に決着をつけたかったアメリカが日本に対...

『戦争は女の顔をしていない』で独ソ戦についてあまりにも知らなすぎだったので、こちらを読んでみました。 ⁡ 2020年新書大賞。ウクライナ侵攻でも関連書として注目されました。 ⁡ 第二次世界大戦における私のソ連のイメージといえば、「ソ連の参戦前に決着をつけたかったアメリカが日本に対し原爆をもちいた」という部分ぐらいしか知らず、終結直前に参戦したもののように考えていました。(この場合の「参戦」は対日本の太平洋戦線ということですよね。) ⁡ ヨーロッパ戦線においてもパリやベルリンを解放したのはアメリカを中心とする連合国軍みたいに思っていました。 ⁡ ドイツの「世界観戦争」、ソ連の「作戦術」はこの本の肝となる部分ですが、前提となる私の知識が貧弱すぎてよく理解できず。 ⁡ 『戦争は女の顔をしていない』で女性たちが自ら進んで従軍したいったあたりの熱意、最初の頃には軍備もなにもかもが足りなかったという話、食糧不足による深刻な飢え、パルチザンあたりの背景はざっと理解できました。 ⁡ 『悪童日記』(ハンガリーが舞台)では、占領しているドイツ兵、解放するパルチザン、どちらが悪でどちらが善かわからないんですが、このときの歴史的状況というのもやっとなんとなく理解。 ⁡ ドイツにしてもソ連にしても、これほど大規模な戦争を戦う軍事力も政治力も持ちあわせていないままに戦争に突入し、泥沼化していったということ。 スターリングラード攻防戦、両軍が戦地で行なった蛮行などはさすがに聞いたことがありましたが、こちらも背景をやっと理解したというところでしょうか。 ⁡ ウクライナ侵攻がもうすぐ一年になるので、まだ戦争は過去の話ではないという気がします。 以下、引用。 95 「ロシア人は、何世紀ものあいだ、貧困、飢え、節約に耐えてきている。その胃袋は伸縮自在なのだから、間違った同情は不要だ」。 142 これ以上の後退は、諸君の破滅を意味し、しかも、それは祖国の破滅につながる。一歩も退くな! これが、我らの主たるスローガンでなければならぬ。ほんの一メートルほどであろうともソ連領土であれば、ただの一区画であろうともソ連の地ならば、おのおのの持ち場を、血の最後の一滴が流されるまで、可能な限り長期間にわたり、断固として守り抜くことが要求されるのだ。

Posted byブクログ

2022/12/19

ソ連侵攻はヒトラーの悲願だった。 豊富な資源空間を持つ植民地帝国を手に入れなければゲルマン人の生き残りは叶わないと考えていた。但しイギリス、ソ連を相手に戦うことの不利は第一次大戦で学んだ為、イギリスと同盟あるいは中立に置いた状態でポーランド、フランスなどの周辺国を支配下に置き、戦...

ソ連侵攻はヒトラーの悲願だった。 豊富な資源空間を持つ植民地帝国を手に入れなければゲルマン人の生き残りは叶わないと考えていた。但しイギリス、ソ連を相手に戦うことの不利は第一次大戦で学んだ為、イギリスと同盟あるいは中立に置いた状態でポーランド、フランスなどの周辺国を支配下に置き、戦略的基盤を整えてからソ連と戦うことを計画していた。 ドイツが繰り広げた戦争は人種主義に基づく社会秩序の改変と収奪による植民地帝国化を目指す世界観的戦争から相手国を滅ぼすことを目的とする絶対戦争の様相を見せていた。一方でソ連は共産主義の成果を防衛することが祖国を守ることという論理を立てナショナリズムとイデオロギーを融合させ国民動員をはかった。 本書では独ソ戦の経緯が簡潔に描かれており、非常に勉強になった。

Posted byブクログ

2022/11/30

社会の授業で、第二次世界大戦の死者数一覧を見たとき、ソ連の異常な多さに違和感を感じたものの、「情報が怪しいのかな」くらいに思って知ろうともしなかった高校時代。 この年になって、驚くべき殲滅戦の実態について初めて知りました。 近代の国と国との総力戦の恐ろしさ。 いま、だんだんと...

社会の授業で、第二次世界大戦の死者数一覧を見たとき、ソ連の異常な多さに違和感を感じたものの、「情報が怪しいのかな」くらいに思って知ろうともしなかった高校時代。 この年になって、驚くべき殲滅戦の実態について初めて知りました。 近代の国と国との総力戦の恐ろしさ。 いま、だんだんと、敵基地攻撃能力だの威勢のよい主張が増えていますが、戦争は起こしてはならないとつくづく思います。

Posted byブクログ

2022/11/21

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』を読んで始めて知った独ソ戦。『同志少女よ敵を撃て』を読む前に知識を深めたく本書を読むことにした。 具体的な数字により、いかに桁外れの規模の泥沼戦争であったのかということはよくわかったが、戦史・地理に疎いためか、細か...

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』を読んで始めて知った独ソ戦。『同志少女よ敵を撃て』を読む前に知識を深めたく本書を読むことにした。 具体的な数字により、いかに桁外れの規模の泥沼戦争であったのかということはよくわかったが、戦史・地理に疎いためか、細かな作戦や戦況をあまりよく理解できず、少々難解に感じた。気軽な読み物というよりも参考文献を読んでいる感じ。しかしながら、ヒトラーとスターリンという2人の独裁者のために、多くの被害・戦死者が出たことは容易に理解できた。この2人が当時のトップでなければ、これほどの被害が出ることはなかったのでは、どのような展開になっていたのだろうと思う。 1つだけ気になったのは、「反戦活動をしなかったドイツ国民も同罪」のようなことが書いてあったこと。確かに、特権階級のような地位と待遇に甘んじていた人もいただろうが、反戦活動をしてバレたら殺され見せしめにされるような情勢で、命を懸けて反戦しなかった国民も悪いと一概に言えるだろうか?個人的にこの考えには納得できず、モヤモヤしたまま終わった。

Posted byブクログ

2022/11/21

第二次世界大戦のうち特に独ソ戦、ドイツのソ連侵攻に関する各ステージごとの歴史を学ぶことができる。各師団など用語的に理解が難しい点はあるだろうが、読む価値はあると感じる。

Posted byブクログ

2022/10/29

なぜかくも過酷な大戦に突き進んだのか、戦争の経緯と性格を詳らかにする。世界観の衝突による戦争は大義を得て、互いの存在を絶滅させることが究極の目的となる。作られ、煽られた大義ほど恐ろしいものはない。

Posted byブクログ

2022/09/25

「同士少女よ敵を撃て」を読み、独ソ戦の凄絶さを知ったが、この本を読むと、史上空前の殺戮と惨禍の凄まじさにただただ驚く。そしてこれがヒトラーとスターリン、二人の独裁者によって引き起こされ、合理性を失い、国家が迷走していく過程は悲惨としか言いようがない。ヒトラーがこの戦争を「世界観戦...

「同士少女よ敵を撃て」を読み、独ソ戦の凄絶さを知ったが、この本を読むと、史上空前の殺戮と惨禍の凄まじさにただただ驚く。そしてこれがヒトラーとスターリン、二人の独裁者によって引き起こされ、合理性を失い、国家が迷走していく過程は悲惨としか言いようがない。ヒトラーがこの戦争を「世界観戦争」と位置付けた時点で、調停による終結の選択肢はなかったとのことだが、今まさにプーチンによるウクライナ侵攻に当てはまるものである。膨大な文献を読み込み、徹底的な考察によって裏付けられた本書は読みごたえが凄く、新書の醍醐味を味わえる。

Posted byブクログ