何様 の商品レビュー
六篇の短編作品で構成されている。 読んでみて題名の「何様」が一番面白かった。 「何者」から立場が逆転した主人公の「誠実さ」を問う作品で、短編ならではの良い感じだと思った。 また「水曜日の南階段はきれい」は爽やかでで少し青過ぎるが良かった。 他の作品は人の内面のドロっとした部分を描...
六篇の短編作品で構成されている。 読んでみて題名の「何様」が一番面白かった。 「何者」から立場が逆転した主人公の「誠実さ」を問う作品で、短編ならではの良い感じだと思った。 また「水曜日の南階段はきれい」は爽やかでで少し青過ぎるが良かった。 他の作品は人の内面のドロっとした部分を描いてはいるがもう少し踏み込んで欲しかったと思う。
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何遍かに分かれていて、何様は最後だったのだけれど 前回作品の何者とは逆の立場である人から描かれていて そちら側にも葛藤や悩みがあるのだと想像できた。 結局選ぶ側も選ばれる側も自分の価値なんて分からなくて それでも必死に考えて動こうとしているのが、 もう、なんだかそれだけで十分価値...
何遍かに分かれていて、何様は最後だったのだけれど 前回作品の何者とは逆の立場である人から描かれていて そちら側にも葛藤や悩みがあるのだと想像できた。 結局選ぶ側も選ばれる側も自分の価値なんて分からなくて それでも必死に考えて動こうとしているのが、 もう、なんだかそれだけで十分価値のあるものに思えた。
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「何者」未読。若林さんの解説まで込みで成立していると感じた。 「あなたこそ何様なの?」といきなり銃を突きつけられた。衝撃。これだから朝井リョウこわい。気持ち悪い。 きっとそろそろわたしも役割が変わる事を求められる時期なのだろう。長くこの位置にいたということだ。 「あなた如きが...
「何者」未読。若林さんの解説まで込みで成立していると感じた。 「あなたこそ何様なの?」といきなり銃を突きつけられた。衝撃。これだから朝井リョウこわい。気持ち悪い。 きっとそろそろわたしも役割が変わる事を求められる時期なのだろう。長くこの位置にいたということだ。 「あなた如きが何者かになろう」だなんてそれこそ「何様なの?」とおもっていた。でも、そうじゃなかった。それだけ じゃなかった。 「何者かになんてなれない」とおもうことですら「何様」なのだ。 「この気付きをもたらされることが読書体験か!(この時点ですでに何様なのか)」とおもった端から、ぽろぽろと零れていく。「本気の一秒」を信じて見つめながら一歩ずつ進むのみなのだ。
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何者の登場人物たちの周辺を描いた短編集。 個人的に好きだったのは1話目の「水曜日の南階段はきれい」。 朝井リョウといえば、やや毒のある文体を記載する作家だが、この物語は終始きれいな文体で物語もロマンチックなものだった。 何者で出版社を目指していた光太郎の動機がわかるハートフルな...
何者の登場人物たちの周辺を描いた短編集。 個人的に好きだったのは1話目の「水曜日の南階段はきれい」。 朝井リョウといえば、やや毒のある文体を記載する作家だが、この物語は終始きれいな文体で物語もロマンチックなものだった。 何者で出版社を目指していた光太郎の動機がわかるハートフルな物語であった。 最後の「何様」は何者で拓人とともに面接を受けていた学生のその後を描いた作品。 人事部に配属され、採用を担当する中でプライベートも含めた自身の葛藤を描いた作品となっている。 私自身、1年目から技術系のリクルーターを任されていたため、少し共感する部分もあった。 読んでいて深く感じ入る話はないが、1話1話にリアリティがあり、大人の日常をうまく切り取った作品といえる。 個人的に思うのは朝井リョウが描く女性像は少しあっさりし過ぎていないかということ。 女性作家でないことは百も承知だが、キャラクターがはっきりしていてわかりやすくなり過ぎている気がする。 他の作品でも比べてみたい。
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普通に良い話。特に最初の光太郎の物語が1番好きでした。 浅はかな事しか言えないですが、夢を追う人ってかっこ良いですよね。
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「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」 >>ああいうの、不思議ですよね 昔遊んでた人のほうが、人生分かったような気になってるのって 人に迷惑かけないように、真面目に、正しいことをしてきた なのに、ばかにされているような感覚。 結局、損してるような。 あーあ、そんなことありますよね と思ってしまいました。 短編集、ぜんぶおもしろかった!
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何者、の続編としてはまだまぁなのかな…という印象。またああいう人間の暗い部分が見れるとと思っていたので。 でも例の雑貨屋さんの彼氏と付き合うまでの話は、その要素が出ていて良かった。
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生きるとは、 何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。 直木賞受賞作「何者」に潜む謎がいま明かされる。 光太郎の初恋の相手とは誰なのか。 理香と隆良の出会いは。 社会人になったサワ先輩。 烏丸ギンジの現在。 瑞月の父親に起こった出来事。 拓人とともにネット通販会社の面...
生きるとは、 何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。 直木賞受賞作「何者」に潜む謎がいま明かされる。 光太郎の初恋の相手とは誰なのか。 理香と隆良の出会いは。 社会人になったサワ先輩。 烏丸ギンジの現在。 瑞月の父親に起こった出来事。 拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。 就活の先にある人生の発見と考察を描く6編。 ************************************** 「何者」が面白かったから「何様」も読んでみた。 6編の中に、面白いものと難しいものがあった。 言いたい事がわかるようで、やっぱりわからんくって。 「何者」に潜む謎がいま明かされる。とあったけど、謎自体がわからんままなので、かされても何を明かされたんかが理解できひんかった。 就活の先にある人生の・・・とあるが、大昔すぎて、そっから働きすぎて、かけ離れすぎてしまったんかな。 若い頃にネチネチと悩んでた事が、今となれば大した事なかったと言うのだけは、声を大にして言える。 まぁ、今は今で悩みっぱなしやけど。
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いつか読んだ「何者」のアナザーストーリー集。何者は原作も映画も良かった。就活で集まった若者たちの本音の部分が上手く書かれていて、アナザーストーリーである「何様」もいつか読んでみたいと思っていたのだけど、文庫化されたところで早速購入。何者に出てきた人たちがはっきり思い出せないので、何者の誰がどれなのか判らないところもあったけど、そういうのを気にしないで読んで面白い作品でした。色々、書き留めてしまいました。本音が露骨に顕在化されているからこそ共感できるものもある・・・ということかな。 ・俺は、夕子さんの夢だけが、本物だと思った。誰にも言わないで、自分の中で大切に大切に育て上げて、努力を続けた夕子さんの夢だけが、本物だと思った。(中略)俺は、夢がぎゅうぎゅうづめになっている教室の中で、とにかく一番大きな音を出さなければ、と、必死だった。自分には夢があるって思いたかった。夢に向かって精いっぱい頑張っている人間だって、誰かに思ってもらいたかった。あの人ならミュージシャンになれるかもしれない、そう誰かに思ってもらうことによって、自分のやわらかい、覚悟のない夢を固めていきたかった。 ・きっかけとか覚悟とかって、多分、あとからついてくるんだよ ・花奈が拾い上げるものと、俺が拾い上げるものは、違う。同じ世界を生きて、同じものを見ていても。 それどころか、どちらかが真っ先に捨てたものと、どちらかが真っ先に拾い上げたものが、全く同じものだってことも、ある。 ・本当に大切なのは、はじめの十秒間なんかではない。一番大切なのは、「大切なのははじめの十秒間です」というふうに、何でもいいからとにかく言い切るということだ。 ・学校の先生も、教科書も、両親も、子どものころは子どもに対して、いい子であれ、人に迷惑をかけるな、間違ったことをするなと教える。だけど大人になった途端、一度くらい本気で喧嘩したほうが人と人は深く分かり合えるとか、人に迷惑をかけてきたからこそ伝えられる何かがあるだなんて言い始める。正しいだけではつまらないなんて、言い始める。 ・武田が学生のことを侮っていなかったからなのだと思う。武田は、相手が克弘のような経験のない若造でも、きちんと信頼してくれる。相手を軽んじる、ということがないのだ。こういう人が人を選ぶべき立場にあるべきなんだろうな。 ・ビジネスシーンにおいて〝いい人〟はいらない、思ったことははっきりと声に出す、交渉事ではまずこちらが上の立場であることを示す─ ・組織の一番上か、一番下でない限り、仕事とは、立場の違う人と人の間に存在する。その中で、あらゆることを、どちらの気分も害さないように調整できる能力──それこそが仕事ができる能力なのではないだろうか。 ・克弘は、今この瞬間、本気でそう思うことができた事実を、この先何度も大切なお守りのように握り締める予感がした。その途端、今までは見えていなかっただけで、誰の掌にもその人だけの透明のお守りが隠されているような気がした。
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とても、とてもよかった。 桐島、部活辞めるってよ から数年。 朝井リョウさんが積み上げてきたものが、のっかっている気がした。
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