何様 の商品レビュー
「何者」の続編的な意味合いもある短編集。就活ではなく、就職後の若者たちを描く物語が多かった。 どの物語も他人に認められたいともがく姿が痛々しく若々しい。でも同時に羨ましく感じてしまうのだ。 若い世代が読んだらどんな感想になるのだろう。もっとこうですよとか、あんなやつ実際はいません...
「何者」の続編的な意味合いもある短編集。就活ではなく、就職後の若者たちを描く物語が多かった。 どの物語も他人に認められたいともがく姿が痛々しく若々しい。でも同時に羨ましく感じてしまうのだ。 若い世代が読んだらどんな感想になるのだろう。もっとこうですよとか、あんなやつ実際はいませんよ的な感想になるのか、メチャメチャ共感できるのか。それを聞いたところで、その相手を羨ましく感じてしまうのかもしれない。
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朝井さんが書く作品も、とても大好きで。 何者で出てきた方の過去や その後について書かれている。 はじめは、キレイな作品やな~って思って読み進めると。。。 そこは、さすが朝井さん。 何者にもなれなかった僕が、就活を経て、社会人になるわけだけど、 何様の立場で人を評価するんだ。 若...
朝井さんが書く作品も、とても大好きで。 何者で出てきた方の過去や その後について書かれている。 はじめは、キレイな作品やな~って思って読み進めると。。。 そこは、さすが朝井さん。 何者にもなれなかった僕が、就活を経て、社会人になるわけだけど、 何様の立場で人を評価するんだ。 若い頃にありがちな、葛藤やあるべき姿に悶えながらも、本気の、ほんの数秒の誠実に向き合っていく。まぁ、明日には忘れてるんだけどね笑
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「水曜日の南階段はきれい」は、爽やかな読後感があり好きである。 「むしゃくしゃしたからやった〜」は、解説の若林さんも言及するように、正しいことを選んできた主人公が幸福になる物語を書いてほしかった。しかし、幸福にさせないのが、筆者らしさなのでしょう。 ギンジの実像が描かれなかったこ...
「水曜日の南階段はきれい」は、爽やかな読後感があり好きである。 「むしゃくしゃしたからやった〜」は、解説の若林さんも言及するように、正しいことを選んできた主人公が幸福になる物語を書いてほしかった。しかし、幸福にさせないのが、筆者らしさなのでしょう。 ギンジの実像が描かれなかったことが少し残念。
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むしゃくしゃしたから、という表現は悪い意味で使われがちだけど、敢えて、むしゃくしゃしたこと無い事に言及したお話は面白かった。物事の視点が変わっていて、やっぱり朝井リョウさんは良いですね。
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何者が大好きなので、何様も文庫化したということで読んだ。短編集だがそれぞれ完成度が高く、最初の2作品は何者との関連も感じられて面白かった。朝井リョウは留学経験のある陽キャ系の女にコンプレックスでもあるのだろうか?ただ、そういう意識高い系(笑)のキャラにも正義があり、葛藤を描いてい...
何者が大好きなので、何様も文庫化したということで読んだ。短編集だがそれぞれ完成度が高く、最初の2作品は何者との関連も感じられて面白かった。朝井リョウは留学経験のある陽キャ系の女にコンプレックスでもあるのだろうか?ただ、そういう意識高い系(笑)のキャラにも正義があり、葛藤を描いているところが良かった。
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帯の「何者」に潜む謎がいま明かされるという言葉が気になり購入しました。 読んでみて最後の「何様」以外は「何者」とは全く別の話と捉えたほうがいいと思います。 6篇に分かれている中で特に「何様」が面白いと感じました。就活生が社会人になると感じることがスムーズに伝わってきました。 ...
帯の「何者」に潜む謎がいま明かされるという言葉が気になり購入しました。 読んでみて最後の「何様」以外は「何者」とは全く別の話と捉えたほうがいいと思います。 6篇に分かれている中で特に「何様」が面白いと感じました。就活生が社会人になると感じることがスムーズに伝わってきました。 印象的な文章 ・仕事ができる能力、は、目に見えない。 ・就活生のころは、自分も、例えば語学力やプレゼン能力のような、たった一言で伝わるわかりやすい能力を駆使しているのが社会人だと思っていた。だが、目に見えるわかりやすい能力を発揮する場なんて、社会人生活の中では、ほんの一瞬しかない。 社会人一年目後半や二年目になりたての仕事のことが分かって来だした人に特にお勧めできる本だと思います。
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人にはそれぞれ自我がある。 大人になるにつれ、自分は自分、と思いながら、あの人は自由でいいな、とか、あの人みたいになりたいと思ったりする。 でもそれは、実際の言動と結びつかなかったりする。自分を正当化するため、自由すぎるとか、あの人はこここがよくないとか言ったりして、気にしてない...
人にはそれぞれ自我がある。 大人になるにつれ、自分は自分、と思いながら、あの人は自由でいいな、とか、あの人みたいになりたいと思ったりする。 でもそれは、実際の言動と結びつかなかったりする。自分を正当化するため、自由すぎるとか、あの人はこここがよくないとか言ったりして、気にしてないですよー、みたいな顔したりする。 人間てほんとにままならない。他者との関わりの中でしか生きられない人間の哀しさと愛おしさを感じる作品。
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時に目が眩むほどの眩しい青春小説を書いたかと思えば、登場人物(読者)のライフをゼロにするような話も書く朝井さん。 直木賞を受賞した『何者』のアナザーストーリーとなるこの短編集では、そんな朝井さんの表も裏も味わえると思います。 以下、印象的だった作品の感想を。 最初に...
時に目が眩むほどの眩しい青春小説を書いたかと思えば、登場人物(読者)のライフをゼロにするような話も書く朝井さん。 直木賞を受賞した『何者』のアナザーストーリーとなるこの短編集では、そんな朝井さんの表も裏も味わえると思います。 以下、印象的だった作品の感想を。 最初に収録されている「水曜日の南階段はきれい」 『何者』の中心人物だった一人、光太郎の高校時代の話です。 この光太郎『何者』では、就活の際ある業界へ就職を決めるのですが、その理由のより深いところが明らかになる短編です。 これを読み終えたときに、僕が抱いた感情は、金曜ロードショーで『耳をすませば』を観た後に近いものがありました(笑) 恋愛ものって一歩間違えると、鼻で嗤いたくなるようなものもあったりしますが、この作品の瑞々しさ、煌めきはいったい何なんだ!? 『何者』ではそんな理由で、就職を選ぶのか。と思わなくもなかったのですが、こんなことやられてたら、そりゃあその業界選ぶわなあ、と思わず納得。 でも、夕子ちゃんはいい子だけど罪な女だなあ、とも心のどこかで思ったりもします(笑) 朝井さんの毒と罠で印象的なのは「それでは二人組をつくってください」 『何者』に通じるどんでん返し! そこから明らかになるのは、登場人物の歪んだ感情であり、想像力の欠如でもあります。 こんなに登場人物をカッコ悪いというか、滑稽な状況に追い込むどんでん返しはなかなか思い浮かびません。 それでいて、人間の本質的な嫌な部分をこれでもかと照射するのは、ある意味見事というしかないです。朝井さん恐ろしや… 朝井さんのシニカルな物の見方は、ときに面白くもあります。 上記した『それでは二人組をつくってください』で描かれるテラスハウス風の番組への見方も面白いのですが、「君だけの絶対」の見方は思わず笑ってしまいました。 主人公は部活が休みだった放課後に、演劇部の劇を見に行きます。その劇は部活を通して成長する、高校生の群像劇でした。 そしてカーテンコールで「人間関係に疲れた人たちの背中を押したいと思って稽古をした」と演劇部の部長は話すのですが、それに対し主人公はこう思います。 『だけど、それを観ているのは、放課後の時間を自由に使うことができる人たち――つまり、部活でのトラブルをきっかけに成長しえない人たちばかりだった』pp219-220 ……こんなことを書けるのは、朝井さんくらいしかいないのではないでしょうか(笑) あまりに身も蓋も無い… でも、こうした見方って実は全ての創作物に、当てはまることだとも思うのです。もちろん朝井さん自身の著作にも。 だからこそこんな冷めた主人公は、最後何を思うのか、気になりました。 読者に想像を委ねる雰囲気の結末だったのですが、読み心地は決して悪くないです。その理由は、こうしたシニカルな見方も、もちろんあるのですが、それはあくまで一つの見方でしかありません。 創作物から受けとるものを、無価値だと思う人もいれば、それを心に刻み込んでくれる人もいる。また、時が経てば見方が変わることもある。 語り手はそのことを最後にうすぼんやりながらも、感覚として気がついたと思うからなのです。 そして、様々な見方があることは、創作者にとっての希望でもあるのではないでしょうか。この短編はすべての創作する人に対する、応援の話でもあるように思います。 そして表題作『何様』 これも朝井さんのシニカルな目線がうかがえます。 分かったような口を利き、就活生をふるいにかける人事部の人たち。真面目に撮影した終戦記念のドラマを、バラエティ番組でおちゃらけた後に宣伝する俳優。つい数年前まで学生だったのに、編集者になったとたん専門用語を使う、かつての友人… それは一見すると、とんでもなくダサいことにように思ってしまいます。しかしそのダサさの意味が物語の最後に一変するのです! 100%じゃなくたって構わない。 一瞬、一秒の気持ちも認めてあげてもいい。 生きることのカッコ悪さに悩む全ての人に、読んでほしい短編だと思いました。
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何者をほとんど忘れてしまっている(というのは語弊があるんですが)ので、短編集として楽しみました。このあと何者を読み返そうかな。 いやもうほんと……安定の朝井さん……日常にあるじくじくとした、特筆するほどでもないが自分に引っかかっている瑣末な事象に対する「どうして引っかかるか」の言...
何者をほとんど忘れてしまっている(というのは語弊があるんですが)ので、短編集として楽しみました。このあと何者を読み返そうかな。 いやもうほんと……安定の朝井さん……日常にあるじくじくとした、特筆するほどでもないが自分に引っかかっている瑣末な事象に対する「どうして引っかかるか」の言語化がとっても上手でっていうかなんかもうシャープでえぐるえぐる私の心を。
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『何者』の続編。とはいえ、同作の内容は殆ど覚えていないので、登場人物が共通していることさえ気づかず、普通に仕事モノの短編集として楽しませてもらいました。そう、本作だけでも十分楽しめた、ってこと。『何者』では確か、結構どす黒い内面まで描かれていたと思ったけど、本作はだいぶカラッとし...
『何者』の続編。とはいえ、同作の内容は殆ど覚えていないので、登場人物が共通していることさえ気づかず、普通に仕事モノの短編集として楽しませてもらいました。そう、本作だけでも十分楽しめた、ってこと。『何者』では確か、結構どす黒い内面まで描かれていたと思ったけど、本作はだいぶカラッとしている。同じ系統を求める向きには拍子抜けかも知らんけど、でも同じことを書いても仕方ないし、多方面からのものの見方を提示する点で、短編集ということも合わせ、本作は概ね成功しているのではないか、と。それに、ときどきハッとするような美しい描写、素敵文章に出会えるのも良い。
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