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何様 の商品レビュー

3.7

195件のお客様レビュー

  1. 5つ

    33

  2. 4つ

    70

  3. 3つ

    72

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

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2020/08/18

Saucy Dog「BLUE」 最後の章「何様」で全てが救われる気がした。 就活の時。 この企業に100%本気で入りたいと思っていないのに、それらしく自分と企業をつなげた理由を作らなきゃいけないのか、とか。 高々1年前に業界研究を始めて知った企業なのに、さも第一希望ですといっ...

Saucy Dog「BLUE」 最後の章「何様」で全てが救われる気がした。 就活の時。 この企業に100%本気で入りたいと思っていないのに、それらしく自分と企業をつなげた理由を作らなきゃいけないのか、とか。 高々1年前に業界研究を始めて知った企業なのに、さも第一希望ですといった動機が必要なのかとか。 めっちゃ考えて、苦しかった。 でも「本気の1秒」は、誠実性に悩む人を救ってくれる言葉だ。自分はそこまで本気になりきれておらず、本気でやっている人に対して不誠実だと悩むことはある。だけど、ほんの数秒だったとしても、本気で考えている瞬間があるならやってみてもいいんじゃないか。 部活、地域活性化プロジェクト、環境ボランティア。 真剣な人とのギャップはいつも感じてきた。少しでも甘えがあるような人は、踏み入れちゃいけない世界なのかなと。 でも、本気で、バドミントンが上手くなりたい。 本気で、中山間地域に人が来て欲しい。 本気で、未来の子供達にも素晴らしい自然を残したい。 そう思った瞬間があるなら、それは誠実への1歩目だ。いきなり100%なんて無理なんだから、1歩1歩始めたらいいんだよと優しく言われている気がして、ますます朝井リョウの本を読みたくなった。救われたくなった。 あと、シンプルにサワ先輩がカッコ良すぎる。 映画見ちゃった後だから、完全に山田孝之を想像しながら読んでた。こんなに自分と重なる行動する人がいたら好きになっちゃうよなー。

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2020/08/14

これぞ人間観察エンターテイメント!普段何気なく自分の中で疼いているもやっとした感情を言語化してくれてる感じ。 そうだ、こういう場合そういう感情芽生えるなって描写がうまい。登場人物はよく出てくるキャラとかぶるが、そういう人いるいる!って視点でほくそ笑んでしまいました…。

Posted byブクログ

2020/08/01

朝井リョウさんの作品は、どれも心をくすぐられてすごく好き。思春期の恥ずかしい黒歴史を嫌でも思い出すようなこちょこちょがある。 「何様」は、前作「何者」の登場人物たちの背景を盗み見たような気がして面白かった。特に甘酸っぱい光太郎の青春と、理香のドロっとした本音がたまらない。 また忘...

朝井リョウさんの作品は、どれも心をくすぐられてすごく好き。思春期の恥ずかしい黒歴史を嫌でも思い出すようなこちょこちょがある。 「何様」は、前作「何者」の登場人物たちの背景を盗み見たような気がして面白かった。特に甘酸っぱい光太郎の青春と、理香のドロっとした本音がたまらない。 また忘れたころに読み返したいなー。

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2020/07/31

これから生きていく中で生まれそうな予感が ある心の葛藤。また昔どこかに置いてきたような 感情がこの本を読み続けていると湧いてくる。 誰しもが生きていると降りかかってくるような 出来事を丁寧に描き出している印象である。 だからこそ身近でリアルを感じられる気がした。 ふと立ち止まった...

これから生きていく中で生まれそうな予感が ある心の葛藤。また昔どこかに置いてきたような 感情がこの本を読み続けていると湧いてくる。 誰しもが生きていると降りかかってくるような 出来事を丁寧に描き出している印象である。 だからこそ身近でリアルを感じられる気がした。 ふと立ち止まった時に読み返す機会が あるかもしれない。そう思える作品だった。

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2020/07/19

前作『何者』は映画館で見ました。そして就職活動が落ち着いた今、セカンドストーリーである『何様』を読みました。この本の中には自分の中にある感情でどう表現したらいいかわからないものが表現されていました。安堵はしましたがすっきりとはしませんでした。私は就職活動の時、がむしゃらではあった...

前作『何者』は映画館で見ました。そして就職活動が落ち着いた今、セカンドストーリーである『何様』を読みました。この本の中には自分の中にある感情でどう表現したらいいかわからないものが表現されていました。安堵はしましたがすっきりとはしませんでした。私は就職活動の時、がむしゃらではあったけどそこまで自分の中の感情と向き合う余裕がありませんでした。大人になったら変わると思っていることもあまり変わらないのかもしれません。もう少し時間が経ってから読み返して、もっと深く自分と向き合える時間を作りたいと思います。

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2020/07/11

『何者』の登場人物達にまつわる短編集。 主人公の視点だけでは足りなかった「想像力」の向こう側を書いた感じだった。 人生かかった就活で優先させる光太郎のドラマ。理香と隆良が同棲するまでの経緯。 『何者』を読まなくても大丈夫だけれど、読んだ直後だと、視点が変わるとこういう風に見える人...

『何者』の登場人物達にまつわる短編集。 主人公の視点だけでは足りなかった「想像力」の向こう側を書いた感じだった。 人生かかった就活で優先させる光太郎のドラマ。理香と隆良が同棲するまでの経緯。 『何者』を読まなくても大丈夫だけれど、読んだ直後だと、視点が変わるとこういう風に見える人だったんだなと思える。 「それでは二人組を作ってください」 『何者』の最後であのセリフを言った理香が何を考えて隆良と付き合ってるのか。気になっていたけれど、それが分かってスッキリすると同時に、別のモヤモヤしたものがでてきてやはり一筋縄ではいかない読後感が残る。 「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」 着信履歴でいっぱいの携帯が、『何者』でのタオルにくるんだ瑞月の携帯と重なる。瑞月もむしゃくしゃしてみたくなる日が来そうで、少し怖くなる。 『桐島〜』『何者』に続いて朝井リョウ3作目だが、どうにも朝井作品は苦手かもしれない。合わないとか面白くないとかではなく、苦手だと思う。 小説を読んでその世界で得たものは、自分にとってプライスレスの価値がある。朝井作品はプライスレスも確かにあるのだが、同時にメルカリで売った場合の値札もついてくるみたいな感じがある。青春写真の横に証明写真も貼ってあるみたいな。何を言ってるのか分からないが。 相変わらず人間描写が巧みな作家さんだと思うのだが、あまりにもそのままの人物が書かれていると感じる。 日常モノであろうと実話をもとにしていようと、自分にとってフィクションだから安心感があるが、朝井作品はその安心感が薄い。安全地帯にいられない。 「何様」を読むと、「本気の一秒」を大事にしよう、とか思うわけだが、仮に続編とかがでて「なんとなくのー分」が自分の大半を作ってるんじゃん、とか言われたら割と簡単に旗幟を変えそうな自分がいる。 自分にとっては、読むたびに足元を脅かしてくる作家なんだろうと思う。

Posted byブクログ

2020/07/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『何者』に登場する人物たちが関連している短編集。前作の主人公の先輩である会社の同僚や、前作の主人公の友達(就活仲間)の父親と偶然知り合いになる女性など、それぞれの主人公が全員前作に出ていた訳ではないのが面白い。複雑な人物相関図が思い浮かぶ。 「水曜日の南階段はきれい」だけはアンソロジーで読んでいたため、再読。活発でクラスでも目立つ存在の男子と、勉強ができて大人しい女子が付き合うというのはなんとなく現実的に考えにくいが、(実際にこの作品でも付き合いはしない)自分に無いものを持つ、正反対の人間に惹かれるのはとても共感する。学校中に知れ渡るように語る夢と、誰にも言わず自分の中で丁寧に育てる夢の対比が印象的で、どちらも素敵な夢だと思った。 「それでは二人組を作ってください」では、「髪の毛にかかっているゆるいパーマこそ、交通の便が悪くてもこういう空間で働くことを選んだ彼らしさなのだろう」という表現が的確で心に響いた。 「逆算」に出てくる有季はまさに私。毎日の出勤時間からダイエットの計画、人生のプランまでとにかく逆算して生きている。サワ先輩の、何も知らなさそうだけど実はそうでもなくて、有季の気持ちに寄り添ってくれる優しさに引き込まれた。終わり方もとても良かった。 きっかけと覚悟は後からついてくる。 「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」も、主人公にとても共感した。学生の頃、優秀であればそれはそれで褒められることもあったけど、化粧して眉毛を整えている生徒が少し眉毛を整えるのをやめた(実際はやめておらず、先生の勘違いだった)だけで褒められていて、頭の上には???で溢れていたのを思い出した。正しく真っ当に生きることがバカらしくなるのも当然。しかし私はいい子を装うのはやめられない。 「何様」の君島さんは強気で、苦手なタイプだと思っていたけれど、「嬉しいと思った一秒も、誠実への一歩として誠実にカウントしてあげて」という言葉に救われた気がした。 朝井リョウさんの作品は詰め込まれたメッセージがとにかく多くて、ガリガリと噛み砕くのにかなり時間がかかるし、全て噛み砕くことはできない。自分の理解力のなさに虚しくなるけど、めげずにまた朝井さんの作品を読みたいと思った。

Posted byブクログ

2020/06/25

社会人になる前となった後では読後感がことなるのだろうなと思った。自分はまだ学生だが、社会でもがき苦しむ人々に気づいたら憧れを抱いていた。

Posted byブクログ

2020/06/15

「何者」になれなくても、「何様」と言われようとも、「何様」を演じて生きていく。 前作『何者』を読んだのはずいぶん前だったので、正直登場人物の事は忘れていた。 覚えていることは、当時流行が加速していったSNSをベースに、自分という存在を他者からの評価で作り上げることの怖さと滑稽さ...

「何者」になれなくても、「何様」と言われようとも、「何様」を演じて生きていく。 前作『何者』を読んだのはずいぶん前だったので、正直登場人物の事は忘れていた。 覚えていることは、当時流行が加速していったSNSをベースに、自分という存在を他者からの評価で作り上げることの怖さと滑稽さである。 私は、SNSでの承認欲求や自己形成に疲れていた事もあり、印象が残っているのだろう。 一方、本作『何様』では、SNSのようなわかりやすいテーマはなかったように思える。 とはいえ、自己形成や自己理解といった類似したテーマは感じた。 高校の部活(きみだけの絶対)だろうと社会に出ようと(むしゃくしゃしてやった、と言ってやりたい・何様)、他人の評価で自分という存在が作られていくことに変わりはない。 でも、それが全てではない。 自分の中に大切にしている何かがあるはずで、それこそが自分の核のはず。 作中の言葉を借りるなら、他人の評価や世間の目に押し流されそうになったとき、「そういうときは、ピボット」して、自分の中の「本気の一秒」を守る。 解説の若林さんの言葉を借りるなら、「社会の、会社の、利潤追求の激しい回転」から「本気の一秒」を守る。 そうやって「何者」にもなれなかった大人は、「何様」と言われようとも、「何様」を演じて、自分の大事にしている自分の人生を生きていくのかもしれない。 (本文ありきではあるけれど、若林さんの解説はとりわけ刺さる内容だった。)

Posted byブクログ

2021/02/10

「私、圭くんのデリへル嬢みたいだね」洗面所で口を洗って、薄暗いリビングに戻ってきた彼女が下着を付け直しながら呟いた。咄嗟に、「は?何言ってんだよ。そんなわけないだろ...」と語気を荒くして答えたが、その先に付け加えようと思っていた「優里ちゃんは大事な彼女だよ」という言葉は喉に突っ...

「私、圭くんのデリへル嬢みたいだね」洗面所で口を洗って、薄暗いリビングに戻ってきた彼女が下着を付け直しながら呟いた。咄嗟に、「は?何言ってんだよ。そんなわけないだろ...」と語気を荒くして答えたが、その先に付け加えようと思っていた「優里ちゃんは大事な彼女だよ」という言葉は喉に突っかかり、深い闇の中に落ちていった。無性にイライラした。好きでもないのに性欲を満たすため、付き合っているのではないか?その問いには答えたくない。私は自分自身に対して嘘をついてでも、良い人でいたかった。その良い人の仮面すら満足につけられないのに、性欲だけはいっちょ前に背負っている不格好な現実を見たくなかった。 彼女はいつの間にか私が貸したTシャツに着替え終わっていた。かなりオーバーサイズな筈なのに、胸に膨らみの影が映る。 「もう寝よう?」 彼女が眠そうに手を掴む。「うん」と手を引き、お互いを抱き枕の様に抱えシングルベットに横たわった。 「やっぱり圭くんとこうすると落ち着くねー」 「俺も落ち着く、好きだよ優里ちゃん」 「私もー好き」 彼女の柔らかく暖かい足が絡み、萎んでいたトランクスが膨らむ。 「あーまた大きくして笑。ほんと圭くん元気だねー笑」 性欲と共に湧き上がる何かを誤魔化すように、彼女の股に手を伸ばす。 「あっ だめ...」 彼女の熱と感触を右手に感じながら、唇を重ね合わせる。口がアイスクリームのように溶けていき、彼女の匂いがなだれ込んでくる。酒に酔った時みたいに頭がぼーとして、さっきまでが、考えていたことがどうでもよくなってくる。 そうだこれでいいんだ。これでいい。心の中で何度もそう言い聞かせた。体の奥の何かが蠢き、心が重くなった気がした。

Posted byブクログ