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ままならないから私とあなた の商品レビュー

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229件のお客様レビュー

  1. 5つ

    62

  2. 4つ

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  3. 3つ

    53

  4. 2つ

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2023/04/15
  • ネタバレ

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P60 まず、最も相手に知られたくないようなことをさらけ出す、だったっけ、あんたのモットーって。信じられないくらい傲慢だよね。俺が脱いだからお前も脱げよって、知りませんって感じ P265 意味がないこととか、無駄なこととか、新技術で簡単に省けちゃうようなことにこそ、人間性とか、あたたかみとか、そう言う言葉にすらできないような、だけどかけがえのないものが宿る気がするの。

Posted byブクログ

2023/04/15

どちらも、考え方が違う二人を描いたストーリー。 「レンタル人間」…一目惚れした女性がレンタル業をしていると知り、人間同士のありのままの関係の素晴らしさを教えようとする男。元体育会系出身で、男同士の裸の付き合いや会社の先輩とのなんでもさらけだせる関係に陶酔している。 「ままならない...

どちらも、考え方が違う二人を描いたストーリー。 「レンタル人間」…一目惚れした女性がレンタル業をしていると知り、人間同士のありのままの関係の素晴らしさを教えようとする男。元体育会系出身で、男同士の裸の付き合いや会社の先輩とのなんでもさらけだせる関係に陶酔している。 「ままならないから私とあなた」…小学校からの幼馴染であるユッコと薫。薫は効率的で先進的なことを重視する一方、ユッコはそういう技術的なことの中では”人間らしさ”はない、その中にこそ美しいものがあると考える。 共通点は、二人の中の考え方の違いがわりと対極なこと。 体育会系の部活動ならではの青春を送ってきた雄太は、人間をレンタルして何かしらの役を演じさせるなんてことは到底理解できない。高松は現代の希薄な人間関係の中で人間のレンタルをする側の気持ちもわかるから、演じている。 この男の考え方は熱苦しい、押し付ける部分があって嫌だった。自分はたまたまそういう環境にいてそういう部活に入っていてそういう先輩後輩の上下関係にも恵まれてそういう上司と気軽に風俗行けて、って。その「たまたま」のレールに乗れず、苦しんでいる人達を「なにか過去に辛い出来事があったんじゃないか」「救いたい」の一心で、信じて疑わないのところ。こういう人種がいるから、レンタル人間をする人達が出てくることをわかっていない。 作中の高松の台詞「信じられないくらい傲慢だよね。俺が脱いだからお前も脱げよって、知りませんってかんじ」 本当にこの一言に尽きる。本当にエゴ。本当に傲慢。 ただ「ままならないから私」を見ると、こういう現代だからこその温かみもなくしてはならないという、ある意味の矛盾した感情が生まれる。 ユッコは無駄なものや非効率的なものの中でしか生まれない感情や大切なものがあると考え、それを自分がつくる曲にのせてきた。 雄太とちがって熱苦しい考えを押し付けるわけでもなく、だけど幼馴染の薫との小さな違和感を抱えているユッコ。 ラストの二人が話しているシーンは、どちらの言いたいことも理解できる。 アーティストのLIVEは生で観たいし、旅だってバーチャル体験ですむ時代でも公共交通機関乗り継いで現地に行って疲れたいし、好きな人に直接触れることでしか得られない幸せって絶対ある。 薫はそれに対して「自分にとって都合のいい新技術とか合理性だけ受け入れて、自分の人生を否定される予感のするものは全部まとめて突っぱねるって、そんなのずるくない?」と言った。 そういうことじゃないんだよな。 便利な世の中になった今。 あるべき便利なものは必要ならば使うべきだと思うし、現代はそういうものに頼らないと正直人並みの生活なんでできないし。 だけど先に挙げたような、LIVEとか旅とか恋愛とかそこに至るまでの過程でしか得られないものも確かにあって。むずかしいなーと思った。 どちらかを捨ててどちらかを選ぶじゃなくて。 ”共存”をしていくしかないんだなぁ、と。 「レンタル人間」では雄太の愛だ熱血だの考えが鬱陶しく思って、「ままならないから私とあなた」では薫の機械的な冷め具合に引いて。 この対極な二人の考えの、どこらへんに自分の考えがあるのかでこの一冊の感想は変わる気がする。

Posted byブクログ

2023/04/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

薫とユッコの関係は正に背中合わせの状態で手を繋いでて、その価値観・考えが違うのに大人に至るまで続く関係が興味深かった。無駄なことを切り捨てることが(科学の力が)世界の発展を後押しし、新たな価値の創造に繋がると主張する薫。無駄なことにこそ人の温かみがあって、それが人間だ主張するユッコ。多分、どっちも間違っててどっちも正しい。けど、薫の純粋な善意の押し付けがユッコの気持ちを思うと辛くかんじた。

Posted byブクログ

2023/03/09

違うから、偶然だから愛おしいと思える豊かさっていいなあ いらないものを切り捨てて効率よく生きようという想いは世界の発展には確かに必要だと思うけど、人と人との繋がりやその人らしさ、違いは受け入れていきたい 昔は私のこと完全に理解してくれる人なんていないんだって悲しかったけど、だから...

違うから、偶然だから愛おしいと思える豊かさっていいなあ いらないものを切り捨てて効率よく生きようという想いは世界の発展には確かに必要だと思うけど、人と人との繋がりやその人らしさ、違いは受け入れていきたい 昔は私のこと完全に理解してくれる人なんていないんだって悲しかったけど、だからこそ生きがいがあるのかもしれない みんな一緒だったらつまらない、その違いを乗り越えて、受容していけるくらいの懐の深い人間になりたい

Posted byブクログ

2023/10/09

自分と他者は違うということ、そして違いは尊重すべきだということを十分に理解しているつもりだった。だけど、きっとわたしは今でも自分の中の「正しさ」を信じるあまり、他者を本当の意味で理解する努力を怠っているのではないか。そうハッとさせられた。 (ただ、本のメッセージ性が強すぎて、読...

自分と他者は違うということ、そして違いは尊重すべきだということを十分に理解しているつもりだった。だけど、きっとわたしは今でも自分の中の「正しさ」を信じるあまり、他者を本当の意味で理解する努力を怠っているのではないか。そうハッとさせられた。 (ただ、本のメッセージ性が強すぎて、読者である自分がついていけない、というか若干引いてしまうのを感じて上手くハマれない。。)

Posted byブクログ

2023/03/03

自分の価値観や思い込みに囚われすぎるのは怖いなと。相手のことを考えるって確かに大事だけどそれがほんとに相手のためになるなんて分からない。だから自分の優しさや善意を決して他人に押し付けてはダメだし価値観の違いを許容できる人間になりたいなと思えたな

Posted byブクログ

2023/02/24

誰でも何でもできるようになったら、皆同じになっちゃうから。ままならないことがあるから、皆別々の人間でいられるんだもん。p271 職業的に刺さるフレーズだった。私のスタンスは雪子よりだが、薫の主張にぐうの音も出なくなることもしばしば。人間らしさと技術の進歩、是非もない。 引用し...

誰でも何でもできるようになったら、皆同じになっちゃうから。ままならないことがあるから、皆別々の人間でいられるんだもん。p271 職業的に刺さるフレーズだった。私のスタンスは雪子よりだが、薫の主張にぐうの音も出なくなることもしばしば。人間らしさと技術の進歩、是非もない。 引用した文章にも通ずるが、違いを豊かさにできればいいなあ。

Posted byブクログ

2023/02/14

短編二編。最初にある「レンタル世界」は彼女お借りしますという漫画で知っている世界で、ストーリーが想像できたので星3つかな?「ままないから私とあなた」はAIが人の暮らしを豊かにしてくれるネタが好きなジャンルなので星4つかな?薫ちゃんの言い分はある面では正しい。古い非合理的な因習をな...

短編二編。最初にある「レンタル世界」は彼女お借りしますという漫画で知っている世界で、ストーリーが想像できたので星3つかな?「ままないから私とあなた」はAIが人の暮らしを豊かにしてくれるネタが好きなジャンルなので星4つかな?薫ちゃんの言い分はある面では正しい。古い非合理的な因習をなくして、必要なことに特化した生活を目指すのなら、やれることは全て機械やAIにまかせればいいではないか。でも、人間はそれだけではない。偶然が人生や世界を変える、制御できないことに感動する。というユッコの言い分も判る。自分は薫ちゃん8割ユッコ2割だな。 でも後書き読んで、二編に共通する主題、自分の正しいは相手の正しいとは違うことがある。について再考して星5つに昇格。相手の考えを「話してくれてありがとう」と言った上で「私の考えを話すね」と説明を始めるユッコは大人だ。結局二人が判りあえたわけではない。でも話さなかったら違うということも薫にはわからなかっただろう。「価値観が異なる小さな世界」を拒絶せず「変わりゆく世界になじんでいく」ことが大事なことではないだろうか。自分の価値観を説明したり他人の価値観きくのは面倒くさいけど・・・! 

Posted byブクログ

2023/02/08

効率を追求して他を切り捨てる天才少女・薫。そんな彼女に違和感を感じながらも友達であり続ける雪子。 どちらも間違っていないからこそ苦しい。やり場のないモヤモヤがまさにままならないことなのかも。

Posted byブクログ

2023/01/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「レンタル世界」は文芸誌で当時読んですごく衝撃を受けたの思い出した。朝井リョウさんの作品はいつもラスト数ページで衝撃を受けているけど。 「ままならないから私とあなた」はタイトルにすごく惹かれた。価値観の違いや理解できない部分があるから他人と一緒にいたくなる。その人といる時間は合理的じゃなくて無駄な時間かも知れないけどそういう時間が愛おしかったりするもんなあ。

Posted byブクログ