ままならないから私とあなた の商品レビュー
面白かった。 《レンタル世界》は早々に結末が予想できてしまったが 《ままならないから私とあなた》はよかった。 朝井リョウ氏は社会とリンクさせたテーマ選びが秀逸なので、毎回じんわりとした読後感が得られる。 人生を自分の思うままにコントロールすることと 自分の予想通りに動い...
面白かった。 《レンタル世界》は早々に結末が予想できてしまったが 《ままならないから私とあなた》はよかった。 朝井リョウ氏は社会とリンクさせたテーマ選びが秀逸なので、毎回じんわりとした読後感が得られる。 人生を自分の思うままにコントロールすることと 自分の予想通りに動いてくれないもの この2つは表裏一体。親友同士。 お互いの存在があるからお互いの価値が高まる。 決して切り離せない、誰にとっても永遠の相棒。 そうやって、夫婦、親子、友人、同僚、予想通りにいかないところで巡り巡っていくのも味わい深い。
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最初の話秀逸だった 当たり前だった関係性、価値観を疑うのがほんとに上手な作家だと思う 文構のジェンダーの授業が生きてるんじゃないかなあと思う笑
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
◾️レンタル世界 野上先輩つらかったっすねぇ。 主人公の熱量がうざくて、最後全部ひっくり返った時にちょっとスッキリしちゃった。 ◾️ままならないから私とあなた 「ままならない」とは、思い通りにならない、という意味。 その言葉の通り、薫もゆっこもままならない。 ゆっこのことを思ってプログラムを開発をしたけど、結果ゆっこの千載一遇のチャンスを潰してしまう薫。自分らしさにこだわって曲を作り続けるけどオリジナリティのある曲を作れず、まだ将来設計もできていないのに妊娠しちゃうゆっこ。 薫は超合理主義で、自分がコントロールできないことから逃げる一方、社会から認められる。 ゆっこは自分らしさとか、その場だからこそ、みたいな価値観を大事にしてて、そういった余白があって出会えた渡邉くんといい関係性だけど、逆に個性が認められず苦しむ。 自分らしさは科学では再現できないのか? 科学で実現できないことってあるのか? 私自身ドライ寄りだし薫の考えに合意できる部分もあったけど、人の価値観・考え方にはグラデーションがあって、一概に線を引けない。そこを揺らがすことはままならないのかなぁと思ったりした。 最後、薫の結婚相手がレンタル旦那?とか思って深読みしすぎた。
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主人公は感性や考え方に柔軟なタイプで相手と意見が違って当たり前という思いの持ち主。薫は合理主義でどちらかというと、白黒思考。 どちらも言ってることは納得できる。 人間は感情があるから行動に矛盾があって当たり前だと思う。 主人公の彼とのやり取りで相手の真意をくみとり上手に言い換えを...
主人公は感性や考え方に柔軟なタイプで相手と意見が違って当たり前という思いの持ち主。薫は合理主義でどちらかというと、白黒思考。 どちらも言ってることは納得できる。 人間は感情があるから行動に矛盾があって当たり前だと思う。 主人公の彼とのやり取りで相手の真意をくみとり上手に言い換えをして言い争いを回避していたけど私もそのようにオトナの対応をできるようになりたいと思いました。とくに、大切な家族には。
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子供の頃の小さな違いが、大人になるにつれてどんどん大きくなっていく。人と人はきっと分かり合えないと思う。だけどままならない存在同士だからこそ、話し合ってみることは大事だと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
レンタル彼女は薄情に見えるけど関係性がないからこそ言える悩みもある。逆に何でも曝け出せば分かり合えはるわけでもなく、全部知っているという自負は間違っていると考え直すきっかけになった。 題名の通り「ままならないからわたしとあなた」ままならないからって言葉は、人間らしく感じた。反対に現代ネットが進んでコピーすることが簡単になっていく世界、自分らしさすらも再現できるようになることは怖い。でも自分らしさだったり、人間らしさだったりを語るくせに便利なものを求めているっていうことは、弱い自分や変わらない自分を人間らしさって誤魔化しいているのではないかとも感じた。合理性と人間性どっちが大切かの答えは出ない。
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①2023.09.15読了 無駄を一切排除する派と無駄なことこそ価値を感じる派の反復横跳びを繰り返した。やはり朝井リョウは急に刺してくる。
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2人は親友だった。しかし、合理的を追求する薫と、非合理的な部分にこそ本当に重要なものがあると信じる雪子は、徐々にすれ違っていく。 この物語のキモは、どちらかを肯定するわけでも否定するわけでもなく、2人の心の中の2つの価値観が、ただそこに"存在している"、それ...
2人は親友だった。しかし、合理的を追求する薫と、非合理的な部分にこそ本当に重要なものがあると信じる雪子は、徐々にすれ違っていく。 この物語のキモは、どちらかを肯定するわけでも否定するわけでもなく、2人の心の中の2つの価値観が、ただそこに"存在している"、それ以上でもそれ以下でもないのだと伝えてくること。私はこれに、激しい共感を覚えた。 誰が間違ってるとか、そんなことはどうでも良く。結局自分は、自分の納得する価値観に沿って生きていき、そこに責任を持つ、ただそれだけなのだ。 しかし、ひとつの価値観に縛られる生き方を私は望まない。そのために、「価値観の異なる小さな世界」を大切にしていこうと思った。 「私は、自分はきっと目の前の男を採用するだろうと思った。そうすることで、価値観が異なる小さな世界が身の回りにまたひとつ増え、他ならぬ自分が、変わりゆく世界の一部に馴染んで行くのだろうと感じた。」
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レンタル世界の話、別の朝井作品で読んだことあるぞ?!な一冊。感想について3点あるうちの1点は朝井リョウさん好きとして全く別の視点から書きます。 まず、全体について書くと、本書は2作入っている中編集。両方とも読者に「あーままならないっ」「朝井リョウさんの世界だ」と思わされる作品で、...
レンタル世界の話、別の朝井作品で読んだことあるぞ?!な一冊。感想について3点あるうちの1点は朝井リョウさん好きとして全く別の視点から書きます。 まず、全体について書くと、本書は2作入っている中編集。両方とも読者に「あーままならないっ」「朝井リョウさんの世界だ」と思わされる作品で、デジタルや今までにないサービスで効率効率と言われている世界がある一方で、人と人との絆世界とのズレみたいなものを表現されています。どっちの世界がいいではなく、読者が「ままならない」と感じれば、朝井さんの狙いは達成されるのではないかと思いました。 ●それ、朝井リョウさんの経験そのまま笑 レンタル人間サービス。この仕事の話だとわかったとき既視感がありました。それは朝井リョウさんのエッセイ。(風とともにゆとりぬ) 「何者」かのフリをしてみたくて登場人物全員が架空の人物の食事会をした朝井さん。本書ではそのシチュエーションが例としてそのまま書かれています。おそらくどうしてもいれたかったのかなと思うくらいそこだけ少し浮いています笑 ●レンタル世界 主人公雄太が、その後の作品(死にがいを求めて生きているの)にでてくるアツすぎる登場人物のベースになったのでは?と思うくらい似ていて、積み重なっていると思わされました。 プライドやメンツが大事な世界って数多く残っています。そのイメージを壊さないようにレンタル人間で補うってありそうでなかった発想でしたが、これ、、やっている人いるなと思わされました。レンタルすれば、そのあとうまくいく、自分の気持がなんとかなるなら、ピンチのときの解決策になる。ただ、レンタル人間同士でリークしあう世界にならないといいのですが。 ●効率を求めた先に わたしは薫ちゃん寄りの人間です。だから、薫ちゃんの言っていることはわかるなぁと思いながら読み進めました。後半のユッコとの話し合いでは、薫ちゃんも指摘していますがユッコの意見が弱くて弱くて説得力に欠けました。もしかしたら朝井さんも薫ちゃん寄りの人間なのかもしれません。 最後にはあんなことになるし、それはコントロールできるから「ままならない」になりませんよ・・ 効率を徹底的に求めた先に結婚・恋愛・子育てをどうするのか?そこはまだ当時の情報や世間の認識が薄すぎて朝井さんにしてはいまいち書ききれていない気もしました。が、書くとSFぽさが出てしまうだろうし、難しいところです。薫ちゃんは一応結婚したけど、ままならないことが発生したとき、効率化のためにどうするのか?別れるんじゃないかな?勝手に気になりました。
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