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慈雨 の商品レビュー

3.7

328件のお客様レビュー

  1. 5つ

    62

  2. 4つ

    126

  3. 3つ

    112

  4. 2つ

    13

  5. 1つ

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2019/08/11

悔恨と再生を本部全体で表現したら、こうなるんだな。という作品。 物語の前半部分で主人公の心情とリンクするようにずっと梅雨空のスッキリしない天気、同時に進行していく事件も絡まって重々しい。 それが少しずつ全ての事に晴れ間が見えてきて最後には天気雨となり、過ちや心に溜まった全てのもの...

悔恨と再生を本部全体で表現したら、こうなるんだな。という作品。 物語の前半部分で主人公の心情とリンクするようにずっと梅雨空のスッキリしない天気、同時に進行していく事件も絡まって重々しい。 それが少しずつ全ての事に晴れ間が見えてきて最後には天気雨となり、過ちや心に溜まった全てのものを洗い流してくれるところの展開の仕方はとても上手だし流石、プロの物書きといった感想を持った。ただ、物語が動くまでに過去の追憶の長い部分があるのでそこが少し長くて個人的に、ダレてしまった。

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2020/11/06

最後の寺を目指す神場と妻・香代子の2人に、慈しみの雨が降る。 印象深いラストシーンに涙が出ました。 柚月裕子さんの作品ですが、一気読み必至の作品です。 警察官を定年退職した神場は、妻の香代子と共に四国遍路の旅に出る。 旅先で出会う人々の優しさ、叶わぬ想いや様々な悲しみに触れる。...

最後の寺を目指す神場と妻・香代子の2人に、慈しみの雨が降る。 印象深いラストシーンに涙が出ました。 柚月裕子さんの作品ですが、一気読み必至の作品です。 警察官を定年退職した神場は、妻の香代子と共に四国遍路の旅に出る。 旅先で出会う人々の優しさ、叶わぬ想いや様々な悲しみに触れる。 実は、彼は、16年前、自ら捜査にあたった幼女誘拐殺人事件が、実は冤罪ではなかったのかと思い悩んでいた。 (彼の見る悪夢から、本作は始まります) 果たして、16年前の事件と酷似した事件が発生する。犯人は、同一犯なのか? 時を経て、場所を隔て、織りなす物語の数々。 関係者の思惑を胸に、部下の緒方が辿り着いた真実とは? タイトルの『慈雨』というネーミングが、素晴らしいと思います。

Posted byブクログ

2019/08/04

元警官が、お遍路の旅の途中で、ある少女行方不明事件を知る。元部下と調査の経過を追っていくうち、16年前の少女殺人事件の犯人が冤罪の可能性が高いことが判明するが、司法機関の信頼が失墜するため、再捜査の可能性は薄い…。 冤罪、家族愛、上司・部下愛。少女殺人という事件の題材のお重さは...

元警官が、お遍路の旅の途中で、ある少女行方不明事件を知る。元部下と調査の経過を追っていくうち、16年前の少女殺人事件の犯人が冤罪の可能性が高いことが判明するが、司法機関の信頼が失墜するため、再捜査の可能性は薄い…。 冤罪、家族愛、上司・部下愛。少女殺人という事件の題材のお重さはやり切れないし、犯人に対する怒りは収まらないが、いろんな人間模様も組み込まれ、スッキリとは行かないものの、心がジンとする終末に救われた。

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2019/07/31

柚月さんの本は、いつも直ぐにリアルな世界観に入り込ませてくれる。故にこれは重苦しく、事件の真相を追いながら常に容赦なく理想と現実のギャップや正義とは何かを考えさせられた。 主人公神馬と妻の四国巡礼の旅を土台に、過去の事件に囚われた刑事たちの泥臭い程に熱い情熱と信念が、旅の進行と共...

柚月さんの本は、いつも直ぐにリアルな世界観に入り込ませてくれる。故にこれは重苦しく、事件の真相を追いながら常に容赦なく理想と現実のギャップや正義とは何かを考えさせられた。 主人公神馬と妻の四国巡礼の旅を土台に、過去の事件に囚われた刑事たちの泥臭い程に熱い情熱と信念が、旅の進行と共に新たな事件捜査の形で少しずづつ生々しく描かれていて、それぞれに感情移入しながら読んだ。 事件解決と同じくして終わる旅の最後に夫婦に優しく降り注ぐ慈しみの雨が、全ての許しのような描写で涙が溢れた。

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2019/07/30

犯人のバックグラウンドはもうちょい掘り下げて欲しかったなぁー 最後の雨は涙だろうか。それとも通り雨?

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2020/09/06

中古本屋で欲しかった本、とりわけ新刊に近いものを見つけると、やっと会えたねという感じで、とても嬉しい。 警察を定年退職し、妻と二人で四国へお遍路に出た、元刑事の神場。 定年で一区切りつけた中、色々な気持ちを込めた遍路の旅路で、これまでの仕事のことや家族の中での出来事が思い起こさ...

中古本屋で欲しかった本、とりわけ新刊に近いものを見つけると、やっと会えたねという感じで、とても嬉しい。 警察を定年退職し、妻と二人で四国へお遍路に出た、元刑事の神場。 定年で一区切りつけた中、色々な気持ちを込めた遍路の旅路で、これまでの仕事のことや家族の中での出来事が思い起こされる。 家庭も顧みずに仕事一筋で生きてきた神場と、それでも長年連れ添ってきた妻・香代子の、夫婦の物語として、同じような世代の者には、これがなかなか沁みてくる。 が、旅先で幼児殺害事件のニュースを聞いたところから、過去に自分が担当した同じような事件で残した悔いが蘇る。 その、今でも残る古傷の中身が、進行中の捜査とシンクロしながら徐々に明らかになる筋立ては、ミステリーとしても結構面白い。 と書きながら、神場があれほどの男でありながら、過去の悔いを引きずって、ひとり、ああだこうだと思い悩むのが、なんだかしっくりこないところもあったのだなぁ。 刑事の妻であることを誇りに思っていると言ってくれている妻に対して正直な心情を吐露することが出来ないのは、背負っているものの大きさ故ではあるが、ああまで妻や娘に対して頑なでなくても良いのにね。 奥さんが本当に素晴らしい人であるだけに、仕事しか出来ない男の昔気質の心情がいささかじれったかった。 まあ、私も結婚30年以上経っても、嫁さんの言葉に、そういうことを考えていたんだとか、何を考えているんだとか、私の言葉をそういう風に受け取っていたのかとか、いまだに複雑な心境になる場面も多いけどさ…。

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2019/07/27

16年前の幼女誘拐惨殺事件をずっと引きずって刑事を退職した神場、その間彼に笑顔は無かったのでしょうね。誠実な彼の生き方に随所で泣かされます。 奥さんが素敵ですね。刑事の妻です。

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2019/07/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文句なしの☆5つ 神場と鷲尾が苦しんできた16年前の幼児殺人事件と同じ手口でまたもや幼児殺人事件が発生 16年前の事件は冤罪なのか ラストの真実に迫っていくシーンは手に汗握った 読み終えて、タイトルにも感動 柚月裕子さんの作品これからも楽しみ

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2019/07/17

お遍路さんの間に他で出来事が発生して廻りながらも関わっていくような話は前にもあったような。この道中と事件と人生が絡み繋がって主人公が最後に一歩踏み出すんでしょう、という想像からハミ出すモノではなかったよ。そういう意味では苦悩の原因も犯人確保までの経緯も娘の出自も驚きはありませんで...

お遍路さんの間に他で出来事が発生して廻りながらも関わっていくような話は前にもあったような。この道中と事件と人生が絡み繋がって主人公が最後に一歩踏み出すんでしょう、という想像からハミ出すモノではなかったよ。そういう意味では苦悩の原因も犯人確保までの経緯も娘の出自も驚きはありませんでした。だからこそ王道な感じで安心して没頭できましたが。 ただ、寡黙で不器用な主人公が、自分からは最低限のコミュニケーションしか取らないくせに周りがみな理解してくれて斟酌してくれて意図を汲み取ってくれる図々しさと都合の良さというファンタジー設定があの世代の現実感を鈍らせてワガママだけを増長させているようで、大キライなのでした。結局悩みはそれですべて解決しちゃったし。黙ってオレに着いてこい、見て分かれ、忖度しまくれ、な高倉健(の演じる役)を代表とするようなキャラクターとその脇役でしょうか。ああいう渡世人気質みたいのを理想化されては周りはたまらない。っていうかそういうのみんなホント好きなんだね。オラ、ほんとに大っ嫌いだそういうの。 同年代の作者だけれど、古臭いキャラだなぁと思ったのです。

Posted byブクログ

2019/07/17

初めての柚月裕子。推理小説+人間ドラマ。文章も癖がなくどんどんページが進む。しばらく続けて読みたい。

Posted byブクログ