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愛なき世界 の商品レビュー

3.8

509件のお客様レビュー

  1. 5つ

    106

  2. 4つ

    197

  3. 3つ

    140

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2018/11/25
  • ネタバレ

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三浦さんの小説はぐいぐいとお話を読ませていくものが多いと思う。私が読んできたものにそういうものが多かっただけかもしれないけれど。 大学のそばにある古き良き洋食屋の『円福亭』で弟子として働く藤丸は、お客として来ていた大学の院生の本村に恋をした。しかし本村に気持ちを伝えた彼に返ってきたのは予想の斜め上の返事だった。「愛のない世界を生きる植物の研究に、すべてを捧げると決めている」だから、誰とも付き合わないのだ、と。植物の研究に生活のほとんどを傾けたひとたちのちょっとおかしくて可愛らしいのになんだか切実な毎日に寄り添った一冊。 作中に出てくる松田先生とその友人の話には涙が。 若かりし頃の松田先生を救ったのは、幽霊とは思わないが、確かに彼とともに生きた時間、彼の残してくれた時間の全てなのだということ。松田先生がゆっくりと、親友が残した写真の意味を変化させていったこと、それを自分に許して行けたことが、私には誠実な希望の一つになった。 物語が心を救うことがある。 藤丸さんと本村さんはこれから長い時間をかけて隣にいたらいい。そしていつのまにかお互いが唯一の役割をもつ者同士になれたらいい。 幸せな読書でした。 おかげで道端の草をついついじっと見てしまうように。

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2018/11/25

植物学研究者をめざす本村紗英と、彼女に恋した洋食屋の見習い・藤丸陽太くんと、その周囲の人々の交流が描かれている。 三浦さんの小説は、恋愛至上主義じゃないのが、良いです。 それでも、不器用に一生懸命生きて、恋する藤丸くんとか、悩みながらも研究に没頭する本村さんとか、愛しくなる一冊。...

植物学研究者をめざす本村紗英と、彼女に恋した洋食屋の見習い・藤丸陽太くんと、その周囲の人々の交流が描かれている。 三浦さんの小説は、恋愛至上主義じゃないのが、良いです。 それでも、不器用に一生懸命生きて、恋する藤丸くんとか、悩みながらも研究に没頭する本村さんとか、愛しくなる一冊。 植物の世界を「愛なき」という表現するのは、面白い発想だな、と思った。 主人公二人以外にも、おいもの先生とか、サボテン愛な後輩君とか、素敵なキャラクターがたくさん出てきているので、続編を読みたいな。

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2018/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

植物学!!www めっちゃツボなんですけどっ!www なんでまたこんな小説を書こうと思ったんだか?www そして、だからどうってこともないし、マニアック過ぎるよ…wwwww いや〜、いいなぁ、しをんさん。好きだわぁ〜〜♡www

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2018/11/21

洋食屋の見習い・藤丸陽太が恋をした本村紗英は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!? T大大学院で植物を研究する理系の変人?たちと洋食屋のシェフ見習が登場人物。物語の起伏に乏しく、三浦しをんの筆力が...

洋食屋の見習い・藤丸陽太が恋をした本村紗英は、三度の飯よりシロイヌナズナ(葉っぱ)の研究が好き。人生のすべてを植物に捧げる本村に、藤丸は恋の光合成を起こせるのか!? T大大学院で植物を研究する理系の変人?たちと洋食屋のシェフ見習が登場人物。物語の起伏に乏しく、三浦しをんの筆力がなかったら退屈で最後まで読めたかどうか。 (Ⅽ)

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2018/11/18

植物をこよなく愛する大学院生と駆け出しの料理人との恋愛物語。 T大でシロイヌナズナの葉っぱの研究をしている本村に、近所の定食屋の若手料理人の藤丸が恋をする。 しかし本村は植物に恋をしてしまった女性で、藤丸はあえなく撃沈。 しかし本村が所属する松田研究室と藤丸の付き合い...

植物をこよなく愛する大学院生と駆け出しの料理人との恋愛物語。 T大でシロイヌナズナの葉っぱの研究をしている本村に、近所の定食屋の若手料理人の藤丸が恋をする。 しかし本村は植物に恋をしてしまった女性で、藤丸はあえなく撃沈。 しかし本村が所属する松田研究室と藤丸の付き合いは続き、藤丸は植物への造形を深くし、本村の生きる姿勢に感銘を受けていく。 脳もなく、感情もない植物は、ただ繁殖していくのみの生きる姿勢に、人間が愛や悲しみなど感情のある生きる意味を、見直させられる作品。 藤丸の淡い恋心が、いじらしくもあり、心地よい。

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2018/11/15

+++ 恋のライバルが人間だとは限らない! 洋食屋の青年・藤丸が慕うのは〝植物〟の研究に一途な大学院生・本村さん。殺し屋のごとき風貌の教授やイモを愛する老教授、サボテンを栽培しまくる「緑の手」をもつ同級生など、個性の強い大学の仲間たちがひしめき合い、植物と人間たちが豊かに交差する...

+++ 恋のライバルが人間だとは限らない! 洋食屋の青年・藤丸が慕うのは〝植物〟の研究に一途な大学院生・本村さん。殺し屋のごとき風貌の教授やイモを愛する老教授、サボテンを栽培しまくる「緑の手」をもつ同級生など、個性の強い大学の仲間たちがひしめき合い、植物と人間たちが豊かに交差する―― 本村さんに恋をして、どんどん植物の世界に分け入る藤丸青年。小さな生きものたちの姿に、人間の心の不思議もあふれ出し……風変りな理系の人々とお料理男子が紡ぐ、美味しくて温かな青春小説。 +++ 植物の研究をしている、大学の研究室が主な舞台なので、専門的な用語や描写が多数登場する。苦手分野なのだが、そんなことを忘れさせるほど、物語の世界に吸い込まれていく心地になる。この一冊のなかには、さまざまな愛が詰まっている。もちろん恋愛もあるのだが、それだけではなく、料理や食材に対する愛、師弟間の愛や、同僚たちに対する愛、そして研究対象である植物へのとめどない愛。読むごとに満たされていく感覚に包まれる。タイトルとは裏腹に、温かな愛にあふれた一冊である。

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2018/11/13

シロイヌナズナに恋をし、その研究に全てを捧げているT大の大学院生本村紗英。T大の正門前の洋食屋・円服亭の見習い藤丸陽太。本村さんに恋をした藤丸くんと、そんな二人を取り巻く松田研究室の面々の植物愛に溢れた「愛ある」世界の物語。 まず、表紙が美しい。その魅力は、しをんファンではない...

シロイヌナズナに恋をし、その研究に全てを捧げているT大の大学院生本村紗英。T大の正門前の洋食屋・円服亭の見習い藤丸陽太。本村さんに恋をした藤丸くんと、そんな二人を取り巻く松田研究室の面々の植物愛に溢れた「愛ある」世界の物語。 まず、表紙が美しい。その魅力は、しをんファンではないけれど、書店で思わず手に取ってしまったほど。夜空のような深いブルーを基調に、静かに植物や蝶が描かれ、その合間に遺伝子の二重らせん、さらにはホログラムで描いた種や実験器材が浮かぶ。この装丁だけで「これは読む!」と決めたほど。 物語としては専ら松田研究室の研究の日々が描かれ、そこに定食屋の藤丸くんが絡んでいく。この、研究ド素人の藤丸くんと同じ目線で読み手も植物について知り、興味を抱いていく流れになっているあたり上手いな~。 遺伝の難しい理屈はさすがに読み流したけれど、ぎっしり詰まった植物愛、研究一筋の人生は読んでいて楽しく、凄いの一言。 いつも黒服を着ている見た目「殺し屋」の松田先生が一番好きで、友を事故で亡くしたエピソードを語るところは嗚咽もの。 残念なのは、藤丸くん。 いい子なんだろうけど、あの喋り方はなんとかならいかな~。「そうすか?」「~っす」「~すね」のすかすか言葉が鼻について、軽い男認定してしまうと、もうダメ。 定食を届けに来ただけなのに、本村さんへの私情からいちいち研究室に食い込んで、顕微鏡を見せてもらったり、セミナーで発表を聴いたり、教授もいるのに普通そこまでやるか~。 結局、藤丸くんを好きになれなかったことが、この作品に「舟を編む」超えを許さなかった敗因でした。

Posted byブクログ

2018/11/10
  • ネタバレ

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愛なき世界? いや、「愛」は確かにそこに在った。 植物に恋してしまった本村は大学院でひたすら研究に邁進する。 「どうして」「知りたい」を繰り返し植物の謎をとことん追及し続ける姿勢にとても好感が持てる。 そしてそんな本村に恋してしまった藤丸の、本村を静かに温かく見守る視線が柔らかい。 「恋」よりも深い「愛」がじわり伝わる。 植物のことを知りたいと願う本村や本村の仲間の研究者達の、一見静かだけれど内に熱く燃える情熱は確実に「愛」だと言える。 そして私は円服亭の料理が食べたくてたまらない…。 読んでいて『舟を編む』を思い出した。 しをんさんの、一心不乱に物事を突き詰める、風変わりな人達を追う物語はやっぱり面白い。

Posted byブクログ

2018/11/09

そっかーここで終わっちゃうのか…という残念感というか、えーもうちょっと先に進むのかと⁉︎という気持ちにはさせられたけど、大学院とか研究とかの世界に(文系だけど)馴染みがある分たいへん面白かった。愛すべきキャラ満載。

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2018/11/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

初読。図書館。お仕事小説に分類してもいいよね。実験に関する専門的な描写は藤丸くん同様にさっぱりわからなかった。だけど、「愛なき世界」にすべてをささげる個性的な研究者たちの信念はひしひしと感じられた。そして、藤丸くんの料理に対する愛も。結婚も恋愛もいらない、と思える世界が持てるのはとてもうらやましい。しをんさんの他のお仕事小説とはそこが違う。文楽の健だって、好きな人は2番目だったのに、本村さんにとっては圏外なんだ。すげえなあ。

Posted byブクログ