愛なき世界 の商品レビュー

三浦しをん(著者)

2019/01/12

思考も感情もない『愛』なき世界を生きる植物にすべてを捧げている理系女子の本村さんと、彼女に恋する洋食屋の店員藤丸陽太。でも彼らを取り巻く世界は愛に満ちあふれている。
理系が苦手な自分には「舟を編む」の方が読みやすかったかな。

2019/01/10

植物学の研究にまい進するT大の人々の話し。

三浦しをんさんのマニアックな人たちの心の機微を描いた本が好きだし、何より装丁がとてもきれいだったので期待して読み始める。

僕自身、オリーブという木のことばかり考えている農家なので植物学の話し共感するだろうな思って読み進めるが、なぜか読んでも読んでも登場人物たちに感情移入できない。

駅伝も辞書も全く興味ないけど、三浦さんのお話しは大好きだったのに。なぜか自分が好きな植物の話しに最後までシンクロできず終わってしまう。

植物や虫や動物が好きで好きでたまらない気持ちの本当のところ三浦さんつかめてないかも、もしくは僕が特殊なのかも。

なんだろう植物の本当の魅力は、アカデミックではなくて、生き物としてのドラマティックさやエロテックな感じだと僕は感じているので、そのあたりにズレがあったのかな。

2019/01/07

藤丸さんが素敵過ぎて、私が代わりに付き合いたい…。
料理もできるし、好奇心旺盛、まっすぐな性格で、ついつい告白をしてしまう。「おイモの先生」とか、かわいすぎます。もちろん、本村さんもひとつのことに夢中になっているさまがとても魅力的で、自分も読んでいるうちにこういう世界もあるのだと興味がわいてきました。良くここまで調べられたな、と門外漢の私は思います。
三浦しをんさんの登場人物はどの人も魅力的。
二人のこれからは分からないけど、変にくっついたりせず、この先進展があるかも、と想像するのが楽しいです。

2019/01/04

「愛なき世界」
空しく、さびしいタイトルだと思ったが、逆説的だった。
人との恋愛を遠ざけて、植物の研究に打ち込む人たち。
しかし、知りたい、という欲求と熱意は、まさに素晴らしき愛だ！
そこまでうちこめるなんて、とてもうらやましい世界。

研究や実験の克明な描写を読むのは大変だったが、これをちゃんと読まないと、餡パンのトッピングの芥子粒みたいな種を１２００粒蒔いたりして、白目剥いたり肩が凝ったりする登場人物たちに寄り添えないのだ。
料理大好きで、植物も好きで、本村さん大好き、そしていろんなことに興味津津な、藤丸くんのおおらかさが微笑ましい。
新年一冊目、素敵な読書になった。

2018/12/25

ありー、最後そうなるんやー。
でも、それはそれで気持ちいい、潔い。
世の中にはひたすら一兎を追い続ける人がいる。
何かを成し遂げる人は皆そうだ。

でも、一人ではたどり着けない。

それが人なんだなー。

2018/12/25

私は理系だったので、本村さんのワクワクした気持ちがとても共感でき面白かったです。

対象は違えど、本村さん、藤丸くんの真っ直ぐな気持ちは読んでいて気持ち良かったです。

最後の1ページは三浦しをん先生の気合が感じられる描写が読み取れ、読み応えがありました。

特に、今元気が欲しい人やワクワクを感じたい人におすすめします。きっと、ひたむきな気持ちを思い出してくれると思います。

2021/01/04

“何か一つのことに打ち込もうと思ってる人はみな、この物語を愛するはずである。”

そんな書評に惹かれて買った一冊です。

自分を責め続けてしまう日々が続き、もう何度も何度もそのことについて考えた、そののちには、どうかこの本とめぐりあってほしい。そう思います。

2018/12/22

冒頭、T大を初めて訪れた藤丸が目にしたシダ状の謎の物体が「鯨の歯」だと知っていた時点で、知的好奇心が旺盛な若者なのだと分かる。その上マメで優しく働き者で料理が得意で善良な藤丸はできれば私がお付き合いして頂きたいくらい魅力的なのに、よりによって惚れた相手は植物の研究者で人間に興味が無い。

大学の面々が個性的で『動物のお医者さん』を読んだ時に似た印象があった。
タイトルに反して愛に満ちた温かなお話で、その上、作者のエッセイを読んでいるかのような面白い表現が満載で、時折ニヤニヤしてしまった。
脳内キャスティングでは、藤丸役はドラマ『昭和元禄落語心中』で与太郎を演じた竜星涼だった。言葉遣いが似ていたせいかもしれない。

2018/12/17

植物の研究に人生を捧げたような人達．そんな彼女本村さんを好きになってどんどん植物も好きになっていく藤丸君．藤丸君の料理にかける情熱と相通じるものがあり，本村さんも藤丸君には好意を持ちながらも植物の世界を選んでいく．ドロドロしたものがない淡々としたそれこそ愛なき植物的な世界の物語．だけど，読後感は優しい愛に溢れていました．登場人物はそれぞれ魅力的で，特に黒いスーツを着ている松田教授が素敵です．

2018/12/16

愛なき世界と植物の世界を捉え、シロイヌナズナの研究に没頭する本村。そんな彼女に恋しダブルパンチでフラレながらも彼女を応援する藤丸。なんていい奴だ！「大勢の人が行き交っていても植物の不思議さに気づいていない」というくだりがささった。円服亭、私も行きたいよー！遊び紙のトレぺの細胞イラストもにくいね。