営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
家で不審なことが起こる。お化けか気のせいか怪異なのか。どうしたらよいのか。そんなときに知り合いの大工さんに紹介されて現れる営繕かるかやの尾端。 彼は怪異の原因を根こそぎ払ってくれるわけでも退治してくれるわけではないが今後も住み続けられるように家を修繕してくれる。 お化け退治の話かなと思っていたが怪異は0にするわけではないが、それでも怪現象はなくなり住むには十分な環境にしてくれる日常の地続きに怪異はあるんだなあ 0にしなくても良いんだよなあ。かるかや本人も謎。 そして怪異が起こるそもそも原因は人間なんだなあ。 続編でてるので、又読もうと思う。
Posted by
決着は着くけど、原因は不明。 それが意外とモヤモヤしなかった。 ただ、図面を読めない女なので、事細かに家を説明されると、逆に分からなくなって、そこら辺は途中から適当に読み飛ばした(笑
Posted by
営繕かるかやの大工、尾端が怪異をそれなりにおさめる短編集。 恥ずかしながら営繕とは初めて聞いた言葉で調べてみると、 「建物を新築、修繕や増築したりすること、修繕より概念が広い。修繕は建物の傷んだ場所を直す」だそう。 尾端自身は怪異が見えるわけではないし、まして祓ったりするわけでは...
営繕かるかやの大工、尾端が怪異をそれなりにおさめる短編集。 恥ずかしながら営繕とは初めて聞いた言葉で調べてみると、 「建物を新築、修繕や増築したりすること、修繕より概念が広い。修繕は建物の傷んだ場所を直す」だそう。 尾端自身は怪異が見えるわけではないし、まして祓ったりするわけではない。大工として怪異の出る建物をいじくって人間と怪異の間に折り合いをつけ解決していく一風変わったお話。 この「折り合い」をつける過程がとても面白かった。中には悪意のありそうな怪異もあったが比較的怪異側にも寄り添える理由があったり納得する部分もあり。 怖さもどん底に落とされるような恐怖ではいけれど、ちゃんとあります。 続編あり。
Posted by
今のじめじめした時期に読むのが合ってる。城下町だった町で起こる家にまつわる怪異を祓うんじゃなくて折り合いつけて暮らしていく、っていうのが良い。金沢をイメージして読んでたので、金沢にまた行きたくなった
Posted by
【短評】 名手・小野不由美によるホラー短編集。 どの作品も非常に後味が良く、どこか「ほっこり」とさせられる。読了後「嗚呼、素敵なお話だ」と嘆息することしばしば。解説で宮部みゆきが触れていた「折り合いを付ける」というのが言い得て妙であり、怪異に取り込まれるでも打ち勝つでもなく、細や...
【短評】 名手・小野不由美によるホラー短編集。 どの作品も非常に後味が良く、どこか「ほっこり」とさせられる。読了後「嗚呼、素敵なお話だ」と嘆息することしばしば。解説で宮部みゆきが触れていた「折り合いを付ける」というのが言い得て妙であり、怪異に取り込まれるでも打ち勝つでもなく、細やかな”営繕”という手段を以て、怪異を受容する手法が快かった。一方で、要所要所には「怖さ」がピリリと効いており、ホラーとして弱いと言うこともない。 派手さは無いが堅実な作品。根しとしとと雨の降る梅雨の時期にぴったりの一冊である。 ①奥庭より ★★★★☆ 箪笥をカリカリと削る何者かの手。静かに立ち現れる怪異の描写が印象に残る。強烈な恐怖ではないが、ジワリと背筋に来る感じが非常に好み。 怪異との共存という本作の妙味が見事に表現された結びの一文が秀逸だった。 ②屋根裏に ★★★☆☆ 「ばいばい」が大変に怖かった。無垢な子供だからこその恐怖というものがある。三津田信三の「キヨちゃん」を思い出した。怪異の正体が**というのは恐怖的にはマイナス(既にキャラクタが確立してしまったいるゆえに)なのだが、最後の「ヒュッ」は趣深いものがある ③雨の鈴 ★★★☆☆ 美しさすら感じる怪異の描写!!お悔やみを申し上げる”魔”である。 明確な法則性のある怪異は結構好みなのだが、ややパズル寄りの解決に向かってしまったのは少々残念。叙情的な意味合いにおいて、非常に印象に残る魔であっただけに、そちら方面の広がりを期待してしまった ④異形のひと ★★★☆☆ 正直笑った。引き戸を開けるとおじさんが詰まっているというのは、実際に行き会うと最高に怖いと思うが、第三者的な視点で見るとちょっと面白く感じてしまう。他の編に比べると、解決編(?)がやや唐突だった印象もある ⑤潮満ちの井戸 ★★★☆☆ 魚が跳ねていると思ったが、まさか*とは。しかも千切られているとは。 良くも悪くもそこの印象に収斂してしまった。本作の地味さがやや悪い方向に向かった印象。スルリと終わってしまった ⑥檻の外 ★★★★★ 抜群。間違いなく本作のベスト。タイトルからして本当に素晴らしい。 光の使い方が上手い。壊れたシャッターというギミックを上手に使って、暗闇と忍び寄る怪異の恐怖感を見事に演出していた。 本作屈指の哀しいお話。無垢な子供が絡むお話には感じるものがある。本シリーズは怪異の由来が明確な方が味がある気がする。どうしてそこにいるのか、に物語がある方が格段に良い。本作は明確に所以がある。哀しいお話が、ある。 「かってに、あいたよ」が齎す感慨に本作の魅力の全てが詰まっていると行っても過言ではないだろう
Posted by
怪異を『祓う』わけではなく、 怪異を『倒す』わけでもやく、 修繕することで 問題を解決する のが面白いなと思った。 派手な演出を求めて読むと、物足りなく感じるかもしれない。 でもその分、日常に地続きな怪談を読むことができ、これはこれで楽しかった。
Posted by
2023.06.19 ★3.8 古い家特有のほの暗い雰囲気、明かりを点けても部屋の隅まで光が届かない感じが、すごく伝わってくる。 子どもの頃の、おばあちゃんちに泊まった夜、あそこから手が出てきたらどうしよう、とか、あの廊下曲がった先に誰か居たらどうしよう、みたいなゾクゾク感が...
2023.06.19 ★3.8 古い家特有のほの暗い雰囲気、明かりを点けても部屋の隅まで光が届かない感じが、すごく伝わってくる。 子どもの頃の、おばあちゃんちに泊まった夜、あそこから手が出てきたらどうしよう、とか、あの廊下曲がった先に誰か居たらどうしよう、みたいなゾクゾク感が味わえた。 続編があるようなのでそちらも読もうと思う。 ↓↓↓内容↓↓↓ 雨の日に鈴の音が鳴れば、それは怪異の始まり。極上のエンターテインメント 叔母から受け継いだ町屋に一人暮らす祥子。まったく使わない奥座敷の襖が、何度閉めても開いている。 (「奥庭より」) 古色蒼然とした武家屋敷。同居する母親は言った。「屋根裏に誰かいるのよ」(「屋根裏に」) ある雨の日、鈴の音とともに袋小路に佇んでいたのは、黒い和服の女。 あれも、いない人?(「雨の鈴」) 田舎町の古い家に引っ越した真菜香は、見知らぬ老人が家の中のそこここにいるのを見掛けるようになった。 (「異形のひと」) ほか、「潮満ちの井戸」「檻の外」。人気絶頂の著者が、最も思い入れあるテーマに存分に腕をふるった、極上のエンターテインメント小説。
Posted by
家で起こる怪異を無くすのではなく、共存するため家を「営繕」する短編集。怪異をやっつけろ、逃げろを選ばない所が新しい。 最初の短編は間取り描写が細かく、こちらの知識不足もあってか逆に分かりづらく感じた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
レビュー編集済。先のレビュー書き込み後日、知人にこの本の内容を話していてどんどん面白くなってきてしまったため評価と感想を修正した。 以前のを読み返すと上から目線だ恥。 「怪異譚」とあるのでホラーなのだろうと思っていた。しっとりとした日本のホラー。主人公は話ごとに変わる。古い家にまつわる何事かが起き、それらを営繕かるかやの尾端という人物が緩和させる。緩和させと書いたのはそれらの事象を全く失くするというのではなく、あるものはあるものとして存在させお互い共存する形でおさめている。各話の主人公は怪異に寛大な気がする。たとえ起こらなくなる、見えなくなる、彼らの事情を理解したとしてもいるしあり続けているもので怖い。今市子さんの『百鬼夜行抄』に似た雰囲気。
Posted by
古い家を舞台に起こる怪異を綴った短編集。 終始ゾワゾワする怖さ。状況の説明が細かいから、必然的に頭の中の映像も細かくなってしまうのが余計に怖い。 怖いのにどんどん読んでしまった。
Posted by