1,800円以上の注文で送料無料

営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー

3.9

197件のお客様レビュー

  1. 5つ

    39

  2. 4つ

    91

  3. 3つ

    47

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/05/20

怪異な困り事をさりげなく解決する尾端さんがとても気に入ったので続きもぜひ読みたいです。 「雨の鈴」風情のある静かなお話なのに怖さがじわじわ来ました。読みながら鈴の音が聞こえてきそうでした。

Posted byブクログ

2024/05/12

十二国物語よりも、対象年齢は低いと聞いていたので、紐解くのを躊躇っていた。読めば子供騙しではなかった!確かにあんまり壮大な魔物は出てこない。ただ、言葉遣いは案外難しいものを使用していた。登場人物の名前は特に凝っていた。 曰く。 尾端(おばな)、隈田(くまだ)、衛(まもる)、夏希(...

十二国物語よりも、対象年齢は低いと聞いていたので、紐解くのを躊躇っていた。読めば子供騙しではなかった!確かにあんまり壮大な魔物は出てこない。ただ、言葉遣いは案外難しいものを使用していた。登場人物の名前は特に凝っていた。 曰く。 尾端(おばな)、隈田(くまだ)、衛(まもる)、夏希(なつき)、有扶子(ゆうこ)、実乃里(みのり)、真菜香(まなか)、裕弥(ひろや)、堂原(どうばる)‥‥ それに「営繕屋」なので、古い住居の専門用語や、ちょっとだけ古臭い言い方なども出てくる。振り仮名がついている場合もあれば、無い場合もある。気がついたのは、以下のような言葉だった。 障(さわ)り、手水(ちょうず)、上り框(あがりかまち)、三和土(たたき)、頭(かぶり)を振った、地均し(じならし)、梁(はり)の上に蟠(わだかま)る翳り、腥(なまぐさ)い臭気、顔を蹙(しか)めたまま、 ‥‥一般に形容詞は、作者の日常用語みたいで、振り仮名を付けるのを忘れるようだ。普通読めないよ、この漢字。 家に憑く魔物は、真っ黒クロスケみたいな可愛いモノは殆ど居ない。と、わたしは経験上知っている。わたしの家も古い。家には面倒なことが多い。でも経験上小物ばかりだ。何故なら、家はずっと続くものであり、人が居なくなれば、家は急速に朽ちるものだからである。家が潰ればアレも居られなくなる。お互い宥め賺しつつ同居するしかない。 カリカリ音を立てて何故か襖が開く 屋根裏から跫音がする 雨の日にお悔みがやってくる 戸を開けると其処にアレがいる 井戸からアレが家中に這入ろうとする ガレージの暗闇にアレがいる わたしん家の小物は明確に、建て付けの悪さや、家屋に住む鼠や蜚蠊(ごきぶり)や、蛇口から滴り落ちる水音や、外を徘徊する動物と雨音、物置に入り込んだ小動物だと思っているけど、そうではなく、この世の論理ではなく動く世界が、ふとこの世に重なることもあるのかもしれない。 霊能力のない尾端さんは、あの世の論理を何故か理解している。だから「営繕」すると異世界は悪さをしなくなる。

Posted byブクログ

2024/05/10

文章が端正だ。情景が目に浮かぶ。といって説明がくどくどせずすっきりして美しい。 怪異譚を描くにはこの品のある文体がとても合っていて素敵だと思う。すごいなぁ、、、

Posted byブクログ

2024/05/01

事故物件ブームの先駆けとなった「残穢」の作者が送る 住居にまつわる怪異を営繕屋・尾端が独自の視点から修繕する。 怪異や幽霊に対しての見方が変わる、ハートフルな全6篇。 恐怖作品として仕上がっている『怪談』でもなく、怖がらせるための『恐怖物語』でもない 日常に潜む、ちょっとした不...

事故物件ブームの先駆けとなった「残穢」の作者が送る 住居にまつわる怪異を営繕屋・尾端が独自の視点から修繕する。 怪異や幽霊に対しての見方が変わる、ハートフルな全6篇。 恐怖作品として仕上がっている『怪談』でもなく、怖がらせるための『恐怖物語』でもない 日常に潜む、ちょっとした不思議な体験『怪異』の原因を探る物語。 どんなものにも【原因】→【何か】→【結果】がある。 日常に何物かの僅かな痕跡の結果を見つけても、原因や何が起こっているのかわからないと 恐怖になりうる。 建造物の修繕を専門とした修繕屋の尾端は、このような恐怖を伴った家の障りを 独自の視点から修繕・解決する。 霊障と思われることも、原因がわかれば解決方法は人間へのそれと同じ 足りないものを優しく補ってやれば、次第に落ち着いていくもの。 そんな優しさに溢れた作品。 小野不由美さんの文章は相変わらず淡々と進んでいく。 個人的には「異形のひと」が面白かった。 おじいちゃんの死は悲しい話だけど、幽霊になって怯えないで過ごせるようになって良かった。

Posted byブクログ

2024/03/02

小野不由美先生の作品は初めて。 「家」をテーマにした怪談。なんだか薄暗く、湿度のある雰囲気を全体を通して感じられる。 「家」に住む人間たちのなんとなく暗い気持ちを妖怪のようなものたちが合わさるじっとりとし物語。

Posted byブクログ

2024/02/25

古い城下町の建物に現れる怪異。じわりと怖い。ぞくぞくっとする。 大工さんがどの様にして、その怪異の原因を明らかにして祓うのかと思ったが、祓うのではなく、全てを新しくするわけでもなく、短期間で建物の一部を変えることだけで。怪異の発現を抑える。その工夫が素晴らしい。

Posted byブクログ

2024/02/25

怖すぎない怖い話 短編集。 かつて城下町だった、古い町が舞台。 家や身の回りで起こる、人ならざる者による出来事を、「営繕 かるかや」の尾端が解決に導く。 ‥‥ 城下町の古い家が舞台ってこともあって、静かで和な雰囲気の怖すぎない話が独特でよかった。 雨の日の夜に読みたくなる感...

怖すぎない怖い話 短編集。 かつて城下町だった、古い町が舞台。 家や身の回りで起こる、人ならざる者による出来事を、「営繕 かるかや」の尾端が解決に導く。 ‥‥ 城下町の古い家が舞台ってこともあって、静かで和な雰囲気の怖すぎない話が独特でよかった。 雨の日の夜に読みたくなる感じ。 続きもあるので読んでみたい。 2024年2月25日

Posted byブクログ

2024/02/24

1つ1つの怪異譚にとても引き込まれた。 情景がドラマを観ているように頭に浮かび、恐怖で背筋が冷えながらもページを捲る手が止まらなかった。 拠り所である筈の家が、気の休まらない避けたい場所となり、尾端氏の発想と手により再び安息の地へと繕われる。人と怪異双方に配慮された状態へと。

Posted byブクログ

2024/02/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2024/2/24 なぜか今まで読んだことなかった超有名作家様。 なぜかな?と検索してびっくり、綾辻行人の妻!そうなんや。 読んでなかった理由はおそらくシリーズ物が壮大でどこから手を付けていいかわからなかったんだろうな。 そんなことを無意識に思っていた時に誰かのレビューかツイッターかなんかでこれがおすすめされててさっそく。 善悪、正解不正解、そう決めてしまうことなく終わらせるやり方が優しく美しい。 そして営繕さんが来る前はとびきり怖い。 いい。

Posted byブクログ

2024/02/18

1月に引き続き小野不由美ブームなので営繕かるかやシリーズを読む 様々な家に起こる怪異を営繕屋の尾端が掬い上げる 営繕とは”営繕とは、「建築物の営造と修繕」のことをいい、建築物の新築、増築、改築、修繕、模様替等の工事を指します。"と国土交通省のHPに書いてある つまり怪異...

1月に引き続き小野不由美ブームなので営繕かるかやシリーズを読む 様々な家に起こる怪異を営繕屋の尾端が掬い上げる 営繕とは”営繕とは、「建築物の営造と修繕」のことをいい、建築物の新築、増築、改築、修繕、模様替等の工事を指します。"と国土交通省のHPに書いてある つまり怪異のもとになる例を祓除したりするわけではない その家に住む人と怪異との間をとりなすというほうが近いかもしれない 家という本来は安心できて寛げる場所だからこそ、そこに怪異があるとなるともう絶望的な気分になってしまう 職場や学校と違って逃げ場がない。また暗い夜を過ごすのも家だ そんな心許ない状態から尾端が登場し、怪異の理由を紐解きなだめていく様子は鮮やかとしか言いようがない 短編集でもあるので長編ホラーが苦手な人も読めるかもしれない

Posted byブクログ