営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー
怪異現象の悩みを解決するのが「大工」というのもユニークだが、その対処法もまた一風変わっていて目からウロコ。ホラーながら読後はほっこりする話ばかりだった。
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まったく新しい切り口で描かれたホラー作品。恐怖に襲われるというより、背筋が冷えるようなうすら寒い空気に包まれた。ただ、後書きで宮部みゆきさんが述べているように、一貫して絆を重視したストーリー展開になっており、一味違った夏の風物詩に仕上がっていると感じた。
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内藤了の『よろず建物因縁帳』の仙龍が曳き屋なら、こちらの尾端は営繕屋。「障りになる疵は障りにならないように直す、残していい疵はそれ以上傷まないように直す」、そういう職業。 古い城下町に移り住んできた人々が、家に住み着いているらしい誰かに怯え、それを聞いた尾端がシュシュッと解決します。霊感ばりばりの仙龍のことを思えば、尾端にはそんなものはないし、霊能師でも霊媒師でもありません。でも彼は、怪異の正体の身になってその気持ちを考える。怪異は居住者を怯えさせているだけで、危害を加えようとしている様子はないのだから。怪異の正体がどうしたいと思っているのだろうかを考えます。解決策が優しさに溢れている。 6話の中には、正体をもう少し詳しく知りたかったものもありますが、切なさに胸が押しつぶされそうになったものも。すごく好きです。
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家に憑く「何か」は昔からそこにいて、でも新たに引っ越してきた住人による増改築のせいで居心地が悪くなり悲鳴を上げる。その物音や姿を恐れて住人が施工業者に相談をし、自分の手に負えないと感じた業者が頼むのが、大工「営繕かるかや」。 それぞれの怪異は恐ろしいけれど、無理に祓うのではなく、...
家に憑く「何か」は昔からそこにいて、でも新たに引っ越してきた住人による増改築のせいで居心地が悪くなり悲鳴を上げる。その物音や姿を恐れて住人が施工業者に相談をし、自分の手に負えないと感じた業者が頼むのが、大工「営繕かるかや」。 それぞれの怪異は恐ろしいけれど、無理に祓うのではなく、共存を図るためのリノベーションをするという優しさが恐ろしさに勝る作品だった。 真っ直ぐにしか進めない魔が、道の突き当たりに玄関がある家に入ってくる『雨の鈴』が印象に残った。 我が家も道路の突き当たりにあたる部分におまじない程度に石敢當を設置している。石敢當の前で足踏みをする喪服の女を想像してゾッとした。 それにつけても営繕かるかやを営む尾端氏の顔の広さよ。
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古い家々に起こる怪異。解決法を探る内、営繕やの尾端に辿り着く。 尾端は霊能者でもなければ、祓い屋でもない。大工だ。 そこに住む人(この世の人も、そうでない人も)が快適に住めるよう、疵を治す仕事。 怪異を祓うのではなく、共存させ、時に救う。 どの話も、最後は心温まる。
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小野不由美先生のショートホラー集。流石に読みやすくていいのだけど悪霊を払うというステレオタイプのものではなく営繕屋さんがなんとなく解決すると言ったお話。 おかげでぺこぱの漫才のような新しい感じはするものの今ひとつスッキリしないというかなんというか・・・悪さはしなくなっても幽霊が出る家に住み続けるのはイヤだろうと思うんだけど。。。
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友達から「十二国記の新刊、読んだ!? まだ!? おもしろかったよ!!」と言われて、うぉーと思いながら、読み始めたのはこちらの本。 あまのじゃくなわけじゃナーイ! ブクログに感想を記録していない本は詳細をすっかり忘れ去っていることがあまりに多いので、いきなり新刊に手をつけていいもの...
友達から「十二国記の新刊、読んだ!? まだ!? おもしろかったよ!!」と言われて、うぉーと思いながら、読み始めたのはこちらの本。 あまのじゃくなわけじゃナーイ! ブクログに感想を記録していない本は詳細をすっかり忘れ去っていることがあまりに多いので、いきなり新刊に手をつけていいものかどうか迷い中なのである。 あのシリーズ、設定が複雑で、復習なしで私の頭がついていけるかしらと心配で。しかしどこまで遡るべきかもわからず、ためらっているところ。 というわけで、まだ読んでいないこれを図書館で見つけて嬉々として借りてきたわけですが・・・十二国記に気を取られていたお陰で、この著者がホラー作家だということをすっかり失念しておった。油断した。 自分でもあきれるくらい怖がりなので、最初の作品で早くも震え上がった。 不意打ちかよーと涙目で読んだ。(怪異譚というタイトルで普通気づくはずなのだが十二国記に完全に気を取られており・・・) しかし、読み終わってみるとそれほど怖くない。 むしろ心がほっこり。 実に新しいタイプのホラーだと思った。 発想に感動した。 霊やもののけっていうと、これまでは「取り除く」ばかりだったが、営繕かるかやの尾端さんは、彼らの世界と私たちの世界の交錯した部分をちょっとした大工仕事でずらし、交錯しないように改変する、という方法で問題解決していく。 なるほどね。向こうの世界はそのままそっとしておくわけか・・・と感心。 しかも、その改変を行う人が除霊屋とかミディアムとかエクソシストとかじゃなくて、「出入りの工務店」ってあたりが新鮮すぎるよ。 彼の素顔は全く見えないどころか、最後の最後まで登場しないので、こっちの想像力がかきたてられて、たまりません。 まさか、「工務店」って言葉にときめく日が来ようとは。(笑) その弐もあるようなので、嬉しい限りです。
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奥庭より 屋根裏に 雨の鈴 異形のひと 潮満ちの井戸 檻の外 著者:小野不由美(1960-、中津市、小説家)
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ホラー小説…なんでしょうねぇ。怖い絵本シリーズの小説版。 地の文が文学小説のようです。 家にまつわる怪異現象を、いなす(←これミソ)というお話。怪異の原因はよくわからないけど、とりあえずこうしたらなんとな~く見なくてすむよ。という処置をするお話。 怪異を取り払うわけではないので...
ホラー小説…なんでしょうねぇ。怖い絵本シリーズの小説版。 地の文が文学小説のようです。 家にまつわる怪異現象を、いなす(←これミソ)というお話。怪異の原因はよくわからないけど、とりあえずこうしたらなんとな~く見なくてすむよ。という処置をするお話。 怪異を取り払うわけではないので、当事者の努力(見ても気にしないとか)も必要… いや、これ自分の家やったら無理やわ。
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あまりホラーは得意ではないけど、悲しくて切なさが伝わってくる作品でとても魅力的だった。主人公である尾端の出番はほんの少々なのに少しのセリフが重みを持っている。
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