営繕かるかや怪異譚 の商品レビュー
古い城下町に残る古い家々。それぞれ訳あってそこに暮らす人々が出会う怪異譚。ホラーというより、ちょっと怖いお話。 お祓いや霊退治をするのではなく、少しの工夫で折り合いをつけ解決に導く手並みが実にうまく、また、各編もダラダラせずスッと終わって絶妙でした。「営繕かるかや」の尾端さん、重...
古い城下町に残る古い家々。それぞれ訳あってそこに暮らす人々が出会う怪異譚。ホラーというより、ちょっと怖いお話。 お祓いや霊退治をするのではなく、少しの工夫で折り合いをつけ解決に導く手並みが実にうまく、また、各編もダラダラせずスッと終わって絶妙でした。「営繕かるかや」の尾端さん、重要なのに出番はあまりありませんが、その分各編の登場人物達が際立ち、彼らの心の動きがシンプルに伝わってきます。 読後感がよい?ホラーです。
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ホラーなのに、お祓いじゃない解決方法が素敵です。"いない人"に対しても礼節を弁えた接し方。素敵でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
古い家屋に纒わる六つの怪異の物語 『奥庭より』 一人暮らしの女性の自宅 ある部屋には、扉を閉めるように配置された箪笥と、塞がれ少しだけ覗いた障子 閉めては、開き 閉めては、開き 古い家だから傾きで開いてしまうのかな?って思うけど、何度も何度もと続くのが恐怖を掻き立てる 『屋根裏に』 屋根裏から足音が響く 衰えた母に聴こえる音 更には幼い娘が何者かに手を振り返す 無垢な幼い心に響くものなのだろうか 怖いよりも、個人的には微笑ましく感じられる 『雨の鈴』 雨の中佇む女性 雨の日にしか現れない どこへと向かうのか、真っ直ぐ真っ直ぐ進み行く 行く先会う先では不幸が起きる 彼女が家に来てしまったら… 私はこの短編の中でこの物語が1番怖く感じた 『異形のひと』 引っ越した田舎町 ただただ馴染むことが出来ずにいる 勝手に出入りする住人たち 彼女の前にだけ現れる、おじさん 襖の中やお風呂の中、はたまた冷蔵庫の中にまで 正直想像しただけで怖いよりも気持ちが悪い けれどおじさんの事を知ると、すごく可哀想な人だったのだと悲しくなる 『潮満の井戸』 古くからある塞がれた井戸 水位は下がったり上がったり 水やりに使ったけれど、徐々に植物の元気が無くなっていく そしてしまいには、異臭 水は海水が混じっており、海は死者が還る場所 還った者が現れてるのかも…しれない 『檻の外』 実家へ帰り古い家へ住み始める 車の電源が入らず、ガレージのシャッターは勝手に閉まる そして時には声が聞こえ、朧気な小さな影 それは過去に起きた悲しい事故の心細さ 怖いけれど、怪異を抱きしめてあげたくなる 自分で出ておいで どの物語も凄く怖い訳では無いけれど、でも…読んでいる最中に家に忍びこんで来てはいないかと辺りを見回してしまう 我が家も古い日本家屋だし殊更感じる
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小野不由美さんのホラー短編集 怪異を祓うのではなく、家の「傷」として住人と折り合いをつけさせるという解決の仕方が新鮮で面白い。 ただ、家という本来くつろげる場所に怪異が出るというのはじわじわとくる怖さがあった。田舎ならではの窮屈さや古い家の薄気味悪さが妙にリアルで、小野不由美さ...
小野不由美さんのホラー短編集 怪異を祓うのではなく、家の「傷」として住人と折り合いをつけさせるという解決の仕方が新鮮で面白い。 ただ、家という本来くつろげる場所に怪異が出るというのはじわじわとくる怖さがあった。田舎ならではの窮屈さや古い家の薄気味悪さが妙にリアルで、小野不由美さんはこういう細やかな描写が上手いなと感じた。
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営繕屋の青年尾端が怪奇現象を解決するホラー短編集。 他ホラーと異なるのが、彼はお祓いをせず、ただ営繕するだけな点。お祓いにより強引に家から怪奇を取り除くのではなく、怪奇が安らげる環境に改善してゆく様はホラー作品であるが爽やかな読後感を与えてくれる。
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続巻が出ていたので1巻を読んでみました。 少し不思議というより、大分怖いお話。営繕屋なので、家や道や土地にまつわるものって、地味に怖い。 でも、対処というか、アヤカシでも霊でもモノでも、何を求めてどうしたいのかという事を考えると、少し恐怖が安らぐ感じが救いだな、と思いました。で...
続巻が出ていたので1巻を読んでみました。 少し不思議というより、大分怖いお話。営繕屋なので、家や道や土地にまつわるものって、地味に怖い。 でも、対処というか、アヤカシでも霊でもモノでも、何を求めてどうしたいのかという事を考えると、少し恐怖が安らぐ感じが救いだな、と思いました。でも家の中にいる怪奇は怖い。向こうも怖がってるとは思わないもんな…
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祥子は死んだ叔母から古い町家を受けついだ。小さな城下町の古い家並みが残る一廓だった。曽祖父が亡くなったころ、父は東京に職を求めて出て行ったし、末の叔母はお嫁に出たし、真ん中の叔母がこの家を継いだのだった。五年前に父が他界し、中の叔母はそれより前に亡くなっていた。それで、相続する一...
祥子は死んだ叔母から古い町家を受けついだ。小さな城下町の古い家並みが残る一廓だった。曽祖父が亡くなったころ、父は東京に職を求めて出て行ったし、末の叔母はお嫁に出たし、真ん中の叔母がこの家を継いだのだった。五年前に父が他界し、中の叔母はそれより前に亡くなっていた。それで、相続する一族は祥子しかいなくなった。その町家で住みだしたら、一つの部屋の襖が閉めてもいつか開いていることに気が付いた。その襖の前には箪笥が入り口を塞ぐかのように置かれていた。この部屋には生前の叔母から、絶対に入ってはいけない、廊下にに入ってもいけない、襖を開けてもいけないと言われていた…。営繕かるかやの尾端は家や庭を修繕することで、怪異現象を鎮めてくれる。
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怪奇現象を建物の修理をする営繕屋が対処するお話。対処といっても、営繕屋は霊感があるわけでなく、怪異が生じた原因を解決するできるよう家を修繕していく。解説で宮部さんが書いてあるとおり、怪異を払わない解決方法もあるんだなとハッとした。短編ごとに営繕屋が解決するものの、主人公目線ではな...
怪奇現象を建物の修理をする営繕屋が対処するお話。対処といっても、営繕屋は霊感があるわけでなく、怪異が生じた原因を解決するできるよう家を修繕していく。解説で宮部さんが書いてあるとおり、怪異を払わない解決方法もあるんだなとハッとした。短編ごとに営繕屋が解決するものの、主人公目線ではなく、キーパーソンとして出てくるのでこの人については苗字しかわからない。 ホラーではあるものの、そこまで怖い話ではない。
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古い街並み、家が生み出す怪異、疵を祓うのではなく暮らしにも、怪異自体にも寄り添う形で解決していく。 単純に恐怖を煽られる怪異というよりも、怪異自身に意志があるような、理由があるように見えるのがこの作品の面白いところだと思う。 一つ一つは短編であっさりした読み口だけど、それでも...
古い街並み、家が生み出す怪異、疵を祓うのではなく暮らしにも、怪異自体にも寄り添う形で解決していく。 単純に恐怖を煽られる怪異というよりも、怪異自身に意志があるような、理由があるように見えるのがこの作品の面白いところだと思う。 一つ一つは短編であっさりした読み口だけど、それでもしっかりじんわりとした不気味さ、怖さを持たせつつ最後には心が解けるような安堵感、暖かささえ感じさせる作品だった。
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結構意外性のある怪異の解決方法。 スパッとズバッとはいかないのね…。 余韻のある感じがいいような、そんな残るものがあっても実際困るやん!?とも思ったり(笑。
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