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謎の独立国家ソマリランド の商品レビュー

4.4

77件のお客様レビュー

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2023/10/13

本書を読むまではソマリランドの存在を知らなかった。発展途上国ということは表紙から読み取れたが、読み進めていくうちにソマリランドという国の政治や経済が思ったよりも近代的なものであり、日本も見習うべきことがいくつかあることがわかっていくのが面白かった。氏族の説明として日本の歴史上の人...

本書を読むまではソマリランドの存在を知らなかった。発展途上国ということは表紙から読み取れたが、読み進めていくうちにソマリランドという国の政治や経済が思ったよりも近代的なものであり、日本も見習うべきことがいくつかあることがわかっていくのが面白かった。氏族の説明として日本の歴史上の人物と照らし合わせるという独特な手法が取られていたのも本書をするすると読み進められた要因だろう。

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2023/06/21

イスラム飲酒紀行でもある程度触れてたが、この本はソマリランドや、プントランドなどのソマリアについての著書。国の文化や人の特性など、行ったからこそわかる感覚を頼りに言葉に起こしている。硬い文章ではなく、ブログ形式でとても読みやすく、笑ってしまう部分も多い。文才があるのに加えて、経験...

イスラム飲酒紀行でもある程度触れてたが、この本はソマリランドや、プントランドなどのソマリアについての著書。国の文化や人の特性など、行ったからこそわかる感覚を頼りに言葉に起こしている。硬い文章ではなく、ブログ形式でとても読みやすく、笑ってしまう部分も多い。文才があるのに加えて、経験が面白いから鬼に金棒。 自分もこういう誰もやらないことをやって、みんなを話で笑わせたい将来。尊敬する。 270p

Posted byブクログ

2023/06/10

高野さんてジャーナリストだったんですね。 すごい世界だった。戦争と平和が混在する国。 過去にすしざんまいの社長がソマリの海賊を漁師にするような本読んだけど、なんかもう全然ポイントが違うな。

Posted byブクログ

2023/04/29

未だ内戦状態のソマリアを「リアル北斗の拳」、その目の前の海賊が跋扈する海を「リアルONE PEACE」の世界、それらに挟まれたソマリランドを地上のラピュタとなぞらえる高野さんの感性に引き込まれ、楽しく読ませていただいた。 戦国武将に置き換えられた氏族が登場した時は、チンプンカンプ...

未だ内戦状態のソマリアを「リアル北斗の拳」、その目の前の海賊が跋扈する海を「リアルONE PEACE」の世界、それらに挟まれたソマリランドを地上のラピュタとなぞらえる高野さんの感性に引き込まれ、楽しく読ませていただいた。 戦国武将に置き換えられた氏族が登場した時は、チンプンカンプン状態だったけど、途中から「ナルボド!」」と、またまた高野さんの感性に脱帽である。 チャレンジャーの高野さんについて行くといろんな経験が出来てとっても楽しい。また違う国に連れて行ってもらおぅっと・・・。(o^^o)v

Posted byブクログ

2023/04/05

おもしろい!全く知らなかったソマリアを実体験から解き明かしていく過程が、ノンフィクションでこれだけユーモアを交えて書けるのは素晴らしい!

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2023/01/15

かなりぶっ飛んだ面白さ。 興味深いのは氏族と部族は違うと言うところ。日本のマスコミは混同して伝えているという。なるほど。ソマリランドは戦国時代の源平のように「氏」でつながり、また氏のパワーバランスで争ってきた歴史がある。今も氏単位の社会構成だけども、お隣のソマリアとは違い内戦の...

かなりぶっ飛んだ面白さ。 興味深いのは氏族と部族は違うと言うところ。日本のマスコミは混同して伝えているという。なるほど。ソマリランドは戦国時代の源平のように「氏」でつながり、また氏のパワーバランスで争ってきた歴史がある。今も氏単位の社会構成だけども、お隣のソマリアとは違い内戦の後平和を取り戻したという。 その理由はソマリランド人いわく「ソマリ人は戦争が好きだから、戦争の鎮め方を知っている」とのこと。族長同士が会談して争いをやめたという。隣のソマリアもソマリ人だけど、イタリアが入植して氏単位の文化がなくなり、争いを鎮める役割を果たす人物がいなくなってしまったと。目から鱗。 ソマリ人のせっかちぶりや、非常識ぶりは戸惑いを越えて、かなり痛快。常識や規則に忠実な日本人が行ったら、発狂するんじゃないだろうか。 〈以下、メモ〉 ・ソマリ人のいる国家は「ソマリランド」「ソマリア」(イタリアが入植していたからソマリア)、「プントランド」に分かれている。そこにディアスポラし、西洋文化をたしなんだ教養人ソマリ人が作った都市モガディショがある。ソマリランドのソマリは遊牧民気質だが、南部は農民気質。 ・ソマリランドの人間は戦争が好き。だから戦争の辞め方がわかる。南部の人間(ソマリ)は元々温厚だったが、戦争が好きじゃなかったからやめ方がわからない。 ・ソマリは日本の戦国時代のように「氏族」社会。※部族とは違う。同じ人種だが、北条氏、平氏源氏のように氏で派閥争いをしている。しかしソマリランドはスーパー民主主義を手に入れた。日本のように上から押し付けられた民主主義ではなく、下からの民主主義。 ・水道もガスも電気も氏族が管理している。氏族の族長の主権が強い。 ・氏族の掟「へ―ル」がある。精算は「へサーブ」、賠償金は「ディヤ」という。別の氏族を殺害(過失致死)・死亡させた場合は男性ラクダ50頭、女性20頭。現在は現金、それを氏族全員で分担して支払う(だれそれの井戸に落ちて亡くなった場合、井戸の持ち主が賠償金を支払う)。 ・へ―ルは女性・子供・疾病人・老人などを戦時中も殺害してはならないとしている。 ・カートという大麻のような効果のある葉っぱが大好き、カート宴会がある。宴会ではすぐに離席するのは失礼にあたる。 ・ソマリ人は超せっかち・仕事が速い・人の話を聞かない・人の話は2秒でさえぎる・人の話は2秒しか聞けない ・南部のモガディショは超豊かで洗練されているが武装勢力がいる。現地人いわく「ボディガードをつければ危険な街じゃない」 ・ソマリの海賊は投資。海外からソマリ人の海賊を雇って船を襲わせ、人質の身代金をとればビジネスになる。だから一手に海賊を取り仕切る「黒幕」はいない。本人は外国にいて逮捕されることもなく濡れ手に粟の商売。 マネーロンダリングの必要もない。また、人質は「人間」ではなく「積み荷」。ソマリ人のパートナーがいればどんな外国人も参入できる。その外国人は船の運航ルートと時間を入手しやすい自国の船を襲わせている可能性が高い。 〈プントランドのモガディショについて〉 ・イスラム過激派の「アル・シャバーブ」はサウジのワッハーブ派の教えを信仰している。ソマリ人も毛嫌いしている。 ・アメリカが氏族制度をよく理解しないままキリスト教エチオピアを利用しエチオピア軍と国連の混成軍隊を派遣し、モガディショを制圧しようとし、さらに混乱を極めた。 ・イスラム法廷が機能していたが、アル・シャバーブにより解体、無機能化した。 ・ソマリランドは国連という「高級会員制クラブ」に認められたいという意識が根底にあり、ハイパー民主主義を構築した。政府が無くても平和は構築できる。

Posted byブクログ

2025/06/21

おそらく大半の日本人にとって一生縁の無い国であろうソマリアのルポタージュ。 “語学の天才まで一億光年”を読んで、たちまち著者のファンになった私。講談社ノンフィクション賞を受賞し、代表作とも呼ばれる本書を手始めに読んでみた。 500ページもある分厚い本だが、氏族、カート、超速な...

おそらく大半の日本人にとって一生縁の無い国であろうソマリアのルポタージュ。 “語学の天才まで一億光年”を読んで、たちまち著者のファンになった私。講談社ノンフィクション賞を受賞し、代表作とも呼ばれる本書を手始めに読んでみた。 500ページもある分厚い本だが、氏族、カート、超速なソマリ人気質、などこれまで知らなかった事が、著者の体験を交えながら面白おかしく描かれているので、興味深く一気に読んだ。 複雑な氏族の概念は、日本の歴史上の人物に喩えてわかりやすく表現されている。それでも複雑だけど。 他にも“ラピュタ”や“北斗の拳”など日本人に馴染みのあるもので喩えて表現されていてわかりやすい。 “海賊がいる危ない国”くらいの知識しか無かったソマリアに対する理解を本書を読むことで改めることができた。決して行ってみたくはならないけれど(笑) キノベス! 12位 講談社ノンフィクション賞 受賞(2013年) 梅棹忠夫•山と探検文学賞 受賞

Posted byブクログ

2023/01/01

ソマリアと聞くと、UNOSOM、1993年のモガディシュの戦い、ブラックホークダウン、無政府状態といった「紛争で荒れ果てたアフリカの最貧国」というイメージしか正直なかったので、ソマリアで独自の民主主義が確立され、治安がいい場所さえあると知って驚いた。 しかし、よくよく考えてみる...

ソマリアと聞くと、UNOSOM、1993年のモガディシュの戦い、ブラックホークダウン、無政府状態といった「紛争で荒れ果てたアフリカの最貧国」というイメージしか正直なかったので、ソマリアで独自の民主主義が確立され、治安がいい場所さえあると知って驚いた。 しかし、よくよく考えてみると、自分の知っているソマリアのイメージは30年近く前のもの。おそらく自分に限らず、多くの人が同様のイメージしか持っていないのではないかと思うが、いまだにアップデートされていないことの方がおかしいと気付かされた。ファクトフルネスを読んだのに、いまだに思い込みのイメージに囚われていることを反省。 ソマリアに関する書籍自体が非常に少ないなか、かなりディープなところまで取材されており、治安の良いソマリランドだけでなく、危険な地域まで一緒に旅しているような感覚で最後まで夢中で読めた。 伝統的な氏族社会とその掟に基づいた超民主主義。氏族に関する部分はかなり複雑で難解だったが、その独自のシステムを活用し、自分たちだけで平和裡に紛争を解決し、民主主義まで確立したというのは非常に興味深い。93年の強制介入は一体なんだったのだろうと改めて思う。 海賊撮影の見積もりの部分は笑ってしまったが、そんな話までできてしまう筆者の取材力、とりわけ現地の人々とのコミュニケーション力は本当に素晴らしい。以前読んだバッタの前野さんと似たものを感じた。 もともと「恋するソマリア」から本書を知ったが、「恋するソマリア」以外の作品もぜひ読みたい。マニアックすぎて面白そう。また、最近話題になっている「語学の天才まで1億光年」が著作の作品と知ってますます読みたくなった。

Posted byブクログ

2022/12/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中々長かく、名前とソマリ社会を理解するために重要と言われる氏族に関するあれやこれやが全く頭に入ってこず、読むのに手こずってしまった。折角著者のはからいで日本の歴史上の名前をつけてくれているにもかかわらず、やっぱり複雑すぎてピンとこないまま読み終えてしまった。今しばらく読み返すことはなさそうだと思うが、もし何らかの加減でアフリカと関わるようになったらまた読んでみたい。 合理的な民主主義?国家が出来上がっているというのも興味深い。 武装解除であったり、復讐の連鎖を断ち切るためのルールというのも非常に興味深い。 P.538 私が思うに、国際社会、もっと端的に言えば国連というのは、「高級な会員制クラブ」みたいなものではないか。 人類普遍の理念に基づいた公平な組織と勘違いされていることもあるが、実際には民主主義とも人権とも直接関係がない。 なにしろ、このクラブは五人の理事の権限がひじょうに強く、理事の一人が反対すれば、どんな素晴らしい提案も却下されてしまう。そこからして反民主主義的だ。それに理事の一人である中国自体が人権や民主主義とは無縁だし、会員にも日民主主義国家がたくさんある。 それはしょうがない。なんせ、第二次世界大戦の戦勝国によって任意に作られた会員制クラブなのだから。公平や正義を期すほうが無理である。 初期の段階では、このクラブにはわりと簡単に入会できた。ところが、最近ではメンバーも増えているし、入会が非常に難しい。入会基準もどんどん上がり、「国民の意思」とか「人権」とか「民主主義」とか、理事ですら果たしていない高い条件を突きつけられる。 「うちは高級クラブなんですよ。人格が素晴らしく、仕事も成功している人じゃ無いと入会できませんよ」みたいな話だ。結局それも建前で、理事長のアメリカに気に入られるかどうかでほぼ全てが決まるが、あくまでそういう建前を掲げる。 反面、いったん、入会すると基本的に終身会員なので、あとは破産しようが犯罪を犯そうが、退会させられることはめったにない。 P.553 ソマリランドが安全とわかれば、技術や資金の援助が来るし、投資やビジネス、資源開発なども始まる。国連や他の援助期間のスタッフが滞在しても安全でカネもかからない。なにしろソマリランドは旧ソマリア圏においてトラブルが産業として成り立っていない珍しい地域なのだ。 それはソマリ社会に対し明確なメッセージとなる。 「平和になり、治安もよくなれば、カネが落ちる」 利害に敏感なソマリ人に対し、これほど効果的なメッセージはない。海賊を退治するのもこれがいちばん効くはずだ。プントランド政府も、海賊から上がるカネより、国際社会から治安と和平を引き換えに得られるカネが多ければさっさと海賊を切るに決まっている。プントランド政府にはそれだけの知力も能力もある。 トラブルをビジネスとする南部ソマリアも同様だ。戦争を起こしたり、治安ば乱れている場所にせっせとカネを落とす行為は、暴力と無秩序を促進する方向にしか進まない。今、ソマリランドは平和でカネがないから南部の連中に馬鹿にされているが、平和でカネが儲かるようになれば、彼らも目の色を変えるだろう。ソマリランドを支援することが、ソマリ社会全体を支援する最良の方法なのだ。

Posted byブクログ

2022/10/04

普通なら関わらない世界にここまで深く入り込んで理解するのはすごい。さらにそれを面白おかしく書けるのが高野ワールド。すこし冗長な印象もあるが、十分面白かった。

Posted byブクログ