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謎の独立国家ソマリランド の商品レビュー

4.4

77件のお客様レビュー

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2024/10/03

カート中毒になりながらもしっかりと取材をする。そして、どんな環境にも溶け込める。すごい才能だと思う。 好きなことを仕事にするって高野さんみたいな人のことを言うんだろうな。

Posted byブクログ

2024/08/28

紛争地帯や海賊で聞くアフリカ・ソマリア。そこに現れた謎の国家?ソマリランド。その実態を暴くべく筆者が現地に行き、まさに突撃、地域にまみれる取材をしたルポルタージュ。タイトルの持つ魅力的な語感や、講談社ノンフィクション賞受賞で書評を散見したため、手に取りました。 厚い。555ページ...

紛争地帯や海賊で聞くアフリカ・ソマリア。そこに現れた謎の国家?ソマリランド。その実態を暴くべく筆者が現地に行き、まさに突撃、地域にまみれる取材をしたルポルタージュ。タイトルの持つ魅力的な語感や、講談社ノンフィクション賞受賞で書評を散見したため、手に取りました。 厚い。555ページ。しかも、所感や考察より、体験談が多い。なんという取材方法なのか。これはとにかく読んでみて欲しい本。プントランドもソマリア南部も武装しているのに、ソマリランドは平和。その理由は読まないとわかりません。 海賊の取締りが難しい理由、カートという麻薬っぽい葉っぱ、氏族という世界観、超高速ソマリ人。全て読めばわかります。文章はとても読みやすいです。ただ、私は日本史オンチなので、せっかく戦国風に表記してもらっても、あまり手助けにならなかったですね~、残念(なのは私)。あとは、社会の基本構成概念があまりにも日本とかけ離れた発想なので、異世界ものや、ファンタジー書くときに参考になりそうだと思いました。海賊見積りが面白すぎました。 興味あれば、中学生から読めます。一般的には大学生以上。★4なのは好みの問題だけです。私は浮わついた小説が好きなので。

Posted byブクログ

2024/08/15

高野秀行さんの文章からは、自分を飾らず、ありのままの姿を読者に伝えようとする真摯な姿勢が常に感じられます。また、現地での生活や人々の文化に深く関わろうとするその姿勢には、敬服の念を抱きました。特に、現地語を必死に学び、コミュニケーションを図ろうとする姿勢には感銘を受けました。 ...

高野秀行さんの文章からは、自分を飾らず、ありのままの姿を読者に伝えようとする真摯な姿勢が常に感じられます。また、現地での生活や人々の文化に深く関わろうとするその姿勢には、敬服の念を抱きました。特に、現地語を必死に学び、コミュニケーションを図ろうとする姿勢には感銘を受けました。 さらに、著者がカート(覚醒植物)に偏見を持たず、現地の人たちと一緒に嗜みまくるのが良い。このように、異文化に対してオープンな姿勢を示し、現地の人々と同じ視点に立つことで、深い理解と絆を築いていることが感じられました。そして、この本を読むことで、まるで自分が現地に足を踏み入れたかのような臨場感を味わえる点も大変良かったです。 海賊が出る無政府状態の危険な国というイメージしかないソマリランドのリアルな状況を知ることができる、素晴らしいノンフィクションだと思います。

Posted byブクログ

2024/07/28

援助を受ける国=貧しいということがいかに一面的な理解か、ほとほと身につまされた。そして、日本の寄付したお金が、こうした国にいって活用されていることを、日本人は知らないよなぁ。アフリカという大きな括りでしか見ていないからだなーと反省。ソマリランドについては高野さんのお陰で、ものすご...

援助を受ける国=貧しいということがいかに一面的な理解か、ほとほと身につまされた。そして、日本の寄付したお金が、こうした国にいって活用されていることを、日本人は知らないよなぁ。アフリカという大きな括りでしか見ていないからだなーと反省。ソマリランドについては高野さんのお陰で、ものすごく解像度が上がった。 西洋的な民主主義、情報ネットワーク、行政のあり方が根本から覆るというか。それでも成立するということが非常におもしろい。そして、海賊の正体もかなり興味深い。何回か読み直したい本!

Posted byブクログ

2024/05/29

高野秀行(1966年~)氏は、早大第一文学部仏文科卒。早大で探検部に所属し、大学在学中に探検部での活動をまとめた『幻の怪獣・ムベンベを追え』で作家デビュー。その後も多数のノンフィクション作品を執筆。2013年に本作品で講談社ノンフィクション賞、2024年に植村直己冒険賞を受賞(探...

高野秀行(1966年~)氏は、早大第一文学部仏文科卒。早大で探検部に所属し、大学在学中に探検部での活動をまとめた『幻の怪獣・ムベンベを追え』で作家デビュー。その後も多数のノンフィクション作品を執筆。2013年に本作品で講談社ノンフィクション賞、2024年に植村直己冒険賞を受賞(探検家・山田高司と共同)。 私は、日頃から国際情勢に関心を持ち、新聞や国際ニュース番組もよく見る方だが、いわゆる「アフリカの角」と呼ばれる地域の近年の状況については、ソマリアという国家機能は破綻し、その沖合のアデン湾では船舶が海賊にしばしば襲われているという程度の認識しかなかった。本書は、そのソマリア地域に、著者が2009年と2011年の二度訪れたときの体験を描いたノンフィクションである。 ソマリア地域は、私が学校教育で知識を得た1980年代までは、西側を、北からジブチ、エチオピア、ケニアに接し、その他を海に囲まれ、ソマリア(民主)共和国という国が存在していた。しかし、今回知ったことだが、同国政権は1991年に崩壊し、憲法も廃止され、ソマリアは事実上分裂状態となって、ソマリランド(1991年成立、独立宣言)、プントランド(1998年成立、独立宣言)、ガルムドゥグ(2006年成立)の3地域に分かれ、高野氏は、その状態のソマリアを訪れたことになる。(更に、2012年には首都地域を含む4地域が分離し、7つの構成体から成る連邦国家となった) ゆえに、本書の題名もよく見ると、「謎の独立国家ソマリランド」そして「海賊国家プントランド」「戦国南部ソマリア」と書かれている。 高野氏が同地に興味を持ち、訪問しようとしたのは、当時国際的には分裂・無政府状態と認識されていたソマリアの中に、ソマリランドという、奇跡的に平和を維持し、あたかも独立国家のように存在している地域があるとの情報を得て、それを自分の目で確認したかったこと、また、それが事実であるなら、同じソマリ人が住んでいながら、なぜプントランドと南部ソマリアでは戦闘状態が収まらないのかを知りたかったことによる。そして、高野氏は1回目にソマリランド各地を訪れ、2回目にプントランドから南部ソマリアのモガディショまで縦断するのだ。 それにしても、である。高野氏は、なぜ東南アジアの少数民族支配地域(その記録は『アヘン王国潜入記』等)やソマリアのような、辺境かつ身の危険すらある場所に行くのか? 私はノンフィクション物が好きでよく読むが、ノンフィクションの主要なジャンルの一つには、自らの冒険的行為を一人称で描くもの(角幡唯介氏のような)があり、もう一つには、社会的テーマ(社会問題、事件等)を第三者の視点から徹底的に調査・分析して描くものがある。高野氏は、大学探検部出身でありつつ、好奇心はジャーナリズム的な関心と重なるところがあるとも語っており(一時期はそちらに傾倒したそうだ)、上記の2ジャンルの中間的な立ち位置にいると思われ、当人の興味を最大限満たすのがこういったテーマなのであろう。 本書においても、そのモチベーションと類稀な能力は存分に発揮されており、ソマリ人と、カート(東アフリカに自生する、覚醒作用のある植物で、国によっては規制されている)を噛みながら、覚えたてのソマリ語でコミュニケーションをする現場主義的な動きと、ソマリ人の生活のあらゆることに関わり、かつ極めて複雑な氏族関係を俯瞰し、それらを踏まえてソマリアの状況を分析するジャーナリスティックな動きは、まさに高野氏の面目躍如と言えるだろう。 読み物としても、ルポルタージュとしても楽しめる、高野氏らしい力作である。 (2024年5月了)

Posted byブクログ

2024/05/06

様々な視点から観察することへの執着心(笑)最高です!破天荒な流れに身を任せられる命知らずの行動力。どれをとっても最高でした!ただどうしても読むのに時間がかかってしまいました、、、

Posted byブクログ

2024/03/30

著者は紛争が絶えないソマリアで民主主義を成立させているソマリランドという国家(地域?)があると聞き、その目で確かめるために現地に乗り込む。そこは“北斗の拳”か“ONE PIECE”か。それとも地上の“ラピュタ”なのか。せっかちで押しが強く損得に聡いソマリの人々と、覚醒植物&quo...

著者は紛争が絶えないソマリアで民主主義を成立させているソマリランドという国家(地域?)があると聞き、その目で確かめるために現地に乗り込む。そこは“北斗の拳”か“ONE PIECE”か。それとも地上の“ラピュタ”なのか。せっかちで押しが強く損得に聡いソマリの人々と、覚醒植物"カート"の宴会を共にすることで仲良くなり、氏族のつながりで成り立っている、海賊ビジネス含む経済と社会の仕組みに迫っていく。 現地の人々の暮らしや行動原理の、我々が当たり前に考える日本人のそれとの違いが新鮮で興味深い。著者の行動力、コミュ力の凄さによる内容自体の引きの強さに加えて、ソマリ人との会話をTV番組に例えたり、登場する数々の氏族を日本の戦国武将で置き換えたりと、文章のうまさと面白さも安定の高野さんで、592ページのボリュームだが最後まで楽しめた。

Posted byブクログ

2023/12/20

いつも思うけど、高野さん、生きて帰ってきてくれてありがとう。すごいことを経験し、こんなに面白く読ませてくれて本当にありがとう。

Posted byブクログ

2023/11/07

とにかく 分厚い! 502㌻である。 2200円という価格を凌駕する力作、ドキュメンタリー・ノンフィクションというカテゴリーを楽々乗り越えた政治社会論的国際哲学書という感想を抱いた。 云わずと知れた冒険探検作家 高野氏は常に「面白く おかしく 書く」流儀。 本書のソマリランドの...

とにかく 分厚い! 502㌻である。 2200円という価格を凌駕する力作、ドキュメンタリー・ノンフィクションというカテゴリーを楽々乗り越えた政治社会論的国際哲学書という感想を抱いた。 云わずと知れた冒険探検作家 高野氏は常に「面白く おかしく 書く」流儀。 本書のソマリランドの形態を日本の鎌倉後期~室町~戦国に乱立していた武将一族になぞらえて綴っている。 恥ずかしながら、私はソマリアという国名を聴いたことがある程度の知識しかなかった・・しかも紛争の歴史を持つ崩壊したアフリカの一国という漠然たる中身。 実は現在でも国際的に認められていない独立国であり 「独立政府を主張する」プントランド~海賊国家  「暫定政権が統治する」ソマリアが存する中に平和を維持したソマリランドがあるといった不可思議な形態。 日本的に考えて氏族国家とは血族集団だと思っていたのが実は【契約】概念が厳然とあり、それを語る2メートル近い大男が割れがねのような声で夜を徹して語ってくれた内容が面白かった。 戦後の悪しき「アメリカ直輸入」知識の為 アフリカ=血と殺戮、力の支配 原住民という概念がガラガラと崩れた。 感情で物事を決せず、きわめて合理的な解決法を楽々と選ぶ。そんな気質が新鮮に映った。 2023年後半に入り激化しているイスラム世界、それへの言及も今までの概念が見事に覆らされた。 海賊ビジネス、施政感情の屈折【相互にイスラム圏の在り方を警戒している】ことは目から鱗的 カート宴会に参加し続ける高野氏の精神力体力は超日本人レベルだと舌を巻いた・・でも、だからこそ、ソマリランドのコアを見られ、綴れたのだとも納得。 愉しく読んできた580㌻以降は頁が進まず、不消化。これって蛇足がだった感が強い。

Posted byブクログ

2023/11/01

著者高野さんの飽くなき探究心とコミュ力の高さが素晴らしい。ソマリアについてここまで詳しく書かれている本は他に無いのでは?その国を理解するために現地人の習慣に溶け込み、馴染んでいき、取材が深まっていく。カート中毒になるわしまいにはソマリ人の氏族に入ろうとするわ、凄いわこのお方。外務...

著者高野さんの飽くなき探究心とコミュ力の高さが素晴らしい。ソマリアについてここまで詳しく書かれている本は他に無いのでは?その国を理解するために現地人の習慣に溶け込み、馴染んでいき、取材が深まっていく。カート中毒になるわしまいにはソマリ人の氏族に入ろうとするわ、凄いわこのお方。外務省のサイトではレベル4の危険区域であるソマリアを安全区域(日本)に居ながら体感できる気分。読書ってホント良いもんだなと再認識。

Posted byブクログ