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謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア 集英社文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 集英社 |
| 発売年月日 | 2017/06/22 |
| JAN | 9784087455953 |
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謎の独立国家ソマリランド
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商品レビュー
4.4
77件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
やはり高野秀行は最高。 いつも通り高野秀行の著作は、笑えて、驚かされ、じんわりきて、また笑う。そしてめっちゃ勉強になる。 ソマリアの現状。ざっくりソマリランド、プントランド、南部ソマリアに分かれている。一部では未だに紛争が続き、過激派によるテロもある。 同じソマリアでも、それぞれの地域がそれぞれのやり方で発展を目指している。 そして、ソマリランドにおいては、中央政府がないままに、平和で民主的な社会を作ることに成功しているという。そんなことが可能なのか? 現地で自分の目で見てみなければ納得できない著者は、危険地域も含むソマリア各地に取材を敢行する。 プントランド周辺の人たちがなぜ海賊をやるのか、しかもなぜ大して取り締まられなのか。その解説は非常に納得感があり、かつおもしろい。 ①ソマリ社会は氏族中心に回っている。 ②プントランド政府も結局は氏族の集合体でしかない。 ③金のない人間が海賊になる。 ④外国人の船を襲い、身代金を要求する。 ⑤海賊との交渉は、その氏族の長が行う。 ⑥身代金の一部から、氏族の長に手間賃が支払われる。 そもそも産業が少ないのだ。お金を稼ぐ手段に乏しい。よって、海賊行為の仲裁が国家や共同体として貴重な収入源になっており、取り締まる理由がない。海賊だけでなく、その海賊が属する氏族全体の収入になる。 (細かいところ間違ってるかもしれないけどこんな感じだった) 高野秀行のすごいところは取材力だけでない。 エピローグにおいて、そういったソマリ社会の現状(海賊行為含む)を前にして、平和で経済的に発展するためのある提案をしている。そちらもまた、ものすごく納得感がある。ここまで入れ込んで取材している人だからこそ、現実的な解決策を考えられるのだろう。 そういえば「アヘン王国潜入記」のときも、同じ感じだった。 ほんとにすごい。
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高野先生、3冊目です。 今回も面白かったです。今回の舞台はアフリカ大陸のソマリア。アフリカのツノと呼ばれている出っ張ったところですね。正直この本を読むまで国の名前をなんとなく聞いたことある…レベルでした。すみません。 国際社会的には内戦状態が続いているスタンスで、それも決して間...
高野先生、3冊目です。 今回も面白かったです。今回の舞台はアフリカ大陸のソマリア。アフリカのツノと呼ばれている出っ張ったところですね。正直この本を読むまで国の名前をなんとなく聞いたことある…レベルでした。すみません。 国際社会的には内戦状態が続いているスタンスで、それも決して間違いではないのでしょうが、こちらを読んで本当にびっくりしました。平和のカタチ、対立のカタチ。国の数だけあっていいんだと目からウロコでした。 ソマリランド、プントランド、南部ソマリアそれぞれが、自分たちに合った方式を模索し続けている。いわゆる欧米的な民主主義の形態をそのままお仕着せ的に導入するのではなく、部族の長老たちが何度も話し合って決めたと言う過程に感動しました。高野先生も仰ってますが紛争とか起こるとニュースになりますが、平和はニュースにならないので、これまで知らなかったんですね。深いです。「みんなちがって、みんないい」ですね。 続編?があるようなので、そちらも読みたいと思います。
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これほどの書籍を、星5つまでしかつけられないことが悔やまれる。可能であれば6個でも10個でもつけて最大限を超えた評価をしたい。そう思わせてくれるのが本書『謎の独立国家ソマリランド』だ。 海賊が跋扈する大変危険な国という印象以外未知の国と言って差し支えなく、そもそもどうやってビザを...
これほどの書籍を、星5つまでしかつけられないことが悔やまれる。可能であれば6個でも10個でもつけて最大限を超えた評価をしたい。そう思わせてくれるのが本書『謎の独立国家ソマリランド』だ。 海賊が跋扈する大変危険な国という印象以外未知の国と言って差し支えなく、そもそもどうやってビザを取れば良いのかすらわからない国へ著者は潜入し、合法薬物「カート」をむしゃむしゃと食らいながら、言葉もほとんどわからず文化や性格においても対照的な現地民と粘り強い交流を続け、果てはより危険な"アフリカの角"西部のプントランド、今もイスラム過激派アル・シャバーブと国連軍を含んだ政府軍の戦闘が続いているソマリアへと侵入し、ハルゲイサへ帰還、そしてソマリランドという国が如何に平和で、政治システムにおいて日本より優れている点を見出してみせ、なんならさんざ悪口を書いておきながら自分自身がほぼ「ソマリランド人」になってしまうという奇跡を成し遂げてしまうのだ。そんなもの読んでいて面白くないわけがない。 我々日本人は驕りからかこういった未知の国を無意識に見下してしまっているところがあると思う。そういった軽薄な考えを著者はしっかりと相対化してくれている。深いだけでなくしっかりと笑いを取り入れ、現代では馴染みの薄い氏族制度を戦国時代の氏族名を取り入れて説明するという画期的な手法を用いた本書は、単純なルポルタージュにとどまらない、恐ろしいほどに完成された傑作であった。
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