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書楼弔堂 炎昼 の商品レビュー

3.9

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    17

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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2023/11/17

手に取った全ての本を読破したい衝動にかられて意味がわからないにも関わらず今回も読み切る。 明治は難しい。時代がわちゃわちゃしているイメージがあるが弔堂は緩やかな時間、考えをまとめてくれる店主がいる。押しは強いが無理強いはしない。諫めるのも無理強いはしない。 こんな店主と仲良くなれ...

手に取った全ての本を読破したい衝動にかられて意味がわからないにも関わらず今回も読み切る。 明治は難しい。時代がわちゃわちゃしているイメージがあるが弔堂は緩やかな時間、考えをまとめてくれる店主がいる。押しは強いが無理強いはしない。諫めるのも無理強いはしない。 こんな店主と仲良くなれたら人生変わるかな

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2023/10/29

明治30年、まち郊外、士族子女の塔子は陸燈台(おかとうだい)のような書舗(ほんや)を探している田山と松岡という2人組に出会う。私はそれだけで嬉しくなった。最初から松岡(当然、柳田國男のこと)が登場するのだ。それから松岡さんは、本書「炎昼」の中では出突っ張りになる。 「松岡様の仰...

明治30年、まち郊外、士族子女の塔子は陸燈台(おかとうだい)のような書舗(ほんや)を探している田山と松岡という2人組に出会う。私はそれだけで嬉しくなった。最初から松岡(当然、柳田國男のこと)が登場するのだ。それから松岡さんは、本書「炎昼」の中では出突っ張りになる。 「松岡様の仰る通りでございます。あらゆる語りは呪文。あらゆる文は呪符。あらゆる書物は断片的に、不完全な世界を封じ込めた呪具にございます。この不完全な呪術を完成させるためには、矢張り読むという呪法が不可欠なのでございます。足りぬ部分を埋めるのはそれを聞きそれを読むー」 人にございます。 「割り切れず、間違っていて、あやふやで正体のない、そうした人の内部に届いた時に、ようやっと、何も言い表せていない言葉は何かになるのでございます。そうでございましょう。」(77p) 呪文、呪符、呪具、呪術、呪法‥‥前書「破曉」に於いて「文字も言葉もまやかし(略)書物は、まやかしの現世、現世の屍なのでございますよ」と言っていた弔堂書舗主人なので、結局同じ事を言ってるのですが、まるで店主の若き日を彷彿させる松岡さんを迎えて、店主の台詞は比較的少なくなる。つくづく京極夏彦は柳田国男が好きなのだな、と思った。 だから、松岡に最初にフレイザーの「金枝篇」原本を手渡したのは弔堂になるし(つまりそれは民俗学の始まりを示唆する)、最愛の女性が病死した時に動揺する松岡に「幽霊とは何か」を語るのも弔堂店主なのである。 ほぼ全編にわたり松岡さんは出てくるのではあるが、唯一出てこないのは探書11「無常」である。たまたま塔子が弔堂に連れてきた源三じいさんは店主の知り合いだった。珍しく店主は言葉を荒げてじいさんを窘(たしな)める。 いかなる戦も愚策、とご主人は珍しく厳しい口調で仰いました。 「戦は愚策か」 「戦略とは、戦を略すと書くのです。戦わずに済ます方策を考えることこそが、人の上に立つ者の仕事ではないのですか。戦の道を選んだ段階で、もう国を護れていない」(414p) 源三じいさんは、乃木希典であった。弔堂は、この数年後に起きた悪夢のような203高地攻防戦を、予測していたのに違いない。

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2023/03/24

書楼弔堂シリーズ第二弾。 第一弾の「破暁」もあまり合わなかったが、図書館でつい見つけてしまって持ち帰った。 重い。重量も内容も。 時は明治三十年ごろ。 陸燈台のような奇妙な建物の本屋、書楼弔堂を後の名士たちが「自分の一冊」を求めて訪ねる。 「――此処は――既に罔くなってしま...

書楼弔堂シリーズ第二弾。 第一弾の「破暁」もあまり合わなかったが、図書館でつい見つけてしまって持ち帰った。 重い。重量も内容も。 時は明治三十年ごろ。 陸燈台のような奇妙な建物の本屋、書楼弔堂を後の名士たちが「自分の一冊」を求めて訪ねる。 「――此処は――既に罔くなってしまった過去を、数多の知見を、凡百執着を記した墓碑を納める霊廟でございますぞ」(本文抜粋) いや、難しいわ! 私のPCでは「罔くなって」(なくなって)なんて漢字がなかなか出てこないで苦労するわ!! 登場人物はいずれも明治の偉人たち。 なにぶん歴史に疎いもので辛い。 勝海舟 知ってる 田山花袋(小説家) 知らない 添田唖蝉坊(演歌師) 知らない 福来友吉(超心理学者) 知ってる 平塚らいてう(思想家) 知らない 乃木希典(軍人) 知ってる 柳田國男(民俗学者) 知ってる 知ってる人もなんとなくだなぁ。 賢い人や、歴史を知ってる人が読むと楽しめるのかな。 京極夏彦さんの本は、あの文体が読みたくて手に取ってしまう。 訪れた人たちが店主との問答を経て、目を見開かれたり、悟ったりする物語ですが、このパターンならば「死ねばいいのに」の方がおもしろかった。

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2023/03/23

SL 2023.3.21-2023.3.23 シリーズ2作目。 史実とこの作品の中の弔堂とのやり取りが実にうまく繋がっていて、ほんとに京極夏彦はすごい、さすがと思う。弔堂を訪れる歴史上の著名人を知らない場合もあって、その時は少し残念。まあ、わたしの知識不足なんだけど。 その人の一...

SL 2023.3.21-2023.3.23 シリーズ2作目。 史実とこの作品の中の弔堂とのやり取りが実にうまく繋がっていて、ほんとに京極夏彦はすごい、さすがと思う。弔堂を訪れる歴史上の著名人を知らない場合もあって、その時は少し残念。まあ、わたしの知識不足なんだけど。 その人の一冊を選ぶために時代、文化、政治、戦争、さまざまな事柄に対する弔堂の考えが語られていて、舞台は明治30年代なんだけど、今に通じることも多くて考えさせられる。

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2022/03/29

面白い。近代史にも近代文学にも疎いので、作中で提示されるものにピンと来ないものも多く、教養というか知識のバックボーンが読書の面白みを増すのだと思い知る。 でもここで出会ったことも先の読書の糧にもなろう。それこそが弔堂の存在と繋がるのではないか。

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2022/02/13

弔堂シリーズ2冊目。これも長らく本棚にねむらせたままだった。実にすいません 今回は若い女性、塔子の視点で進む物語 女子に小説を読ませない厳しい元薩摩の家のお嬢様だが、家のために婿を取れ良妻賢母であれという考え方には否定的だがそれを強く主張することはできず、女性の社会参加や地位向...

弔堂シリーズ2冊目。これも長らく本棚にねむらせたままだった。実にすいません 今回は若い女性、塔子の視点で進む物語 女子に小説を読ませない厳しい元薩摩の家のお嬢様だが、家のために婿を取れ良妻賢母であれという考え方には否定的だがそれを強く主張することはできず、女性の社会参加や地位向上には肯定的であるがその為に講堂することはない。 自分が何がしたいのか何をすべきかをわからずに地に足が着いていない、狭間で揺れている感じなのが全作の高遠と同様。 文学に悩む者、芸と政治思想の主張で悩むもの、女性のあり方、新たな学問、始まりそうな戦争など、まだ国もヒトも揺れ動く時代。日本はどうあるべきか、あらねばいけないのか、多くの人が暗中模索しながら少しずつ基礎を固めていってる。 とある軍人の苦悩が語られる「無常 」の話に涙した。前回は は幕末の時代に人を斬り続けた人物の話に涙した。人の命を奪わなければならない人の苦悩話に私は弱いようだ

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2021/03/16

名作「坊ちゃんの時代」を 思い起こしていました。 その時代に生きた その時代の人たちが その時代ゆえに さまざまな生き方をされた そのお一人お一人が 静かに温かく 時には激しく 語られていく 今回の狂言回しの役が 結婚適齢期の未婚のうら若き佳人で あるのも また一興 前作「破...

名作「坊ちゃんの時代」を 思い起こしていました。 その時代に生きた その時代の人たちが その時代ゆえに さまざまな生き方をされた そのお一人お一人が 静かに温かく 時には激しく 語られていく 今回の狂言回しの役が 結婚適齢期の未婚のうら若き佳人で あるのも また一興 前作「破暁」に 引き続き 明治の香と 明治人の趣を 堪能させてもらえました

Posted byブクログ

2020/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夏といえば京極さん。 …というのが私の勝手なイメージです笑 塔子ちゃんと松岡さんが夫婦になるのかなと勝手に思っていたので、松岡さんが最後に婿入りなさってびっくりしました。 それにしても今回もビッグネームばかり出てきてウキウキしましたね。 初めて小説を読んだ塔子ちゃんの興奮は痛いほどよくわかってニコニコしてしまいました。 そして戦争などしてはならぬ。1人でもなくなった時点で負け戦という言葉は、この時期だからか本当に身に沁みました。そして将軍の苦悩も。悲しかったです。最期が。 夏でお盆で終戦記念日が近い、今の時期に読んでよかったなと思う本でした。

Posted byブクログ

2020/02/23

http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2017/01/post-3945.html

Posted byブクログ

2019/12/26

普段はなるべく同じ著者の作品を続けないように心がけているが、今回はたまらず手に取った。相変わらずの京極節炸裂。この古本屋を探したい。

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