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書楼弔堂 炎昼 の商品レビュー

3.9

58件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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2019/12/26

普段はなるべく同じ著者の作品を続けないように心がけているが、今回はたまらず手に取った。相変わらずの京極節炸裂。この古本屋を探したい。

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2019/09/10

明治時代の風変わりな書舗の主人が客の人生の一冊の本を見繕う書楼弔堂シリーズ2作目。 前作から語り手が変わって今作は士族のお嬢さん。女に読み書き教育など不要と言われ続けた塔子の、初めて小説を読んだときのワクワク感、自分が子どもの頃に初めて文庫の小説を読んだ時を思い出しました。 語り...

明治時代の風変わりな書舗の主人が客の人生の一冊の本を見繕う書楼弔堂シリーズ2作目。 前作から語り手が変わって今作は士族のお嬢さん。女に読み書き教育など不要と言われ続けた塔子の、初めて小説を読んだときのワクワク感、自分が子どもの頃に初めて文庫の小説を読んだ時を思い出しました。 語り手である読書初心者の塔子嬢の心情の変化とともに本巻を通して登場する國男氏。そう、あの方です…!章ごとに明治の異人が登場するだけでもワクワクしたけど、國男さんの変遷もずっと気になってました。 主人の幽霊についての解釈、京極堂シリーズに通ずるものがありましたね。

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2019/08/21
  • ネタバレ

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「ある」とか「ない」とか、本当はどういうことなんだろう。 ないものをあるとする、豊かさ。 言葉が作り出す世界の不思議さ。 自分が確かだと思ってる色んなことは、もやもやした、結論の出ないものなのかも。 前作でも最後に出てきたけど、何でも白黒つけなくても、どっちつかずのものはそのままでいいんだよ、と言われている気がした。

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2019/04/18

「言葉は何かを表しておりますが、表している対象そのものではございません。言葉はただの音の組み合わせ、幾つかの音を組み合わせることで、人の中に何かを顕現せしめる呪文。その呪文をこの現実と呼応させることで、人は初めて、世界を知ったような気になるのでございましょう」 (P.75)  ...

「言葉は何かを表しておりますが、表している対象そのものではございません。言葉はただの音の組み合わせ、幾つかの音を組み合わせることで、人の中に何かを顕現せしめる呪文。その呪文をこの現実と呼応させることで、人は初めて、世界を知ったような気になるのでございましょう」 (P.75)  本を閉じている時、本の中の世界は止まっています。  でもその時間は、本を開くだけで、また止まったところから流れ出すのです。  こんな不思議なことが、他にあるでしょうか。  まるで二つの時間、二つの世界を往き来して暮らしているような、そんな感覚なのでした。  しかも、どちらの世界に行くのかは、自分次第なのです。頁を開いて文字に目を落とせば、その瞬間から別の世界の時間が動き出すのですから。  何て贅沢なのでしょう。  魔法のようです。 (P.179)

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2018/11/14

書楼弔堂の主は、ここは本の墓場、墓標であり、求めた人への本当の一冊を探し出す、そしてその本が読まれれば本の弔いになる、という。所狭しと本が並んでいる。しかも整然となって。二階、三階にも本棚がある。ここに入った人はその雰囲気に圧倒されるだろう。天馬塔子は、家の近所の道端で二人つれの...

書楼弔堂の主は、ここは本の墓場、墓標であり、求めた人への本当の一冊を探し出す、そしてその本が読まれれば本の弔いになる、という。所狭しと本が並んでいる。しかも整然となって。二階、三階にも本棚がある。ここに入った人はその雰囲気に圧倒されるだろう。天馬塔子は、家の近所の道端で二人つれの男性に道を尋ねられた。この辺に書舗はないかという。言われた書舗の姿形で、ようやく場所が分かり、二人を案内し、自分も一緒にそこに入った。それからこの書楼に出入りをしている。主とも馴染みとなったようだ。彼女と共に、これから本を求めた人への本当の一冊が示されるのを見ていこう。

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2018/07/28

目からウロコでした。 てっきり、著者は厳格な現実主義者と思っていましたが、とっても温かみのある考えを持った方なんだなあとひっくり返されました。 幽霊の話は本当に本当に素敵で、大切な身内を亡くしている方には特に響いたり、同じ想いを登場人物が話してくれたりするのは大変に温かい想いに...

目からウロコでした。 てっきり、著者は厳格な現実主義者と思っていましたが、とっても温かみのある考えを持った方なんだなあとひっくり返されました。 幽霊の話は本当に本当に素敵で、大切な身内を亡くしている方には特に響いたり、同じ想いを登場人物が話してくれたりするのは大変に温かい想いになると思います。 著者の亡き歴史人物へのレクイエムのような、このシリーズ。 いつか、水木しげる先生とか書いて頂けると嬉しいと思うのは、少々烏滸がましいとは思いつつも、密かに願っています。 著者が[弔堂]の予感がしてなりません。

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2018/05/27

どうやったらこんなに深い内容を、平易な言葉で書けるのだろうかと感嘆しきり。 迷える人々を導く書楼弔堂シリーズ第二弾。 明治三十年代初頭、弔堂を訪れる田山花袋、平塚らいてう、乃木希典ら明治の偉人たち…。彼らは手に取った本の中に何を見出すのか? 語り手は塔子という女性にかわりま...

どうやったらこんなに深い内容を、平易な言葉で書けるのだろうかと感嘆しきり。 迷える人々を導く書楼弔堂シリーズ第二弾。 明治三十年代初頭、弔堂を訪れる田山花袋、平塚らいてう、乃木希典ら明治の偉人たち…。彼らは手に取った本の中に何を見出すのか? 語り手は塔子という女性にかわりますが、前作同様、端正な言葉で偉人たちと弔堂主人の、哲学問答のような対話が交わされます。 取り上げられる議論の深みといったら類例が思い当たらないほど。自然主義とは。普遍性と時代性。無いものを隠秘する理由。変節とは。義と戦。幽霊とは。 いずれもただ知るだけではなく、自分の頭で考えることを迫られるような問題ばかりでした。恐れ入りました。

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2018/05/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

うん、今回も楽しめた。 今回の客は誰だろうと想像しながら読むのは楽しい。 最初から、田山花袋とはなんと嬉しい。 読んだことのある本についての話だったし、幸先が良い。 そして、その連れ。 この名前はまさか、と思いながら読み進めて行くと、最後の章のタイトルが『常世』。 これはもう間違いない。 わたしの尊敬するあの方だ。 ほんとに次作が待ち遠しい。

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2018/03/11

約半年ぶりに小説を読みました。ひさびさ。 書桜弔堂の2作目ということですが、前作をまったく知らなくても大丈夫な内容でした(前回の内容はほぼ忘れてましたが影響なし)。 短編6話の構成ですが、全編を通して語り手である塔子と松岡國男(ついに登場…!と思いました)が登場する中で、歴史上の...

約半年ぶりに小説を読みました。ひさびさ。 書桜弔堂の2作目ということですが、前作をまったく知らなくても大丈夫な内容でした(前回の内容はほぼ忘れてましたが影響なし)。 短編6話の構成ですが、全編を通して語り手である塔子と松岡國男(ついに登場…!と思いました)が登場する中で、歴史上の偉人や有名人、著名人がわさわさ出てくるのはやはり面白いですね。 そして、そんな方々と知り合いの弔堂のご主人もなかなかに謎な御仁だなと思いました。 印象に残ったのは、あの世はここにあるというお話。 あの世の説明としては初耳なものではありませんが、弔堂のご主人を通して聞くとするすると納得させられる心地になりました。

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2018/02/04

前回よりも時代が近づいたからか出てくる人が分かったということと、語り手の塔子のほんわりとしつつしかし芯のある思想が読んでいて気持ちいい。 男尊女卑をベースにしつつ、それだけに留まらずうつろうもの、変わらないものや、幽霊についての考察については成る程と目から鱗でした。 戦争につい...

前回よりも時代が近づいたからか出てくる人が分かったということと、語り手の塔子のほんわりとしつつしかし芯のある思想が読んでいて気持ちいい。 男尊女卑をベースにしつつ、それだけに留まらずうつろうもの、変わらないものや、幽霊についての考察については成る程と目から鱗でした。 戦争についての店主のきつい一言もごもっとも。 柳田国男が出て来たあたりはさすが京極さんとニヤニヤしてしまいましたが、コラムでは柳田国男よりも添田唖蝉坊が好きだと仰っている。 素直なのかツンなのかわかりませんが、面白い。 こういう風に昔の文豪の片鱗を見せられると、たとえそれが史実通りでではなくとも読んで見たいなという気になります。 勝海舟の「若いうちだよお嬢さん」にはグッと来て来てしまった。 三作目も構想中の様で楽しみです。 前作よりも濃密に楽しめ、心に残る一冊になった気がする。 破暁、本作も再読したい。

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