いまさら翼といわれても の商品レビュー
ほろ苦い青春群像が描かれる古典部シリーズの最新作。それぞれの少しずつ未来へ、先へと惑いながら歩んでいく姿が丹念に描かれていました。 驚かせるとか、トリックに凝っているとか、そういうギミックを楽しませるのではなく、あくまで古典部のメンバーの思いに焦点を強く当てているようで、だから...
ほろ苦い青春群像が描かれる古典部シリーズの最新作。それぞれの少しずつ未来へ、先へと惑いながら歩んでいく姿が丹念に描かれていました。 驚かせるとか、トリックに凝っているとか、そういうギミックを楽しませるのではなく、あくまで古典部のメンバーの思いに焦点を強く当てているようで、だからミステリというより、しっとりした切ない印象のほうが強く後に残りました。 表題作が特にそうで、おそらくはこのタイトルからある程度推し量れるものはあるでしょうが、この言葉からつづくあてのない慟哭を感じると、やるせなさが募るのです。 彼ら彼女らがこれからどういう道を選ぶのか、選ばざるを得ないのか。 「わたし、気になります」 と、言って良いのか…、はばかれるような、そんな重さも感じた物語でした。
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ユーゴスラヴィアからやって来たマーヤ。 そう、彼女が妖精。 米澤穂信初期の作品(2004年)という事で、まだまだ完成度は低いが 後に書かれる「王とサーカス」を彷彿とさせる。
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古典部シリーズ6作め。 ホータローくんが省エネ主義になった理由や摩耶花ちゃんが漫研を辞めた理由が書かれていて面白かった。 何というか、いろいろあるよね。その苦しさというかやり切れなさはわかる。えるちゃんの悩みについては特に。みんなが幸せになりますように。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「すごく続きが気になる」的な終わり方をした表題作を始め、6編の短編からなる「古典部」シリーズの最新作。内容的には、卒業制作の悪だくみを奉太郎が阻んだ「鏡には映らない」が良かったなと思います。自分の夢に向かって動き始めた摩耶花、それに協力する里志。「家を継がずに自由に生きて良い」と言われ戸惑う千反田さん。「未来」と「変化」が作品のキーワードかな。というか、こういう終わり方をされると、非常に続きが気になるのですが。古典部の面々にも変化が訪れ、どうなっていくのか。続きが気になります。感想はこんなところです。
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物語が動き出したとか、登場人物たちの成長を強く感じた作品だった。『箱の中の欠落』で奉太郎と里志が夜道をぶらぶら散歩している場面が個人的には好きでした。
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ちょっとした仕掛けありの青春小説。 古典部?!なんじゃそりゃ?と思いながら読み進めたが、それに関する記述は特になし。 なんか出てくる高校生たちに違和感ありつつも(わたしが年とったから?)、こんな個性的な子たちがいても面白いかな、なんて。 内容はプチミステリーといった感じで、短編な...
ちょっとした仕掛けありの青春小説。 古典部?!なんじゃそりゃ?と思いながら読み進めたが、それに関する記述は特になし。 なんか出てくる高校生たちに違和感ありつつも(わたしが年とったから?)、こんな個性的な子たちがいても面白いかな、なんて。 内容はプチミステリーといった感じで、短編なのでさくさく読めた。
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『自分の建前しか話さないから、俺だってこっちには義理がないという建前で返さざるを得なくなる。 建前論の応酬が一段落したところで、俺はちらりと隣を見て言った。 「で、何を隠してるんだ」』 「作者の気持ちなど考える必要はありません ー どうせろくなとこは考えていない。『早く酒飲んで...
『自分の建前しか話さないから、俺だってこっちには義理がないという建前で返さざるを得なくなる。 建前論の応酬が一段落したところで、俺はちらりと隣を見て言った。 「で、何を隠してるんだ」』 「作者の気持ちなど考える必要はありません ー どうせろくなとこは考えていない。『早く酒飲んで寝たいなあ』と考えながら書いた文章であっても、その文章が意味するところはなんなのかを正確に突き詰めて考えるのが国語です。」 「…折木さんはどうして、それを言うようになったんですか?」 「それ?」 「あれです。…『やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に』」 『お互い様だから手助けしようと思っても、相手もお互い様だと思ってくれるとは限らない。感謝して欲しかった訳じゃない。ただ、ばかにされると思っていなかった。ぼくはもう、授業が終わったら学校には残らない。人といれば何かを頼まれることになる。それはきっと、ぼくが何も言わずに引き受けるだけの、ばかだと思われているからなんだ。ばかだって構わない。ただ、つけ込まれるのだけは嫌だ。もちろん、どうしようもない時はなんでもやるよ。文句も言わない。でもそうでなかったら、本当は他の人がやらないけないことで、ぼくがやらなきゃいけないことじゃなかったら、もうやらない。絶対に。』
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本当に高校2年生がこんなことを考えるか? 全くリアリティがないと感じる。 「王とサーカス」の作者の作品とは思えない。私にとっては完全に駄作。最後まで読むのに苦労した。
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神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?時間は進む、わかってい...
神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?時間は進む、わかっているはずなのに。奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。 正直、氷菓の後の古典部シリーズはそこまでハマらなかった。それなりに面白いと思っていたし全部読んだけれど、一番好きなシリーズとは言えなかった。でもこれを読んでかなり自分が折木や千反田たちに入れ込んでいることに気づいたし、もっと彼らの行く先が見たいと思った。「長い休日」は折木のモットーが生まれたきっかけの話で、一番気に入った。彼が傷ついたこと、それに対する姉の言葉、えるに話したこと、えるの受け止め方、すべてが印象的だった。そして彼の休日を終わらせたのがえるであることを考えると、表題作では折木なりに彼女のそばで支えようとしていて彼のモットーを捨てつつあるのが嬉しい。今後、二人がどう進むのかとても楽しみです。
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久々の古典部シリーズ。 短編6作でそれぞれ主役、語り部を変え古典部のメンバー4人の過去や現在とが語られる。 奉太郎の「走れメロス」の感想文は素晴らしい推理。昔は感想文なんて大嫌いだったが、今にして思えば自分の読み取った好きな事を書けば良かったのかと実感した。 何にしても青春ミステ...
久々の古典部シリーズ。 短編6作でそれぞれ主役、語り部を変え古典部のメンバー4人の過去や現在とが語られる。 奉太郎の「走れメロス」の感想文は素晴らしい推理。昔は感想文なんて大嫌いだったが、今にして思えば自分の読み取った好きな事を書けば良かったのかと実感した。 何にしても青春ミステリとして面白く読む事が出来る。ただ、もう少し刊行ペースを早くしてもらわないと人物像を忘れてしまう。
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