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愚者の毒 の商品レビュー

4

77件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/07/16

ホラー作家として評価されている(解説によれば)著者。安定感のある文体と早く先を知りたくなるストーリー構成が素晴らしい。特に主人公のルーツである1966年の筑豊の廃坑集落での凄まじい貧困と暴力の日々は、とても同じ日本とは思えないほどで鳥肌が立つような迫力の描写。作者の力量がよくわか...

ホラー作家として評価されている(解説によれば)著者。安定感のある文体と早く先を知りたくなるストーリー構成が素晴らしい。特に主人公のルーツである1966年の筑豊の廃坑集落での凄まじい貧困と暴力の日々は、とても同じ日本とは思えないほどで鳥肌が立つような迫力の描写。作者の力量がよくわかる。 全くのノーマークだったけど、遠田潤子にも通じる純日本的な因縁ミステリーとして出色の作品。4.3

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2020/07/02

尊厳を奪う人を殺すのは罪なのだろうか。 その罪を背負ったままどこに行けばいい? 行き場がない。 破滅を恐れ、破滅を望み。 どこへ行けば赦される? ねぇ、あなたの人生で一番笑った話を聞かせてよ。 あったよね。あればいいな。

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2020/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

悪い女が出てくる話は好きなのだが 宮部みゆきさんの火車や東野圭吾さんの白夜行に比べるとパンチが弱いですね。 後半に向けて、悪さが加速するのが私好みなので。 途中から渡部さんの登場が多いので、何となく達也なんだろうなとは想像できました。

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2020/03/01

友情の裏に隠された衝撃の過去が明かされるミステリー。 第一章 武蔵野陰影 第二章 筑豊挽歌 第三章 伊豆溟海 職安で出会った葉子と希美。 葉子は、借金まみれの末、心中した妹の子・達也を引き取り、借金取りに追われながらの生活。 希美から紹介されて住み込みの家政婦として難波家...

友情の裏に隠された衝撃の過去が明かされるミステリー。 第一章 武蔵野陰影 第二章 筑豊挽歌 第三章 伊豆溟海 職安で出会った葉子と希美。 葉子は、借金まみれの末、心中した妹の子・達也を引き取り、借金取りに追われながらの生活。 希美から紹介されて住み込みの家政婦として難波家にやってくる。 難波家の当主と触れ合うことで変わっていく達也、そして当主の息子・由起夫に恋心を寄せる葉子。 しかし彼女に救いの手を差し伸べた希美と由紀夫との只ならぬ空気を感じた葉子は戸惑う。 当主の死によって、由起夫と希美の筑豊での暗い過去の端緒が現れ、罪を背負って生きてきた者と、支配する者の悲惨な人生が詳らかにされる。 なかなか珠玉の作品。 初めて読んだ作家さんでしたが、伏線の回収もばっちりで、すべての点が一つにつながる気持ち良さ。 他も読んでみようと思います。

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2020/02/15

これは傑作だ。20年区切りの時間軸と、筑豊・東京・伊豆という場所軸を、行きつ戻りつしながらミステリー部分と人物描写部分、更に時代背景も浮き彫りにし、時には細やかな時には大胆な筆致で、全体通して非常に丁寧な人間ドラマを構築している。こういう本があるから読書はやめられないとつくづく実...

これは傑作だ。20年区切りの時間軸と、筑豊・東京・伊豆という場所軸を、行きつ戻りつしながらミステリー部分と人物描写部分、更に時代背景も浮き彫りにし、時には細やかな時には大胆な筆致で、全体通して非常に丁寧な人間ドラマを構築している。こういう本があるから読書はやめられないとつくづく実感できる。

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2020/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

先生以外すべての主要な登場人物が直接的間接的に殺人に関わっている。読者の予想をどんどん覆す後半は、面白かったが、重いイベントをこれでもかと盛り込みすぎの感想を持った。自分には合わないと思った。同じ泥臭さを出す場合にも、読後感がもう少し軽いのが自分には合うと思った。

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2020/01/29

1985年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。 しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。 全ての始まりは1965年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…...

1985年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。 しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。 全ての始まりは1965年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。 絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは? 読み友さんが「心を鷲掴みにされた!」というオススメ作品♪ ほぉ〜ぅ……なんとも骨太な感じ! 終盤「そんなに上手くいくか〜?」って思わなくもなかったけど、廃坑集落の想像を絶する貧困さや、他人を踏み躙る人間のおぞましさなどに言及する筆致が容赦無く、心を揺さぶられる作品でした〜!!

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2019/12/15

1985年、上野の職安で出会った葉子と希美は、互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が2人に襲いかかる。 2017年日本推理作家協会賞受賞作。時代背景を織り込んだ重厚な構成の佳作...

1985年、上野の職安で出会った葉子と希美は、互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が2人に襲いかかる。 2017年日本推理作家協会賞受賞作。時代背景を織り込んだ重厚な構成の佳作だった。「あの人物がこの人物か!」という意外性もあった一方で、ここは伏線かなと思ったらやっぱり、というところもあった。リアリティに欠けるという評価もあるかもしれないけれど、そこは小説だから…。 (B)

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2019/12/11

話に引き込まれるし、ミステリーとしても良かったです。良かったんですけど過去の話を読み進めるのが辛かった。辛すぎました。理不尽なことへのやりきれなさ、無力感を抱くのも偽善のように感じるし、彼等に比べて私が不満を持つなんて許されないとまで思いました。 それだけ伝える力のある小説という...

話に引き込まれるし、ミステリーとしても良かったです。良かったんですけど過去の話を読み進めるのが辛かった。辛すぎました。理不尽なことへのやりきれなさ、無力感を抱くのも偽善のように感じるし、彼等に比べて私が不満を持つなんて許されないとまで思いました。 それだけ伝える力のある小説ということです。 良い作品ですが私には辛すぎるので星ひとつ減らしました。 ごめんなさい。

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2019/12/05

めちゃくちゃ重いです。全体的にネタバレにつながるので言いづらいのですが、これまた貧困が絡んできます。人生お金が全てではありませんが、必要最低限のお金が無いというのは、心を削るし人生そのものを破壊します。 高度経済成長期の日本の好景気から見放され生きていくのが精いっぱいの人々。障害...

めちゃくちゃ重いです。全体的にネタバレにつながるので言いづらいのですが、これまた貧困が絡んできます。人生お金が全てではありませんが、必要最低限のお金が無いというのは、心を削るし人生そのものを破壊します。 高度経済成長期の日本の好景気から見放され生きていくのが精いっぱいの人々。障害を持つ子供を抱えて就職もままならない人。何故自分は自分なのか。自分はあの人でなかったのは何故なのか・・・。罪から逃れる為に罪を重ね、心の牢獄に閉じ込められた2人の回想はとても重苦しいです。 前半も重いは重いのですが、太っちょの優しい先生のおかげでとっても雰囲気が良くて、意外と読んでいてほんわかした気分になったりしました。それだけに中盤以降の重苦しさが非常に辛かったです。 砂の器を彷彿とさせる話でありましたが、むしろ僕はこっちの方がぐっときました。

Posted byブクログ