愚者の毒 の商品レビュー
松本清張や東野圭吾作品を思い出すようなテーマだった。宇佐美まこと作品は、単にミステリーではなく、歴史に埋もれた哀しい事実を知るきっかけともなる。
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終盤からはページを捲る手が止まらなかった。 物語が終わってしまう事が残念だった。 香り立つような美しい情景、色を感じない過酷な時代背景、抉るような心理描写、どれもこれも光と闇に満ち溢れていた。 正しい事を言えるのは、望まれている身においているからだと思う。 未来には絶望しかない...
終盤からはページを捲る手が止まらなかった。 物語が終わってしまう事が残念だった。 香り立つような美しい情景、色を感じない過酷な時代背景、抉るような心理描写、どれもこれも光と闇に満ち溢れていた。 正しい事を言えるのは、望まれている身においているからだと思う。 未来には絶望しかない状況で、その日生きる事で精一杯の者を誰が責められるだろう。 傍から、そんな事はいけないと言うのは簡単。 もっとつらい人がいると言うのは簡単。 言うだけなら簡単。 実際に手を差し伸べ、援助し、生きる道をお膳立てしてあげられなければ、全ては偽善に満ちた正論に過ぎないのだと思う。 正論など、時にはなんの足しにもならない。 大好きな一冊にまた出会えて嬉しく思う。
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一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望...
一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。絶望が招いた罪と転落。そして、裁きの形とは?衝撃の傑作!
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超高級老人ホームで余生を過ごす葉子の現在と過去の回想を織り交ぜながら綴られる物語。 伏線の張り方が上手い。 物語序盤で、これは伏線になりそう、と思った所がじんわり回収された時には「なるほど!」と、更に続きが気になり、久々に物語に入り込めた作品。 伏線の回収の仕方が一気にではな...
超高級老人ホームで余生を過ごす葉子の現在と過去の回想を織り交ぜながら綴られる物語。 伏線の張り方が上手い。 物語序盤で、これは伏線になりそう、と思った所がじんわり回収された時には「なるほど!」と、更に続きが気になり、久々に物語に入り込めた作品。 伏線の回収の仕方が一気にではなく、じんわりじわじわとなのが凄く良かった。 主要登場人物達が不器用ながらにも優しく暖かく、血の通った作品だなと感じました。 そしてカラスが可愛く感じるようになります笑 ブクログの「あなたと読書傾向の似た人が高評価をつけた作品」で見かけ、気になって読んでみたのですが大正解でした! ブクログが無ければおそらく存在も知ることもなかったでしょう。 ブクログに感謝!
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面白かった。 現在と過去とがいったりきたり、希美(きみ)と葉子(はこ)、達也、ユキオ、悲しく、重い過去をずっと背負ったままの人生って、苦しいだろうなぁ。 久々に先が知りたくてあっという間に読了。
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2021.05.22.読了。 あー、いい作品だった。 途中からは読み進めたくなくなった。あまりに引き込まれるのでこの作品を読み終えてしまうのが惜しくて淋しくて。 そんな偶然!と思える場面もある。でも、良い作品好みの作品というのはそういう事もひっくるめて納得できるものなんだよなー...
2021.05.22.読了。 あー、いい作品だった。 途中からは読み進めたくなくなった。あまりに引き込まれるのでこの作品を読み終えてしまうのが惜しくて淋しくて。 そんな偶然!と思える場面もある。でも、良い作品好みの作品というのはそういう事もひっくるめて納得できるものなんだよなー。 こういう小説を読むと、作家って凄いなぁって改めて思う。どこからこんなストーリーが降りてくるんだろう?!わたしは作家にはなれないけど、読者になれてよかった。これから先も読書続けようと。 いい作品に出会うと幸せだもの。 ただただオススメの逸品。
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持ち歩きながら少しずつ読み進めたけど、不思議と場所、気分を選ばすいつでも読めた。現在と過去の展開も程よい切り替えで面白かった。宇佐美さんのは2作目、他の作品も読んでみたい。 余計なお世話だけど、表紙もうちょっとどうにかならなかったのか。
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面白い、どんどん読み進んだ。犯罪と時代背景が 納得させられる。近い時代を生きた者には、高度成長期の人間の貧困や格差が、沁みる。
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作品レビューに惹かれて読んだ。確かに、東野圭吾の『白夜行』『幻夜』を思わせる内容だが、全体にもっとコンパクトで、分かり易い、というか、葉子が武蔵野の家に移り、ユキオが出てきたあたりから、大体の筋や先が読めてしまう。 しかし、豊かで時に容赦ない描写が、武蔵野の森の美しさや、筑豊の廃...
作品レビューに惹かれて読んだ。確かに、東野圭吾の『白夜行』『幻夜』を思わせる内容だが、全体にもっとコンパクトで、分かり易い、というか、葉子が武蔵野の家に移り、ユキオが出てきたあたりから、大体の筋や先が読めてしまう。 しかし、豊かで時に容赦ない描写が、武蔵野の森の美しさや、筑豊の廃炭坑の貧窮を浮かび上がらせ、まるで手を引かれるように、読了まで持っていかれる。 3部仕立てのなかで、65年、85年、2015年と時代を行き来する場面も、転換がうまく、読み易さを感じた。 自罰的で幸せを拒む男女に、サイコパスが執拗に迫り、更に新たな獲物を手にしようとする……という設定は、あまり新しい感覚はないが、優れた筆致で、読み手の心を深く抉り、忘れ難い痛みを残した。 汚いもの、おぞましいものを率直に描く姿勢は見事。 他の作品も読んでみたい。
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前向きに生きようとする裏に潜む深い闇を、時代の流れを見せながら、展開する罪と転落のミステリー。炭鉱の世界は全く知らなかったが、辛く厳しいところからまさに命懸けで脱出するところは読み進めるのが辛いくらいだった。タイトルとしたキーワードはちょっとわからないまま。
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