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愚者の毒 の商品レビュー

4

77件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    32

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2023/05/11

あっぱれです。 現代と過去ともっと過去を行き来する物語だが、伏線の回収、微妙な差異、流される違和感、それらがうまく繋がっている。 切なくもあり、怖くもある。 どこで誰が道を間違ったのか、これも全部運命なのか。 非常に良くできたストーリーでした。 是非とも実写化してほしい。 ただ、...

あっぱれです。 現代と過去ともっと過去を行き来する物語だが、伏線の回収、微妙な差異、流される違和感、それらがうまく繋がっている。 切なくもあり、怖くもある。 どこで誰が道を間違ったのか、これも全部運命なのか。 非常に良くできたストーリーでした。 是非とも実写化してほしい。 ただ、炭鉱のところの方言が読みにくかったです。 それ以外は読みやすく、登場人物の微妙な感情など、とてもうまく綺麗に表現されていました。 本当にあっぱれ。

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2023/04/18

2015年夏、一人の女性が介護付老人ホームを終の住処と選び、そこで過去と向かい合う。彼女が向かい合う過去と現在を交錯させながら、犯してきた罪が語られていく。 一章では、語り部を前触れなく変えてくるので、女性が誰であるのか、混乱して作者の思惑にはまる。 貧困から逃げる為、罪を犯す。...

2015年夏、一人の女性が介護付老人ホームを終の住処と選び、そこで過去と向かい合う。彼女が向かい合う過去と現在を交錯させながら、犯してきた罪が語られていく。 一章では、語り部を前触れなく変えてくるので、女性が誰であるのか、混乱して作者の思惑にはまる。 貧困から逃げる為、罪を犯す。罪を隠すために嘘を重ねる。嘘を貫く為に、再び罪を犯す。彼女はただ一人の友人であるはずの女性さえ、嘘の道具としてしまった。 1960年代の廃坑集落の社会問題を底に扱い社会派小説として、罪を重ねる犯罪小説として、ヒューマンドラマとして楽しめる作品でした。 養子に出した、幼児期精神的ストレスから失語症となっていた少年・達也が、成長して生物研究者となり名前を変えて、女性の前に現れる。彼が、自分の犯した罪を「愚者の毒」と表現する。作者が、タイトルにもしたこの意味合いをかなり考えたのだけど、決定打を思いつかなかった。 「愚者の毒」はヒ素の異名らしい。ヒ素を使うとすぐにバレてしまうから。達也がカラスを可愛がっていた事があるところから、トリックに使って身元をわからせる様にかなあー?単純に、少年期に蓄積された毒の放出の比喩かなー?毒の中でも筑豊の鉱山がらみで、ヒ素の表現と愚者を兼ねて?面白かったからまあいいか。

Posted byブクログ

2023/04/07

面白かったです! 貧しく地獄のような場所から逃げる為に父親を殺した少年と少女が過去を捨て、ひっそりと都会に紛れ 何も望まず人生の共犯者となる。 そんな二人がまるで過去からの亡霊が近づくかのように、じわじわと追い詰められていく。 え?白夜行みたい? 似てますね…途中で気づきました...

面白かったです! 貧しく地獄のような場所から逃げる為に父親を殺した少年と少女が過去を捨て、ひっそりと都会に紛れ 何も望まず人生の共犯者となる。 そんな二人がまるで過去からの亡霊が近づくかのように、じわじわと追い詰められていく。 え?白夜行みたい? 似てますね…途中で気づきましたd( ̄  ̄) 白夜行はとても面白く読みましたが主人公に共感は できなかった。 こちら共感しまくりで逃げのびろ!と息がキレそうでした。 この作品は暗いし辛いしで読むのに二日かかってしまったんですが素晴らしい! ストーリー、構成、主人公達、関わる人々、ラストまでの展開、結末。 全てがわたし好みの作品でした♪ 宇佐美まことさん要チェック中です\(//∇//)

Posted byブクログ

2023/03/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

入れ代わりに気がつき、それが確信となってからが面白かった。 竹丈や希美の父、加藤のおぞましさ、邪悪さが物語を加速させていた。 品よく笑い返してあげた。  この人は、本当の貧しさがどんなものか知らないだろう。(略)生き抜くために恐ろしい決断をすること、心の底から絶望することがどんなことか―。 このくだりが、素晴らしいと思った。

Posted byブクログ

2023/02/12

途中で展開は読めたものの視点と時代がテンポよく交錯して進む話が面白かった。昭和の不便さを上手く利用した人生の切り開き方は決して褒められるものではないけれど。

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2023/02/10

宇佐美まことさん 「羊は安らかに草を喰み」を読み、ファンになりました。3冊目です。 社会の底辺を生きる人達の想像を絶する暮らし 貧しさゆえに罪を犯し、その罪のために幸せになることをみずから禁じる姿に心が痛みます。 ユキオの義父となる先生の優しさに救われました。

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2023/01/30

3つの時代が進行しつつ謎が明らかに。1965年の話は顔が歪むほどの嫌悪感でそれを引き摺りながら進む。この不気味な表紙と毒々しいタイトルにひかれて。読後もう一度表紙を眺めたら不気味さが増していた。お話はテンポよく途中で展開が読めてきたけれどそれでも最後まで夢中で読んだ。

Posted byブクログ

2023/01/06

読みたかった本。 とてもよかった! 第1章の最後に、え?!っという展開に! 驚いた。 筑豊廃坑集落での地獄のような暮らしは、悲惨で壮絶で読むだけで辛い。実際に大なり小なりあった話なんだろうなと、思った。 「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従...

読みたかった本。 とてもよかった! 第1章の最後に、え?!っという展開に! 驚いた。 筑豊廃坑集落での地獄のような暮らしは、悲惨で壮絶で読むだけで辛い。実際に大なり小なりあった話なんだろうなと、思った。 「身の内に毒をお持ちなさい。中途半端な賢者にならないで。自分の考えに従って生きる愚者こそ、その毒を有用なものに転じることができるのです。まさに愚者の毒ですよ」と、達也は難波先生から聞く。 達也がしたことがこの言葉によってだとしたら悲しいな。もっと別の解釈をして、二人には一切関わらないで生きていって欲しかったなぁ。

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2022/09/03

初めて読む作家さんですが、かなり面白かったです。 日本の現代ミステリーで面白いのは大抵読んでしまったかと思っていた自分が恥ずかしい。 まだまだですね、これからも貪欲に良作を探していきたいと考え直しました。 1980年代、葉子は深大寺の難波家で住み込みの家政婦として、甥の達也と...

初めて読む作家さんですが、かなり面白かったです。 日本の現代ミステリーで面白いのは大抵読んでしまったかと思っていた自分が恥ずかしい。 まだまだですね、これからも貪欲に良作を探していきたいと考え直しました。 1980年代、葉子は深大寺の難波家で住み込みの家政婦として、甥の達也と共に暮らしていた。 妹夫婦が借金苦の末に心中をはかり、生き残った達也を引き取らざるを得なかったためであった。 両親の心中を機に言葉を発しなくなった5才の甥の他、妹夫婦は多重債務による借金も葉子に残していた。 途方に暮れた葉子は、職安で生年月日が全く同じ希美と出会う。 2人次第に心を通わせるようになり、葉子は希美の紹介で難波家の家政婦という職を得る。 難波家には、かつて教職にあった主とその息子のユキオが暮らしていた。 葉子は深大寺で暮らすうち、ユキオに惹かれていく。 時は過ぎ、60代となった葉子は伊豆にある高級老人ホームに入居していた。 大腿骨に難病を発症し、夫のユキオには迷惑をかけずに暮らすためだ。 ここで静かに暮らしながら、葉子はかつて深大寺で起きた様々な出来事や、自分の生い立ちを思い返すー。 3つの章から成る本作は、葉子または希美の一人称で語られます。 第2章まで読み進めると、読者は1章で既に作者にまんまと騙されていたことに気付きます。 ここからもう一気読み。 驚かされる仕掛けは他にもいくつかありますが、これが本当に痛快。ミステリーを読む楽しさを思い出させてくれました。 さすがに最後に用意されていたサプライズには早い段階で気付きましたが、それでも十分に楽しめました。 とは言え、逃げ場のない苦しさに満ちた作品であるのも事実。 高度経済成長期の日本でこんな暮らしをしていた人達がいたなんて。知らなかった分、余計にずしりと響くものがありました。 また本作内で唯一、その胸中が誰の口からも語られることがなかった達也の気持ちを思うと、フィクションであると分かっていてもやりきれなくなりました。 良い作品に出会えました。 大満足です。 2020年60冊目。

Posted byブクログ

2022/08/10

情けなさ、惨めさという自分を嫌う感情が静かに刺さるのが印象に残った。ミステリーとしては謎解きというよりも上手くできすぎという感じも否めない。

Posted byブクログ