慈雨 の商品レビュー
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退職した刑事の後悔と執念 重たい過去を抱えながら自分の人生と向き合う 本当の刑事もこんな人ばかりだったらいいなぁ ■お遍路巡り 主人公は現場には出向かず安楽椅子探偵みたいだった 過去の冤罪事件に関わった自分を攻め続け、お遍路巡りをしながら自分なりの贖罪をする 神場も鷲尾も悪夢を見続けるほど悩み苦しんでいてこちらも胸が苦しくなった 握りつぶした上層部も同じ気持ちになっているのだろうか ■道徳が通じない時代 子供は小さい頃から知らない人に付いていってはいけないと教えられる 最悪の事態が起こらないようにそうするしかないけどやっぱり悲しい 悪人基準でルールを決めなければいけない世の中はいやだなぁ ■人生はお天気とおんなじ 『日照りが続いたら干ばつになるんやし、雨が続いたら洪水になりよるけんね。晴れの日と雨の日が、おんなじくらいがちょうどええんよ』 名言だなぁ 幸せはどうしても人と比べて測ってしまう 人生は理不尽で努力しても報われないことも多いけど、見る角度を変えればまた幸せの度合いも変わってくるのかな ■刑事も人間 神場が刑事も私情があることを認めていることが良かった 長い捜査でモチベーションを保つためにプラスの方向に私情を向けることは重要だ 被害者や遺族のことを想い、犯人に強い憤りを感じ何としてでも逮捕するという気持ち こんな刑事が捜査をしてくれたら被害者の無念を少しは晴らせると願いたい クライマーズ・ハイに続いて熱い仕事人の小説を読み胸が熱々だ やっぱり胸熱小説が読みたい!
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幸知の小さい頃、夜長瀬での話、神さん夫婦の関係、どれも素敵で、結末もよかった。 刑事の捜査だって、上からストップがかかれば中止になるのは、ドラマや映画ではよくある話。 けど、正義感が強く、退職しても一生刑事ていうのに感服した。
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タイトルの意味はラスト5行目に。 主人公、若い刑事さん、課長さんの実直さに、潔さより悲しさを感じる結末でした。
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正義の美しさを痛感した。正義を何が何でも貫くということは、苦労が多いが、ズルして得た幸せや楽しみとは比べようのない達成感や幸せを感じるのであろう。これこそ人間の人生。
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ハラハラ、ドキドキ、という刑事もののミステリーという感じはなく、ゆっくりと重いスピードで進んでいく。 主人公の苦しみが読み進めれば進めるほど伝わってくる。 他にも、主人公の妻を含め、周りの登場人物との関係性や、深み、それぞれの苦しみ。優しさ。 事件への執念や、仕事への思い。 とて...
ハラハラ、ドキドキ、という刑事もののミステリーという感じはなく、ゆっくりと重いスピードで進んでいく。 主人公の苦しみが読み進めれば進めるほど伝わってくる。 他にも、主人公の妻を含め、周りの登場人物との関係性や、深み、それぞれの苦しみ。優しさ。 事件への執念や、仕事への思い。 とても厚みのある人間ドラマでした。 終盤にかけて、一気に犯人への糸口が見つかり解決に進んでいく場面は面白かったし、感動もあった。 ミステリー小説としては確かに、ハラハラやドキドキは少ない感じもあるし、事件解決まで長く感じるかも知れないけれど、私は逆にこの長さが、主人公の深層心理やリアルな気持ちに入り込めたので面白く読めました。
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感想 登録前 探偵が出てきてズバッと事件が解決するようなストーリーではなくなんかこうじっとりとした感じ? でも読後感は割と爽やかというか悪くない? 刑事もの、って言うにはまたなんとも言い難い笑 お遍路について詳しくなった気がする。
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図書館の返却後のブックトラックにあって、以前チェックしたことがあったと手に取った本。 刑事ドラマが好きな私にはよかったです。 お遍路を通して仏教的なことを知ることができたこと、出会った人たちのエピソードなど、根幹の事件以外の部分も心に残りました。 「若い頃は、なんで自分だけ...
図書館の返却後のブックトラックにあって、以前チェックしたことがあったと手に取った本。 刑事ドラマが好きな私にはよかったです。 お遍路を通して仏教的なことを知ることができたこと、出会った人たちのエピソードなど、根幹の事件以外の部分も心に残りました。 「若い頃は、なんで自分だけこんなに苦労するんじゃろ、なんて思ったこともあるよ。生きとるのが嫌で、いっそ命を絶とうかと考えたこともあるんよ。でもねぇ、長く生きとると、自分だけが不幸じゃなんて、思わなくなってきたんよ。ええことも悪いことも、みな平等に訪れるんやなぁと思うようになったんよ」 「人生はお天気とおんなじ。晴れるときもあれば、ひどい嵐のときもある。それは、お大尽さまも、私みたいな田舎の年寄りもおんなじ。人の力じゃどうにもできんけんね。ほんでね」 「ずっと晴れとっても、人生はようないんよ。日照りが続いたら干ばつになるんやし、雨が続いたら洪水になりよるけんね。晴れの日と雨の日が、おんなじくらいがちょうどええんよ」 悪いこと、嫌なことばかり続いている人にも、いいことが訪れますように。(自分にも)
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初読みの柚月裕子さんの本でした。女性が書いていると思えないほど男くさい心情が丁寧です。お遍路については最近御朱印を集めるのが好きなため、興味深く読めました。遍路中の電話越しでの謎解きでありながら展開がおもしろく一気に読みました。ただ、物わかりのよすぎる奥さんに共感は少しできません...
初読みの柚月裕子さんの本でした。女性が書いていると思えないほど男くさい心情が丁寧です。お遍路については最近御朱印を集めるのが好きなため、興味深く読めました。遍路中の電話越しでの謎解きでありながら展開がおもしろく一気に読みました。ただ、物わかりのよすぎる奥さんに共感は少しできませんでした。他の作品も読んでみます
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重くて苦しい空気がずっと支配してる。タイトル、装丁、作中で時折降る雨や曇天がさらに効果的に空気を重くしてる。打開できるなら早く打開して欲しくて読む手が止まらない。 明確なその後はわからないけど色んな事が少しでも雪解けしていたらいいな。
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悔恨にあるのは何か。それを追いつつ読み進め、その内容と事実に対してどう向き合うのか。それがとても面白かった。要所要所で降る雨が正しく慈雨として扱われていた。
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