慈雨 の商品レビュー
主人公は元警官で、退職後自分が向き合ってきた事件の被害者に対して祈りを捧げるために遍路めぐりを行います。ちょうどそのタイミングで発生した女児強姦殺人事件は、16年前に自分が関わった事件にも酷似していて・・・ というあらすじです。 遍路めぐりを通して被害者に対する贖罪や祈りを捧げ...
主人公は元警官で、退職後自分が向き合ってきた事件の被害者に対して祈りを捧げるために遍路めぐりを行います。ちょうどそのタイミングで発生した女児強姦殺人事件は、16年前に自分が関わった事件にも酷似していて・・・ というあらすじです。 遍路めぐりを通して被害者に対する贖罪や祈りを捧げるというのは表向きの話で、実際は主人公が自身の内面をよく見つめ、過去の因縁を断ち切れるかというところが、この遍路めぐりのポイントになっています。 遍路めぐりを通して徐々に展開が進んでいくという形式が新鮮でスラスラと読んでいくことができました。
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警察小説だけど、「冤罪」をテーマに犯罪者との戦いというより、自分との戦いでした。人間としての葛藤、刑事としての葛藤が感じられた。16年も苦しんでいたなんて。 「生まれながらにして刑事」な主人公と、「生まれながらにして刑事の妻」という主人公の奥さんの控えめだけど力強い愛がとても良...
警察小説だけど、「冤罪」をテーマに犯罪者との戦いというより、自分との戦いでした。人間としての葛藤、刑事としての葛藤が感じられた。16年も苦しんでいたなんて。 「生まれながらにして刑事」な主人公と、「生まれながらにして刑事の妻」という主人公の奥さんの控えめだけど力強い愛がとても良かった。
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「冤罪の罪」 この小説のテーマは、真実を追求する正義感を持った個人と、名誉と権力によって真実が歪められる組織との対立を描いている。内容は退職警官が冤罪事件の真相解明に執着、「罪を犯した者は罰せられるべき」という正義感を持っていること、しかし組織が、「冤罪」ということに対して名誉と...
「冤罪の罪」 この小説のテーマは、真実を追求する正義感を持った個人と、名誉と権力によって真実が歪められる組織との対立を描いている。内容は退職警官が冤罪事件の真相解明に執着、「罪を犯した者は罰せられるべき」という正義感を持っていること、しかし組織が、「冤罪」ということに対して名誉と地位を守るために過ちや罪を隠すのが当たり前になっている。 現実、官庁、特に政治権力を用いた真実の隠滅、消滅、改竄、破棄など自分達の過ち、罪を隠そうとする行為は近年頻繁にあるように感じる。「正義を正す」善人や組織が減少し、金と権力で歪められた社会があることを認識しておくべきだ。
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盤上の向日葵がとても良かったので柚月さんの本はこれで2冊目。決して悪くないのだけど、なんというか、主人公神さんたちが自責の念に駆られている15年前の出来事は神さんたちのせいでないし、むしろ告発してるし、自分たちのせいだと言って退職金を放棄したり定年を前に退職したりするのはちょっや...
盤上の向日葵がとても良かったので柚月さんの本はこれで2冊目。決して悪くないのだけど、なんというか、主人公神さんたちが自責の念に駆られている15年前の出来事は神さんたちのせいでないし、むしろ告発してるし、自分たちのせいだと言って退職金を放棄したり定年を前に退職したりするのはちょっやり過ぎなのでは、と思ってしまった。そこまでやるべきだと全く思えないので、いまいち感情移入もできず…責められるべきは当時事実を揉み消した上層部であって、組織の下部にいて当時何の権力も持ってなかった神さんたちではないと思う。。
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日本を取り仕切っている警察の威厳や信頼という大きすぎる壁を前に立ちすくんでしまった過去をずっと悔やみ、忘れる事なくもがいていた神場さんの様々な葛藤が描かれていた。
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どこかの国の首相が病気みたいで辞任したね。 ってな事で、柚月裕子の『慈雨』 定年退職した熱血刑事の神野さんが定年後に懇願した四国八十八箇所巡りを奥さんと行く事に。 八十八箇所での祈願は16年前のある幼女殺害事件での疑念と後悔を償う気持ちで……。 そんなお遍路を打ってる最中...
どこかの国の首相が病気みたいで辞任したね。 ってな事で、柚月裕子の『慈雨』 定年退職した熱血刑事の神野さんが定年後に懇願した四国八十八箇所巡りを奥さんと行く事に。 八十八箇所での祈願は16年前のある幼女殺害事件での疑念と後悔を償う気持ちで……。 そんなお遍路を打ってる最中に16年前と似た様な幼女殺害事件が起こる。 この事件によって16年前の疑念が晴らせるかもしれないが、それは自分や家族、警察組織全体を揺るがす事態になるが、それでも神さんは刑事として人間として立ち向かう覚悟なのであった……。 神さん、鷲尾さん、緒方、香代子さん、幸知の登場人物皆の心模様が何ともグッと心に沁みるねぇ。 ホント、病気で辞任したどこかの国の首相に読んで貰いたい本じゃと読みながらずっと思った。鷲尾さんを見習って欲しいもんじゃ 2020年50冊目
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警察官を定年退職した主人公は 四国88箇所のお遍路へ出かけた。 途中で 16年前にかかわった事件に酷使した殺人事件が発生した。 過去の事件にできた 心のわだかまりが 一層大きくなり、巡礼どころでは ないけど という 感じで 主人公の心の揺れと なかなか犯人逮捕につながらない現場...
警察官を定年退職した主人公は 四国88箇所のお遍路へ出かけた。 途中で 16年前にかかわった事件に酷使した殺人事件が発生した。 過去の事件にできた 心のわだかまりが 一層大きくなり、巡礼どころでは ないけど という 感じで 主人公の心の揺れと なかなか犯人逮捕につながらない現場。 凄くどきどきっていう感じではないけど じわじわとくる お話でした。 四国88箇所めぐりとか していたら 感情移入しやすいと思います。 私は 数箇所は見たことがあったので イメージしやすかったです。
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話の盛り上がりは少ないが、登場人物の感情などが丁寧に描かれて、素晴らしい作品だと思った。 得に神場の後輩に対する心境の変化の場面はグッとくるものがあった。
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神場は警察を定年退職し、妻とともに四国八十八か所巡りの旅に出た。そして幼女殺害事件が起き、16年前に神場も捜査に加わった事件への深い傷と悔いがまたぶり返してくる。神場の視点と現役刑事の捜査の視点で話が進んでいく。ミステリーというよりも一人の男の再生がテーマになっているように感じま...
神場は警察を定年退職し、妻とともに四国八十八か所巡りの旅に出た。そして幼女殺害事件が起き、16年前に神場も捜査に加わった事件への深い傷と悔いがまたぶり返してくる。神場の視点と現役刑事の捜査の視点で話が進んでいく。ミステリーというよりも一人の男の再生がテーマになっているように感じました。
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