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慈雨 の商品レビュー

3.9

159件のお客様レビュー

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2017/02/13

警察組織を定年退職した元刑事神場はある秘密を抱えながら夫婦で四国巡礼のお遍路旅に出る。その道中、16年前に発生した幼女殺害事件と酷似した手口の事件が発生し、神場は元警察官という立場で事件解決に関わるが、八十八番もの札所を巡礼する中である決心を固める…事件の真犯人へ辿り着くトリック...

警察組織を定年退職した元刑事神場はある秘密を抱えながら夫婦で四国巡礼のお遍路旅に出る。その道中、16年前に発生した幼女殺害事件と酷似した手口の事件が発生し、神場は元警察官という立場で事件解決に関わるが、八十八番もの札所を巡礼する中である決心を固める…事件の真犯人へ辿り着くトリックはそこまで凝ったものではなく、ミステリー小説や警察小説という括りよりも、1人の警察官としての生きざまや家族や周りの仲間との人間模様を描いた物語のような気がした。読後は温かい気持ちに包まれる一冊となっている。

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2017/02/12

真面目で朴訥で不器用な神場,定年退職して妻香代子と二人お遍路へ.16年前冤罪である可能性を見送った事件がまた同じ形で発生し,捜査と同時進行で物思うお遍路が進む.人生の総決算と贖罪の思いと捜査が響き合い,みんな幸せになるだろうとの予感をいだかせて最後に優しい雨が降る.

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2017/02/04

定年退職した元刑事の神場は妻と共に歩き遍路の旅に出る。過去に冤罪に加担してしまったという後悔を抱えながらの旅の途中、その当時と同様の幼女殺害事件が起こる。かつての上司や後輩と連絡を取り、自らも非公式ながら捜査に加わる神場。正義、警察組織への信頼、自らの立場、家族の問題などを抱えな...

定年退職した元刑事の神場は妻と共に歩き遍路の旅に出る。過去に冤罪に加担してしまったという後悔を抱えながらの旅の途中、その当時と同様の幼女殺害事件が起こる。かつての上司や後輩と連絡を取り、自らも非公式ながら捜査に加わる神場。正義、警察組織への信頼、自らの立場、家族の問題などを抱えながら犯人を追う。 ミステリー(警察小説)というよりは、家族の絆を描いている作品。子どもにまつわる問題で、親子間の心理などがもう少し話に出てきてもいいかと思ったが、夫婦間の話のつなぎはよかった。妻の芯の強さの描き方がよかった。

Posted byブクログ

2017/02/03

警察小説でありながら、題名通りのしっとりとした夫婦愛が最後を飾り、涙腺を刺激する。 定年退職した元刑事が、妻を伴った四国遍路の巡礼と、幼女誘拐殺人事件が同時進行する。 彼は、16年前に発生した同様の事件で冤罪に加担したという悔いを抱えるため、現在の事件にも進んで関わりあう。 遅々...

警察小説でありながら、題名通りのしっとりとした夫婦愛が最後を飾り、涙腺を刺激する。 定年退職した元刑事が、妻を伴った四国遍路の巡礼と、幼女誘拐殺人事件が同時進行する。 彼は、16年前に発生した同様の事件で冤罪に加担したという悔いを抱えるため、現在の事件にも進んで関わりあう。 遅々として進まぬ捜査に、頁をめくるのももどかしくなる。 しかし、事件解決の端緒を掴んでからの急転直下は、一気読み。 過去の冤罪事件を暴くことは、警察への信頼と自分たちの立場をも危うくするにもかかわらず、身を挺してでも自らの責任を果たそうとする刑事たち。読んでいて、爽快感に胸が震える。 警察小説と、夫婦愛小説と、それに彼らの娘に隠された秘密とが融合した傑作ミステリー。

Posted byブクログ

2017/01/31

アンソロジーで柚月裕子さんの短編を読んでから気になり、県内在住ということもあり読んでみた。 刑事の覚悟、刑事の妻としての覚悟みたいなものを感じた。この先もみんなに慈雨が降っていることを期待したい。

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2017/01/28

四国巡礼をしながら過去の悔いある事件と現在進行形の事件を操作する引退した刑事、同僚、後輩、家族の関係がよい。

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2017/01/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

柚月さんの作品としては珍しく、かなり重厚でちょっと読んでいて心が重くなる場面が多かったような気がする。退職した元刑事が、昔の事件の冤罪を再捜査する話ではあるが、冤罪事件とはいえ、そこまで仕事に執着する人間がいるだろうかと思わせる。警察官だから常に正しくなければいけないと誰が思うだろうか?それに警察関係の不祥事が多発する現在ではあえてそこまでという気がする。 いづれにせよ、今回はそれほど感動する場面は少なかったが、心に深く残るようなストーリーだったと思う。柚月さんの小説は、構成がしっかりしているし、振れが少ないので読みやすいし、それなりに考えさせられる内容の作品が多いので、次を期待したいと思う。

Posted byブクログ

2017/01/09

退職して四国遍路回りをする元刑事が現在並行する事件に関わって解決に導く。 遍路をしながら自分の警察人生を振り返り、心にひっかている事件に向き合う。 何か重荷を抱えたような遍路回りが読んでる側にもずーんと重くのしかかる。 最後けじめをつけた刑事たちがカッコいい。

Posted byブクログ

2017/01/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

群馬県警を退職した元刑事の主人公神場が妻を伴ってお遍路に出て、その道中、自分の歩んできた刑事生活を振り返る。 現在進行形の幼女殺害事件と自分の過去の事件が類似してる点を感じる。組織の中の警察官として苦渋の選択をし、組織に不信感を持ちつつも刑事を続けてきた自分、お遍路に出たのもそういう心の重荷をどうするべきか迷っているからだ。自分の元部下で娘の恋人である緒方に事件解決のため、自らの過ちを打ち明け、人間として正しいことを為そうとする姿に、さすが、皆の尊敬を集めていた人物だと思った。

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2016/12/27

定年退職した刑事が42年の警察官人生を振り返るお遍路巡りの途中で、後悔の念を抱いた16年前の事件と酷似した幼児殺害事件の発生を知る…。 事件はまんま「北関東連続幼女誘拐殺人事件」ですし、容疑車両のトリックも新味を感じられず、ミステリーとしはやや物足りなく感じてしまいます。 しかし...

定年退職した刑事が42年の警察官人生を振り返るお遍路巡りの途中で、後悔の念を抱いた16年前の事件と酷似した幼児殺害事件の発生を知る…。 事件はまんま「北関東連続幼女誘拐殺人事件」ですし、容疑車両のトリックも新味を感じられず、ミステリーとしはやや物足りなく感じてしまいます。 しかし「人は消せない過去とどう向き合って決着をつけるか」をテーマにした重厚な人間ドラマで読み応えのある一冊に仕上がっていると思います。

Posted byブクログ