慈雨 の商品レビュー

柚月裕子(著者)

2017/10/07

定年退職した主人公の刑事神場がそれまでの贖罪のために妻と四国八十八お遍路の旅に出ている最中に起こる少女誘拐殺人事件に、16年前に神場自身が関わった事件との類似性を感じ、冤罪という重い十字架を背負いつつも、２つの殺人事件が同一犯による犯行との確信をもっていき、真犯人に迫っていく神場の推理力と事件解決に奔走するそれぞれの刑事の姿が良かったですね！
柚月裕子の作品は登場人物の人間像の描き方が秀逸だと思います！

2017/10/03

本作は入れ子構造になっていて
次から次へと視点が彷徨う

退職後の元刑事神場が四国お遍路巡りをはじめるシーンから、そのお遍路巡りをするに至った事件の一端が明かされたかと思うと、
その事件を担当するために刑事になった理由が語られたり、現在進行形で起こった幼女殺害事件と過去の現在の事件に類似した幼女殺害事件を行ったり来たりしながら、お遍路を巡り話は進む。

結論から言うと
絡まり合ったこの糸が最後に結ばれていくかと言うとそう言うことはない。（伏線回収という意味）

どちらかというとこの絡まり合った糸から
神場だけをほどき、取り出すという作業なのだ。

だからこそ読者には神場が体験してきた事を追体験して貰わなければいけないのだ。

彼がなぜ刑事をしていたのか
裁かなければならないのは誰か
誰のために働いているのか
一生懸命やっても結果が出なかった時には
どうするかなど
すべてにわかりやすい答えが
出るわけではないが

ラストシーンは静かな強さが溢れていて
そうか、そうするしかないかと
ハッピーエンドかどうかは
降り出した雨が教えてくれる。

2017/10/02

10月-1。3.5点。
退職したての刑事。八十八カ所巡りを妻と行う。
娘と付き合う後輩刑事が、幼女殺人事件を担当。
助言することになり、過去の事件と向き合う。

暗い感じだが、面白い。

2017/09/25

定年退職後、警備会社に勤務まで1年待ち。お遍路さんを妻と始める
自分が勤務していた群馬で幼女の遺体発見。
元部下で、養女の恋人に電話で現況を聞く。
16年前の幼女殺人とにている。死体を発見したのは自分。
白い軽トラとDNA鑑定が決めてで犯人逮捕。懲役刑となったが容疑者は最後まで否認。
容疑者を犯行時間に見たという老人がいた。旅行に出ていたので捜査漏れ
DNA鑑定が確実ではない事実を隠蔽するために黙殺
新犯人を野に放ったまま？
お遍路さんで、アルツハイマーの母を殺した男。
最近の出所者のリストから、刑期15年、幼女暴行に絞るが200人
現在の事件に車が発見されてないことから、トラックで軽トラを運んだことに
気がつく。Nシステムでトラックを検索。住所とトラックのレンタルでリストの
数名に。住所不明に男の実家を訪ねる。母親から通院していた病院名を知る
カルテから住所が判明。トラックのレンタカーとも一致。
捜査一課の課長は、辞表と共にDNAの再検査を依頼。却下されたま
マスコミにリークする予定。妻の実家で農家をやればいい
自分は、冤罪をうんだ刑事。退職金を私財で、冤罪被害者にわたす。
養女は、先輩刑事の娘。社宅が一緒。結婚して10年で出産。母親が早死。
父は犯人に刺されて殉職。ひきとった。娘だけは刑事の妻にはしない
事件解決で奔走した刑事に結婚を許す
田舎の駐在を5年。米泥棒を見つけて、地元の人から信頼をえる
駐在時代の暗い事件。32才で嫁にきたが、体も弱く、子供も産めず。
亭主は出稼ぎから戻らず。舅から虐められ、ついに殺してしまう。

2017/09/18

☆４．５かな。定年退職した元刑事が妻とともに四国へお遍路参り…。この設定で、こんなにも泣けるドラマが書けるなんて、柚月さん素晴らしすぎます。構成もしっかりしていて、主要人物の心情や背景がきちんと描かれていました。だからこそのこの感動！ずしりと胸に響く１冊でした！

2017/09/03

柚月さんの2冊目は大変味わい深い人間ドラマな警察小説でした。結局どうなったのかは明かされないけれども、そこが全く気にならないテーマ設定。お遍路さんという物語の軸もあり、2時間ドラマとかで映像化したらなかなか観れるものになるんじゃないかと思わせます。（こういう役にぴったりの男優さん、女優さんがいそうなのに名前が出てきません　ToT)　お遍路さんを打ったことがある方ならビジュアル的にも楽しめる描写がそこここに。

2017/08/30

八十八のお寺を巡るというのは、こういうものなのだろうか。
多くの人が様々な思いをもって訪れる四国。地元の人々のお接待。
日本って広いなぁー。
2017/7/18読了

2017/08/27

定年退職した刑事の巡礼と贖罪を描く社会派ミステリー。

このテーマの重さとストーリーの骨太さ、男たちの感情表現からとても女性とは思えない力を感じます。
巡礼と現在の事件と過去の事件とが見事に折り重なり合って、素晴らしい作品になっていると思います。
ミステリー的な現在の事件パートの主人公の気づいたトリックはあまり大したことがなく、それまで警察が気づかなったことの方がショックでしたが、それ以外は完璧だと思います。

2017/08/15

2017.8.15.定年退職した元刑事神場は妻香代子と四国巡礼の旅に出ている。神場にとってはある女児誘拐殺人事件にかかわる贖罪の意味も込めた巡礼だった。折しも、その事件に酷似した女児誘拐殺人事件が神場が退職した管内で起こる。神場は元部下で娘幸知の恋人でもある緒方に捜査の進捗状況を報告させる。
元駐在だった時の回想、娘幸知の幼い時のこと、長編作品だったが次々のエピソード、そして一番大事な15年前の女児誘拐事件そして今の事件の捜査がどうなるかとの興味で、長さを感じさせず面白かった。ただ、犯人が絞られる過程だが、このことだけで重要参考人に挙げられるのはかなわないなあ〜と疑問に思ったことと事件が解決した先をもう少し知りたかった。あと、事件の神場がいう事件の償い方はあまりに無謀で納得できないと思った。

2017/07/29

16年前の幼女殺害事件で逮捕された人間は冤罪ではなかったのか、葛藤を抱えたまま定年退職した元刑事・神場が、退職後に妻と四国巡礼の旅にでる。
巡礼の途中、16年前と同様の事件が発生する。